
保護犬との出会い① ~なぜ保護犬だったのか?~
犬を飼いたいと思った理由
私が初めて犬を飼ったのは小学校3年生の時でした。
学校から帰るとスムースのミニチュアダックスがいて、泣いて喜んだのを覚えています。
マリンくんと名付けたその愛犬は、私の反抗期にも青年期にもずっと良き友でいてくれました。
そんな愛犬も亡くなり私は社会人になったので、いつか犬を飼いたいとの思いからペット可のマンションを借りました。
それから2ヶ月経った頃、友人の家で生まれたミニチュアダックスとミニチュアピンシャーのミックス犬を引き取りました。
いつも犬がいる生活を自然に送っていたので、何か特別な理由があって犬を飼ったことはありません。
後先を考えていたら飼えないので「この子と暮らしていくために出来ることはなんだろう?」と考えるようにしています。
保護犬を知ったきっかけと理由
恥ずかしながら社会人になりミニチュアダックスとミニチュアピンシャーのミックス犬を引き取るまで、保健所という場所が殺処分以外に何をしているのかは全く知りませんでした。
保健所の前を通るときは子供ながらに「ここでたくさんのわんちゃんが殺されてるんだ。」と思っていました。
ですがミニチュアダックスとミニチュアピンシャーのミックス犬と共に暮らす中で、ふと疑問に思うことがありました。
「この子はうちに来なかったらどうなってたんだろう?」
そんな不謹慎とも思える疑問が保護犬を知るきっかけでした。
そこで保健所は実際にはどんな場所なのか調べてみました。
すると最近では次の飼い主を見つけるまでの期間を長く設けたり、NPOのボランティア団体と協力してなるべく殺処分数を増やさないように努めたり、また頻繁に譲渡会を開催するなど殺処分以外にも様々なことをしていると分かりました。
でも悪い意味で1番衝撃を受けたことがあります。
それは自治体にもよりますが、飼い主によって持ち込まれた犬は翌日に殺処分されるということ。次の飼い主を探してもらえることもなく、飼い主に置いていかれたと思ったら次の日には殺される。
これが私の中で保護犬に対しての価値観を大きく変えるきっかけになりました。
これは去年(2016年)、日本全体の保健所で引き取った犬の数です。
飼い主による持ち込み | 保護 | 合計 |
成犬:5,756/幼犬:706 | 成犬:32,517/幼犬:7,670 | 64, |
出典元:環境省 統計資料「犬・猫の引き取り及び負傷動物の収容状況」
去年1年間で犬だけでも6万匹以上が保健所に引き取られています。そのうち14%は飼い主による持ち込みでした。
この数字を少ないと思うか多いと思うかは人それぞれですが、私は多いと感じました。
1人1匹と計算したら去年だけでも6000人を超える人が、自分の手で犬を保健所へ連れて行っているわけですよね。
その中に致し方ない理由は、果たしていくつあったんだろうか?と思ってしまいます。
飼い主が賢くなることで、殺処分される犬問題も軽減できる
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でも悪いことばかりではありません。
環境省は毎年保健所から得たこの統計をネットで公開していますが、保護数と殺処分数は年々右肩下がりになっています。
ただ皆さんに知ってほしいのは、譲渡数が伸びていないということ。
年々猫の譲渡数は増えているものの、犬の譲渡数は増えず似たような数字を行ったり来たりしています。
最近ではボランティア団体がテレビで取り上げられるようになったり、里親という制度も広く知られるようになりました。
飼い主が保健所へ連れて行く前に、次の飼い主を探せるサイトも多く出来ました。
ですが、日本はまだまだ動物愛護後進国です。
ヨーロッパの多くの国にはペットショップはありません。ヨーロッパやアメリカでは犬同士を闘わせる「闘犬」という娯楽は禁止されています。
でも日本ではペットショップもありますし、闘犬に対しても罰則があるわけではありません。行政へ飼い犬の届け出をしているかどうかも、絶対ではありませんよね。
そんな状況を目の当たりにした私は動物愛護先進国でもあるドイツへ、旅行も兼ねてですが行ってみることにしました。
街にはたくさんのわんちゃんがいます。
そのほとんどが中・大型犬ですが、みんなノーリードです。飼い主とアイコンタクトを取りながら、きちんと言うことを聞いています。
何よりも犬への愛情が飼い主さんの態度や行動ににじみ出ているのが分かりました。
虐待を受けて育った子は攻撃的になりやすいです。
飼育を放棄され満足に愛情ももらえなかった子は人を嫌いになります。
闘うことを強要されていれば犬にとって犬は仲間ではなく敵になります。
ドイツで過ごした時間が私に「結局飼い主側の気持ち次第でどうにでもなるんじゃないだろうか?」と思わせてくれました。
こちらが愛情たっぷりに、決して偏った目で見なければ必ず伝わる。そんな風に感じたのです。
そして帰国し、落ち着いた環境の中で安定した生活が出来るようになったら絶対に保護犬を引き取ろうと決めました。
ボランティア団体をやるぞ!なんてそんな大それたことは言えませんが、自分に出来ることは一体なんだろうか?と考えるようになりました。
それから少しして婚約を機に沖縄県へ移住することが決まったので、どんなに時間がかかってもいいから大きな庭のある平屋の一戸建てを探すことにしました。
そんな想いに応えてくれたステキな大家さんに出会い、無事にペット可の庭付きの平屋を借りることが出来ました。
次にやることは里親という制度について調べること。
すると思ってたよりも厳しい…というのが正直なところでした。
私たちは7年間交際していましたが、だったのでそれではダメだと言われることがほとんどでした。
保健所もボランティア団体もかなり厳しい条件を設けていますが、わんちゃんたちの過去やスタッフさんの気持ちを思えば当たり前の条件だと思います。
そして調べていく中で、個人で次の飼い主を探すサイトがいくつもあることを知りました。
覗いてみると個人同士のやり取りなので、多少は条件が緩くなっています。
また人と人との話し合いによって決まるので、こちらが誠意を持って気持ちを話せば必ず伝わるのではないかと感じました。
保健所に引き渡すのはとてもじゃないけど耐えられない。でもどうしても飼えなくなってしまった仕方ない理由がある。
という感じの飼い主さんがほとんどです。せめて最後に飼い主として次の人を探してあげたいという思いを感じたので、それに誠心誠意応えてみようと思いました。
飼い続けることを諦めて、他の人に託すということ自体は悪いことだとは思いません。
満足に面倒も見られず、世話もしてあげられない理由があるなら、無理をしてまで飼うことは犬にとっても幸せではないはずだからです。
飼い主も犬と同じように突然病気になりますし、思わぬトラブルや職を失うことだってあります。
なので、出来ないことを考えるより出来ることを考えるようにしました。
これから始まるであろう大きなわんちゃんとの暮らしを夢見て毎日のように保護犬サイトを見ていましたが、今ここに載っている子たち全員を引き取れるわけではないんだと悲しい気持ちになることもありました。
でもそのうちの1匹でも幸せに出来たらと思うと、早くそんな日々が来ないものかともどかしくも感じました。
そして家の契約をしに沖縄へ行った際に、犬と会話できるという人にたまたまお会いする機会がありました。
その方に「過去に虐待されたり捨てられた子を可哀想と思いながら育てないでほしい。
犬は常にポジティブな生き物だから、過去よりも今の記憶を大切にしている。
だから昔のことは忘れて、うちに来てくれてありがとう、あなたがいてくれてとても幸せ、と思いながら育ててあげてほしい。」と言われました。
保護犬を引き取り育てることは簡単なことではないとよく耳にします。
確かにしつけをするのも、信頼関係を結ぶのにも時間は掛かりますが、それだけです。
どんなに攻撃的な子も、怖いから攻撃しているだけです。ここが安全で楽しい場所だと思っているのにワンワンと唸る子はいません。
個人的にですが、手のかかる子の方が可愛いです。
困ったり悩んだりしながらも何かを達成できた時の喜びは、時間が掛かった分、思い悩んだ分、倍以上になって返ってきます。
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