皆さん、「腎アミロイドーシス」という病気を聞いたことがありますか?猫では発症することは珍しいと言われていますが、重症化すれば命に係わるため軽視できない病気です。
また、発症率が高い猫種が確認されていますが、明確な原因・治療法も未だ分かっていない謎の多い病気なのです。早期発見に繋げるためにも、この病気について詳しく学びましょう!

猫の腎アミロイドーシス1 | Fanimal(ファニマル)

 

【1. アミロイドーシスとは?】

アミロイドーシスとは、アミロイド繊維という絹の構造に似た異常なタンパク質が、全身の様々な臓器の細胞と細胞の間に沈着することにより、機能障害を引き起こす病気です。猫は主に腎臓に沈着することが多く、これを「腎アミロイドーシス」と言います。関連記事:猫の腎不全ってどんな症状でわかる?

 

【2. 腎アミロイドーシスの症状】

腎アミロイドーシスは腎臓の機能障害を引き起こし、発症すると生死に係わる慢性腎不全の原因となります。主な症状は以下の通りです。
●たくさん水を飲む
●おしっこをたくさんする
●元気がなくなる
●食欲不振
●体重減少 などまた、大量のタンパク質を尿中に排出するため、血中のタンパク質の濃度が低下してしまう「ネフローゼ症候群」を引き起こすこともあります。この場合、体がむくんだり、腹水が溜まりお腹が膨らむといった症状がみられます。

猫の腎アミロイドーシス2 | Fanimal(ファニマル)

 

【3. 腎アミロイドーシスの原因とは?】

アミロイドーシスは、遺伝・自己免疫疾患・感染症・寄生虫症・腫瘍(がん)などが関係していると言われていますが、明確な原因は分かっていません。また、アミロイドーシスになりやすい猫種が確認されており、アビシニアン・シャム・オリエンタルショートヘアは特に注意が必要です。一般的には7歳頃から発症することが多いのですが、アビシニアンに関しては1歳頃から発症することもあります。

 

【4. 腎アミロイドーシスの治療について】

アミロイドーシス自体を完治させる治療法はありませんが、腎アミロイドーシスによって引き起こされた「慢性腎不全」や「ネフローゼ症候群」などの病気の治療を行います。まずは症状を軽減することを目的とした対症療法が行われます。状態にあわせてホルモン剤の投与や輸液を行います。
また、腎臓の機能が悪化すると心臓にも負担が掛かり、高血圧になってしまう可能性がありますので、血圧を安定させるための薬の投与を行います。ネフローゼ症候群によって、腹水が溜まっている場合はお腹に針を刺し水を抜きます。また、食事療法も重要となります。タンパク質や塩分が高い食事は腎臓の負担となるため、腎臓病用のキャットフード(動物病院で処方されたフード)等に切り替えましょう。特に、慢性腎不全を発症した場合は余命宣告をされる場合もある為、なるべく安静を保ち、猫がストレスを感じることのない、安心して暮らせる環境作りをしてあげましょう。関連記事:獣医師が教えるペットの病気の見つけ方

猫の腎アミロイドーシス3 | Fanimal(ファニマル)

 

【5. 腎アミロイドーシスを予防するには?】

腎アミロイドーシスには明確な予防法がありませんので、普段から体調管理に気を配ることが一番の予防法です。原因と言われている感染症や寄生虫症については予防することができます。混合ワクチンを接種する、寄生虫予防薬を月1回塗布する(飲ませる)、また完全室内飼いにすることが効果的です。原因が明確ではないため発見することも難しいですが、少しでも当てはまる症状が見られましたらすぐに病院に連れて行きましょう。

 

【謎が多く治療法の無い病気、腎アミロイドーシス】

謎の病気「腎アミロイドーシス」。完治する治療法がない恐ろしい難病です。原因が分かっていないだけに予防もしづらく、飼い主としてやってあげられることが少ないように感じますが、何よりも大切なことは普段からよく観察をしておくことです。
正常な状態を把握しておくことで、異常な状態をすぐ発見できます!早期発見、早期治療のために毎日欠かさず猫ちゃんと触れ合い、細かな観察をしてあげましょう。

猫の腎アミロイドーシス4 | Fanimal(ファニマル)

 

関連記事:じわじわと猫を蝕む「嚢胞腎」

 

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