飼い主さんの注意が必要な猫の耳の病気

猫は耳を触られるのが嫌いなので、耳の病気を発見するのが遅くなりがちです。

 

大半は飼い主が猫の耳が汚い、あるいは臭いことに気づいて、初めて耳の病気であることを発見します。猫の耳は、外耳、中耳、内耳という構造になっています。外耳は三角形の耳介になっており、音を集めて中耳に送ります。

 

正常な状態ではこれらの器官に臭みはありませんが、耳の病気になると耳が臭くなり、耳の病気に気づくケースがあります。ここでは猫がよくかかる耳の病気4種類、外耳炎、中耳炎、耳ダニ感染症、耳血腫をご紹介します。

 

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(1)外耳炎

外耳は皮膚と同じです。皮脂腺や耳垢腺がありますので、炎症を起こすことがあります。症状としては、猫がしきりに頭を振る、痒いので後ろ足で耳をかく、あるいは耳垢や膿や茶褐色の分泌物が出ます。

 

このような時に外耳炎を患っている可能性があります。飼い主が猫の耳を触ると痛がる傾向があります。

 

また、耳がただれる、脱毛するなどの症状も見られます。症状が進むと激しい炎症を起こし、鼓膜が破れることもあります。中耳炎にならないうちに早期に発見することが望ましいです。スコティッシュホールドという品種の猫は耳が変形してるので外耳炎になりやすいです。

 

原因はダニ?!

原因は耳に寄生するダニにより起こりますが、細菌感染や外傷などでも起こります。
動物病院での治療としてはまず、耳を洗います。それから耳垢の検査をします。

 

原因が細菌の場合、抗生物質などを使用し、ダニが原因でしたら駆除剤を使用します。慢性化すると完治するまでに数カ月かかることがあります。

 

再発を繰り返す場合には手術をすることもあります。外耳炎を予防するには猫が何度も頭を振る、あるいは後ろ足で耳をかくなどの動作をしていないか、日ごろから観察するようにします。

 

(2)中耳炎

中耳炎は鼓膜の奥にある中耳に炎症が起き、運動失調になる病気です。
多くの場合、細菌やダニの感染などによる外耳炎が進行して、炎症が鼓膜の奥にまで広がることにより中耳炎が起こります。

 

症状としては、平衡感覚が失われるので、歩き方が不自然になり、ふらつく、立てなくなるなどが挙げられます。

 

痒みよりも痛みの方が強いです。時として顔面の神経麻痺などを引き起こしたり、骨髄炎を引き起こしたりするので厄介な病気です。
中耳炎の原因は外耳炎の悪化や慢性化によるものが多いです。症状が現れたら動物病院へ連れていきましょう。

 

ひどくなると手術することも

動物病院では、外耳からの検査、レントゲン、血液検査などの検査を行います。
治療としては中耳炎の原因となっているのが細菌などの場合には、抗生物質などを投与します。または、炎症を抑えるために抗炎症薬を投与します。

 

ただ、薬で治らない場合には手術をすることもあります。

 

長期間薬を投与しなければならないこともあります。また、慢性化する場合もあります。中耳炎は外耳炎から起こるので、外耳炎にならないように注意するのが予防方法です。

 

(3)耳ダニ感染症

耳ダニ感染症は、耳の中でダニが繁殖した状態をいいます。
猫の耳に寄生するのはほぼミミヒセンダニと呼ばれる体長0.3 mmぐらいのダニです。

 

このダニの栄養源は猫の耳の中の耳垢や皮膚のかさぶた、リンパ液、血液などです。

 

症状としては耳の穴に茶色い耳垢が付いていたり、分泌物が出てきたりするというものです。
激しい痒みがありますので、首をよく振る、後ろ足で耳をかくなどの動作をします。

 

耳をかくので耳を傷つけて、出血することもあります。耳の中が耳垢だらけになると、ダニにとって居心地の良い環境になってしまいます。

 

一番の予防は日々のチェック

普段から飼い主が猫の耳の状態を把握することにより、予防することができます。
ミミヒセンダニは感染している猫から他の猫へ簡単に感染しますので、不衛生な状態で多くの猫を飼っていると、ほぼ全部の猫に感染してしまいます。

 

また、母猫から子猫に感染することもあります。動物病院に連れて行くと、耳垢の検査をしてミミヒセンダニとその卵の確認をします。

 

治療としては、点耳薬の投与と注射をします。多頭飼いの場合、すべての猫に治療をする必要があります。

 

(4)耳血腫

猫の頭にぴんと立っている部分は耳介と呼びます。耳介は皮膚と軟骨で形成されており、音を集める機能があります。
耳介が猫同士の喧嘩などで出血が起こり、耳の内側が腫れてしまう病気を耳血腫といいます。

 

症状は、耳介の内側の皮膚の下に出血があり、その部分はぶよぶよしています。

 

耳血腫があると、猫は気になるらしく、後ろ足で耳をかいたり、頭を振ったりしています。手当てが遅れると耳全体が変形することがあります。
すぐに動物病院へ連れて行きましょう。

 

動物病院での治療

動物病院での治療としては、内部にたまっている液体を注射器で吸い出したり、手術により液を出したりします。

 

患部の周辺に炎症が起こっているときは、抗生物質などの投与を行います。

 

外耳炎にもかかっている場合、同時に治療します。猫が飼い主の膝の上に乗ってきたら、耳の様子を見るようにすれば、早期発見につながり、耳が変形するのを防ぐことができます。

 

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