
Vol.10 “うちの子は、痩せてる?太ってる?” ボディコンディションスコア編ーこの子の病気は私がみつける!
痩せている=栄養不良ではない
そろそろ冬も終わり、日差しも暖かくなってきました。私の病院の前は桜並木になっていまして、毎年3月下旬から4月上旬の2週間は毎日がお花見になります。桜はいつ見ても心踊らされる花ですね。
今回のコラムでは、飼主さんがとっても気にされている‘うちの子痩せてる?太ってる?問題’を取り上げてみたいと思います。
痩せている=栄養不良ではない
栄養不良:不十分あるいはバランスの取れていない栄養による何らかの栄養障害と定義されています。イメージでは栄養の不足でガリガリに痩せた動物を想い浮かべます。しかし、食餌の量が少ない(不足している)ことだけで引き起こされるということではありません。栄養が過剰になっている高脂肪/高カロリー食を与えられている肥満も栄養不良に当てはまることになります。
栄養不良という状態が見られる場合は、栄養状態に影響する要因が複雑に絡み合って起こります。ですが、大きく分けると以下の3要因になります。
1.動物側の要因:年齢、活動状況、疾患の有無等
2.食餌の要因:栄養バランス等の食べ物自体の問題
3.環境要因:食餌の頻度、住んでいる環境、飼育状態(多頭飼育、運動量)等
また皆さんがよく気にしている肥満は以下のように定義されています。
肥満:体脂肪の過剰な蓄積した状態
体脂肪が過剰なことと体重が過剰なことは関連しています。ですから、体重測定が体脂肪測定より簡単なので評価方法として用いられています。肥満が原因となったり、悪化させる疾患の一例をあげて見ました。
肥満が原因もしくは悪化する疾患
・脂質異常症/高脂血症
・糖尿病
・免疫機能低下
・運動不耐性
・高血圧 等
その他泌尿器疾患、心疾患、肝疾患に関連があるといわれています。
BCS(ボディコンディションスコア)による栄養状態の確認
先ほど体重測定は体脂肪判定より容易な評価方法とお話ししました。しかし、それだけは、本当に体脂肪が蓄積しているのか出来ません。運動をして筋肉量が多い場合、体重は重くなりますが体脂肪量は少なくなります。ですから、栄養状態の判定をするときに使用するもうひとつの指標がBCSとなります。
今回は簡単な5段階評価を解説していきます。BCSは眼で見た変化と触り心地で主観的に判断します。主観的といってもポイントを押さえて評価するため評価する人が変わっても80〜90%一致するといわれています。もうひとつ注意は6ヵ月齢以上での基準であることです。
見方、触り方
触る部分は背骨から骨盤の(棘突起、腸骨翼)突起と肋骨です。この2カ所が一番触りやすく、判断しやすいため用いられます。この厚みを主観的に判断して視覚情報(お腹でている、くびれがないなど)と合わせて痩せ過ぎ1/5、標準3/5、過肥5/5として記録します。標準BCS2.5/〜3/5となります。
※筋肉量について
実際には身体は、皮膚—脂肪—骨のような層構造ではなく皮膚—脂肪—筋肉—骨という層構造です。太っている場合は、筋肉を触ることが難しいので皮膚—脂肪—骨で考えても差し支えありません。
しかし、痩せている場合は脂肪量が少なくなっており、逆に皮膚—筋肉—骨という層構造で触れます。この場合、BCS1とBCS2では筋肉量の違いによって判断することになります。将来的には筋肉量も、BCSと同じようにスコア化された評価方法が出てくることと思われます。
今回は、ボディコンでションスコアについてお話ししました。スコア化してみた後に、痩せ過ぎならばどうして痩せているのか、肥満なら摂取量はどうか等を検討していく手がかりとなります。
イラスト:Mayumi Mori
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