犬がひどく痒がる原因は、アレルギーやノミ ダニなどの寄生虫、腎臓や肝臓の疾患、湿疹をかいて皮膚の状態が悪化した場合などがあります。
なかでもアレルギー性皮膚炎に悩まされる犬が、近年急増しています。複数のアレルギーを併発し難治性となるケースも多く、愛犬を苦しめていますね。

治療にあたっては、飼い主さんの力が重要ですので、アレルギー性皮膚炎の原因になる、環境(アトピー)・食餌・ノミなどのアレルギーについて、よく知っておきましょう。また、命を脅かすアナフィラキシーショックの体験もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

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1.アレルギーの症状

体を守るための免疫が過剰に働いて、様々な症状を起こします。

1.1 アレルギーとは

通常は体に害のないものに対して、異常に反応することをアレルギーといいます。アレルギーの原因物質(アレルゲン)を、吸う・食べる・触れることで、発症します。
・アトピー性皮膚炎

ハウスダストやカビ、ダニや花粉などを吸い込み、敏感に反応しておきるアレルギー性皮膚炎をアトピー(環境アレルギー)と呼びます。

1~3歳に好発する疾患で、4か月から7歳で発症し、慢性化・再発しやすいです。

柴犬・シーズー・テリア・レトリバー・フレンチブルドッグ・ミニチュアダックス・トイプードル・ダルメシアン・シャーペイなどに多く見られます。

・食餌性アレルギー

食物中の特定の物質に抗体ができて、アレルギー反応を起こします。生後2ヵ月から12歳で発症しますが、特に1歳前は食餌性が疑われます。

主に牛肉・乳製品・穀類・鶏肉・卵などに対する、アレルギー反応です。

・ノミアレルギー

ノミの唾液にアレルギー反応を起こす皮膚病です。

・接触アレルギー
ノミ取り首輪、プラスチックの容器、絨毯、シャンプー、薬物などにアレルギー反応を起こします。

・自己免疫疾患

免疫機能が異常をおこして、自分の身体を攻撃する疾患です。犬に多く、皮膚に発症します。

 

1.2 どんな症状があるの?

・アトピー性皮膚炎

耳や目の周り、足の先や脇の下、脚のつけ根などに激しい痒みが生じます。

患部を噛んだり引っかくと、皮膚が傷ついて毛が抜けたり、皮膚感染症になります。耳の疾患を発症したり、むくむこともあります。

「アトピーは、その75パーセントが生後6ヵ月から3歳までにはじめて発症します。遺伝的にアトピーになりやすいイヌもいます。(引用元:イヌの病気百科 297頁 麻布大学動物病院 小方 鎌田動物病院 橋口)」といわれています。

・食餌性アレルギー

食後、短時間で発症し、目・口・肛門の周り、背中や耳、足先の痒みや発赤、発熱や下痢、嘔吐がみられます。

2歳前後で発症することが多く、アトピーや膿皮症を併発しやすいです。

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・ノミアレルギー

背中・後ろ足・お腹・尾に強い痒みがあるので、噛みます。体表にノミやノミの糞が見られます。

 

1.3 アナフィラキシーショックは、死に至ることも

元気を失って反応が鈍くなり、悪化すると意識を失います。薬物アレルギーの場合、皮膚の発疹や呼吸困難、血圧の低下や腸炎がみられ、脈拍が弱くなり停止することもあるので、緊急処置が必要です。

ワクチンや抗生物質の注射後、稀に起こる副作用「アナフィラキシーショック」は、2回目の投与時が要注意で、急性は数分から30分以内に起こります。

2回目までのワクチンは午前中に受け、接種後30分は必ず病院内か近隣で様子を見てください。

 

1.4 ウチのワンコの場合

 

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我が家のシーズー犬(メス 9歳)が、アナフィラキシーショックを起こしたのは、2回目のワクチンの時でした。

接種後、普段と変わりなかったので、そのまま帰宅してしまいました。

異変に気付いたのは、帰宅後すぐでした。ゴハンを用意して、近寄っても反応が無いのです。

普段からよく眠る子ですが、呼びかけても触れても反応がありません。目がうつろで、歯茎を押しても白いままです。

慌てて動物病院に電話して、家を飛び出しました。

途中何度も呼びかけましたが、どんどん意識が遠のいていき、呼吸も浅くなっていきます。

「時間が無い!」
死を予感し、とにかく道を急ぎました。

病院の適切な処置のおかげで、幸い一命はとりとめましたが、とても危険な状態だったそうです。

「助かって良かった」意識が戻った時は、本当にホッとして、涙が出る思いでした。

その後の生活では、ワクチン接種が受けられないので、犬特有の感染症が心配です。

麻酔や使える薬も制限があるそうなので、他の犬との接触や散歩はなるべく控えています。

アレルギーがあるので、アトピー性皮膚炎で通院中ですが、今も元気に暮らしています。

犬のアレルギー3 | Fanimal(ファニマル)

 

2.アレルギーの原因

・アトピー性皮膚炎

アレルゲン(花粉・カビ・イエダニ・動物のフケなど)を吸い込むと、免疫が体に無害のものにまで過剰に反応して、アレルギーが起こります。発生率は、体内に入る原因物質の量と、遺伝的感受性の影響を受けます。

・食餌性アレルギー

大半はタンパク質由来の原料により起こります。はっきりとした原因は不明ですが、免疫系の異変により起こるといわれています。

・ノミアレルギー

ノミが咬んだ時に注入する唾液に、アレルギー反応を起こします。蚊やアブの唾液が原因になる場合もあります。

 

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3.治療と対策

3.1 アレルギーの検査

アレルギーかどうか調べる検査、環境中のアレルゲン(ハウスダストや花粉など)を調べる検査、食餌中のアレルゲン(牛肉や鶏肉など)を調べる検査を組み合わせて、診断し治療法を決めます。

検査費用は、1~3万円の病院が多いようですね。(一例:アレルギー強度試験8,640円、リンパ球反応試験16,200円、アレルゲン特異的IgE検査10,800円 ※かがみ動物病院)

アトピーの疑いにはIgE検査、食餌アレルギーの疑いにはIgE検査とリンパ球検査を行います。

他に一般血液検査(7,000~10,000円)、内分泌検査(13,000~18,000円 ※四季の森どうぶつクリニック)が必要な場合もあります。

※病院によって異なる場合がありますので、実際に受けられる際には事前にご確認をお願い致します。

 

3.2 診断・治療・対策は?

・アトピー性皮膚炎
かゆみを起こす他の疾患と鑑別し、アトピーを発症しやすくする原因を除き、診断・治療します。

薬物療法には、副腎皮質ホルモン薬(ステロイド)、抗ヒスタミン剤、不飽和脂肪酸(エイコサペンタエン酸、γリノレン酸)、漢方薬、インターフェロン療法などがあります。

副作用の少ない、免疫抑制剤が検討される場合もあります(参照:だて動物病院)。

アトピカやジェネリックのシクロフィル、アイチュミューンは、免疫を抑制して炎症を抑える効果があり、難治性のアトピー性皮膚炎が適応症だそうです。

ステロイド剤の量を減らす目的で併用されることが多いようです。

ステロイドの長期使用が心配な方は、2016年副作用の出にくい新薬「アポキル錠」(参照:四谷動物病院)が発売されていますので、担当獣医師に相談してみてください。

アトピーと確定した患犬には、減感作療法(一例:週1回の注射を6回)が、70%に有効との報告もあります。

床や畳の水拭きなどで頻回に掃除し、除湿機や加湿器、エアコンで湿度を50%前後に維持しましょう。

保湿・抗炎症効果のあるシャンプーやリンス、ローションを使用し、1週間に1~2回、時間をかけてマッサージするように洗ってください。

低温の湯でしっかり洗い流し、ドライヤーは使わないようにします。
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・食餌性アレルギー

血液検査などでアレルゲンを特定し、与えなければアレルギーは起きません。

除去食(鹿・魚・鴨肉など)試験で、食べても大丈夫なものを見つけ、再発を防ぎます。(4~8週間かかります)

 

・ノミアレルギー

体表の傷やノミの糞などを調べ、必要なら皮内テストや皮膚テストを行います。

ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、必須脂肪酸、抗蚤痒シャンプーなどが処方されます。ノミを駆除して、毎日犬の寝床に掃除機をかけ、寝具を洗濯しましょう。

 

4.加齢との因果関係

もともと犬は皮膚が弱く、加齢で免疫力が低下すると、非病原性バクテリアによる皮膚病になりやすいです。

加齢にともない腸内細菌が減少し、腸の老化が進むとアレルギーやアトピーを発症しやすいと考えられています。

ペットフードに含まれる保存料や添加物の長期摂取、加齢によるストレスや運動不足も原因かもしれませんね。

 

5.愛犬を苦しみから救いましょう

 

犬のアレルギー5 | Fanimal(ファニマル)

アレルギー性皮膚炎は、長期間の管理(環境・食餌・投薬など)が必要な疾患です。

飼い主さんには大きな負担となりますが、やっただけの効果が期待できる疾患でもあります。ちょっと頑張って、愛しい家族をつらい痒みから救ってあげましょう。

※この記事は実体験に基づいて書かれているため、個人の感想・見解が含まれています。

参照・参考:矢沢サイエンスオフィス編(2002)『イヌの病気百科』学習研究社.

松波動物病院メディカルセンター

 

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