
レッサーパンダのお尻フリフリにはわけがあった!~元動物園飼育員による「動物園の楽しみ方」~第2回
行ってみましょ、動物園! ~行動編~ そのお尻の動きにはワケがある!?
たくさんの動物LOVEなみなさん、こんにちは!
Fanimalライターの☆ぴよん☆です。
「あったかくなったね~」を通り越し、蒸し暑くなったほどの今日この頃。
もうすぐ待ちに待ったゴールデンウィークがやってきますが、みなさんのご予定は決まりましたか?
春から夏に向かうこの季節、動物園の動物たちも元気いっぱい!
いろんな動きを観せてくれること、まちがいなしです。
というわけで、動物園へ行ってみませんか?
第2回では、動物園でも1位、2位を争うほどの大人気レッサーパンダとペンギンをピックアップします。このかわいい動物たちの秘密を、ちょっとのぞいてみましょ!
お尻をふりふり&モゾモゾ、実は…!<レッサーパンダの巻>
愛らしい瞳とふわふわな毛なみで、来園者を一瞬にしてとりこにするレッサーパンダ。
長いシッポをゆらしながら、とことこ歩く姿も人気があります。
「かわいいねぇ~!」ほんと、その通り。
でも、ちょっと待ってください!そこからもう少しだけ、彼らのことを観てみましょう。
もしかすると、お尻を地面や木などに「ふりふり&モゾモゾ」とこすりあてる行動に出くわすかもしれません。
もしその場に飼育員さんがいたら、飼育員さんの長靴にこすりあてるコもいたり。
お尻がかゆいからかな?かゆいけど届かないから、いろんなモノでかいているのかな?
いえいえ、違うんです。実はこれ、「マーキング」といって、他のレッサーパンダに自分の存在を示したり、なわばりを伝えるための行動のひとつなのです。
ワンちゃんだと、お散歩中にあちこちで脚をぴゅっとあげて、オシッコをかけますよね。これとほぼ同じで、同じ動物の種類同士での、とっても大切なコミュニケーションになるんです。
レッサーパンダはイヌやネコと同じ食肉目で、お尻に「肛門腺」というにおいを出す分泌腺があります。このにおいを残すため、あちこちで「ふりふり&モゾモゾ」していたワケだったんですね。
ちなみにレッサーパンダによってこのマーキング行動をたくさんするコ、あんまりしないコ、いろいろです。そう、みんな違っていて、行動にも1頭1頭の個性がとっても出ています。性別や年齢、季節や時間帯でもマーキング行動には違いがあるともいわれていますので、飼育員さんにたずねてみても良いですね。
レッサーパンダのふるさとは中国です。実は絶滅の危機にある動物の1種で、国際条約において保護されています。
動物園でも、国内だけではなく海外の動物園とも協力して、一生けんめい保護繁殖に取り組んでいる動物なのです。
クチバシでお尻をゴシゴシ、そこに隠されたナゾ<ペンギンの巻>
さあ、次はペンギンです。ここでみなさんにクイズを1問!
世界には、一体何種類のペンギンがいるか、ご存じですか?
答えは…なんと18種類!そんなにたくさんいるんだ、と思った方も多いかもしれません。そのうち、日本の動物園で多く飼育されているのがフンボルトペンギンという種類です。
今回は、フンボルトペンギンの写真を通してお話しますね。
ペンギンは陸をヨチヨチ歩く姿が人気ですが、その姿から想像できないほどのスピードで水中を泳ぐことができ、時速30kmほど出ることも。まさに「水中を飛ぶ」鳥です。
そんなペンギンたちが動物園でプールに浮かんでいるとき、ちょっと観察してみましょう。
クチバシをお尻にあてて、ゴシゴシこすっているコがいませんか?
身体をくねっと曲げ、ゴシゴシしては、そのクチバシを今度はフリッパーと呼ばれる翼にこすりつけたり、お腹や背中にあててみたり。
レッサーパンダと同様、ペンギンたちもかゆいのではなさそうです。
さて、一体何をしているのでしょうか?
ヒントは、「泳ぐ」ことに関係します。
ペンギンは、常に泳ぐ準備ができていなければなりません。潜ったときに水を含んでしまうような羽根では、スピードを出して泳ぐことが難しくなり、敵から逃げきれなかったり餌も獲れなくなってしまいます。
実はこの行動、お尻にある「尾脂腺」から分泌される油をクチバシにつけているからなのです。そして油のついたクチバシで体中に生えている羽根にその油をぬり、水をしっかりはじくようにしているんですね。
防水効果が万全な羽根をまとっているからこそ、ペンギンは「水中を飛ぶ鳥」として生きていけるのです。そのための「お尻ゴシゴシ」は、生き抜くための大切な行動なのです。
最後に
いかがでしたか?
私たち人間にはない「お尻の行動に隠されたナゾ」が、少し解けたでしょうか。
レッサーパンダもペンギンも、野生でいろんな工夫をして生き残る戦略を立てています。そんな生活の一部を、間近に観察できる動物園。
いつもより、あと1分…、あと5分!動物たちを観てみませんか?そうすると、きっと彼らはまた「すごい」何かを気付かせてくれるかもしれませんよ。
あ、その際はどうか日焼けや熱中症にお気を付けくださいね。
この季節の動物園は、お天気の良い中で動物に見入っちゃうと、太陽で頭がクラクラしてきます。
何を隠そう現役時代の私も、しょっちゅう観察に没頭してしまい、年中真っ黒に日焼けしていました。動物園のお供には、飲み物と帽子を忘れずになさってくださいね。
どうぞ楽しいひとときを、動物園でお過ごしください!
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