
つらい痒みから愛犬を守る!急増するアレルギーの症状と対策-ワンだろう?事典
なかでもアレルギー性皮膚炎に悩まされる犬が、近年急増しています。複数のアレルギーを併発し難治性となるケースも多く、愛犬を苦しめていますね。
治療にあたっては、飼い主さんの力が重要ですので、アレルギー性皮膚炎の原因になる、環境(アトピー)・食餌・ノミなどのアレルギーについて、よく知っておきましょう。また、命を脅かすアナフィラキシーショックの体験もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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1.アレルギーの症状
1.1 アレルギーとは
・アトピー性皮膚炎
1~3歳に好発する疾患で、4か月から7歳で発症し、慢性化・再発しやすいです。
柴犬・シーズー・テリア・レトリバー・フレンチブルドッグ・ミニチュアダックス・トイプードル・ダルメシアン・シャーペイなどに多く見られます。
・食餌性アレルギー
主に牛肉・乳製品・穀類・鶏肉・卵などに対する、アレルギー反応です。
・ノミアレルギー
・接触アレルギー
ノミ取り首輪、プラスチックの容器、絨毯、シャンプー、薬物などにアレルギー反応を起こします。
・自己免疫疾患
1.2 どんな症状があるの?
・アトピー性皮膚炎
患部を噛んだり引っかくと、皮膚が傷ついて毛が抜けたり、皮膚感染症になります。耳の疾患を発症したり、むくむこともあります。
「アトピーは、その75パーセントが生後6ヵ月から3歳までにはじめて発症します。遺伝的にアトピーになりやすいイヌもいます。(引用元:イヌの病気百科 297頁 麻布大学動物病院 小方 鎌田動物病院 橋口)」といわれています。
・食餌性アレルギー
2歳前後で発症することが多く、アトピーや膿皮症を併発しやすいです。
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・ノミアレルギー
1.3 アナフィラキシーショックは、死に至ることも
ワクチンや抗生物質の注射後、稀に起こる副作用「アナフィラキシーショック」は、2回目の投与時が要注意で、急性は数分から30分以内に起こります。
2回目までのワクチンは午前中に受け、接種後30分は必ず病院内か近隣で様子を見てください。
1.4 ウチのワンコの場合

我が家のシーズー犬(メス 9歳)が、アナフィラキシーショックを起こしたのは、2回目のワクチンの時でした。
接種後、普段と変わりなかったので、そのまま帰宅してしまいました。
異変に気付いたのは、帰宅後すぐでした。ゴハンを用意して、近寄っても反応が無いのです。
普段からよく眠る子ですが、呼びかけても触れても反応がありません。目がうつろで、歯茎を押しても白いままです。
慌てて動物病院に電話して、家を飛び出しました。
途中何度も呼びかけましたが、どんどん意識が遠のいていき、呼吸も浅くなっていきます。
「時間が無い!」
死を予感し、とにかく道を急ぎました。
病院の適切な処置のおかげで、幸い一命はとりとめましたが、とても危険な状態だったそうです。
「助かって良かった」意識が戻った時は、本当にホッとして、涙が出る思いでした。
その後の生活では、ワクチン接種が受けられないので、犬特有の感染症が心配です。
麻酔や使える薬も制限があるそうなので、他の犬との接触や散歩はなるべく控えています。
アレルギーがあるので、アトピー性皮膚炎で通院中ですが、今も元気に暮らしています。

2.アレルギーの原因
・食餌性アレルギー
・ノミアレルギー

3.治療と対策
3.1 アレルギーの検査
検査費用は、1~3万円の病院が多いようですね。(一例:アレルギー強度試験8,640円、リンパ球反応試験16,200円、アレルゲン特異的IgE検査10,800円 ※かがみ動物病院)
アトピーの疑いにはIgE検査、食餌アレルギーの疑いにはIgE検査とリンパ球検査を行います。
他に一般血液検査(7,000~10,000円)、内分泌検査(13,000~18,000円 ※四季の森どうぶつクリニック)が必要な場合もあります。
※病院によって異なる場合がありますので、実際に受けられる際には事前にご確認をお願い致します。
3.2 診断・治療・対策は?
かゆみを起こす他の疾患と鑑別し、アトピーを発症しやすくする原因を除き、診断・治療します。
薬物療法には、副腎皮質ホルモン薬(ステロイド)、抗ヒスタミン剤、不飽和脂肪酸(エイコサペンタエン酸、γリノレン酸)、漢方薬、インターフェロン療法などがあります。
副作用の少ない、免疫抑制剤が検討される場合もあります(参照:だて動物病院)。
アトピカやジェネリックのシクロフィル、アイチュミューンは、免疫を抑制して炎症を抑える効果があり、難治性のアトピー性皮膚炎が適応症だそうです。
ステロイド剤の量を減らす目的で併用されることが多いようです。
ステロイドの長期使用が心配な方は、2016年副作用の出にくい新薬「アポキル錠」(参照:四谷動物病院)が発売されていますので、担当獣医師に相談してみてください。
アトピーと確定した患犬には、減感作療法(一例:週1回の注射を6回)が、70%に有効との報告もあります。
床や畳の水拭きなどで頻回に掃除し、除湿機や加湿器、エアコンで湿度を50%前後に維持しましょう。
保湿・抗炎症効果のあるシャンプーやリンス、ローションを使用し、1週間に1~2回、時間をかけてマッサージするように洗ってください。
低温の湯でしっかり洗い流し、ドライヤーは使わないようにします。
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・食餌性アレルギー
除去食(鹿・魚・鴨肉など)試験で、食べても大丈夫なものを見つけ、再発を防ぎます。(4~8週間かかります)
・ノミアレルギー
ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、必須脂肪酸、抗蚤痒シャンプーなどが処方されます。ノミを駆除して、毎日犬の寝床に掃除機をかけ、寝具を洗濯しましょう。
4.加齢との因果関係
加齢にともない腸内細菌が減少し、腸の老化が進むとアレルギーやアトピーを発症しやすいと考えられています。
ペットフードに含まれる保存料や添加物の長期摂取、加齢によるストレスや運動不足も原因かもしれませんね。
5.愛犬を苦しみから救いましょう

アレルギー性皮膚炎は、長期間の管理(環境・食餌・投薬など)が必要な疾患です。
飼い主さんには大きな負担となりますが、やっただけの効果が期待できる疾患でもあります。ちょっと頑張って、愛しい家族をつらい痒みから救ってあげましょう。
※この記事は実体験に基づいて書かれているため、個人の感想・見解が含まれています。
参照・参考:矢沢サイエンスオフィス編(2002)『イヌの病気百科』学習研究社.
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