犬の目が白くなる病気として有名なのが、白内障です。

 

白内障は、私たち人間同様に水晶体の一部や全部が白濁する病気ですが、現在の医療では犬も手術をすることにより白内障を治すことが可能となりました。しかし、気になるのは手術内容や費用面ではないでしょうか。

 

どうして白内障が起こるのか

私たち人間と同様に、犬にも白内障が発症します。白内障とは、眼の水晶体の一部や全部が白濁する病気のことを言い、以下の種類に分類されます。

 

先天性白内障

病気とは別に先天性に発症するものをいいます。

 

後天性白内障

老化・糖尿病・外傷・中毒・網膜症・ブドウ膜炎などにより発症します。特に糖尿病の場合、白内障の治療と並行して糖尿病の治療も必要になります。

 

遺伝性白内障

先天性や後天性とは別に遺伝も関係していると言われており、下記に挙げる犬種は、白内障を発症しやすい傾向にあります。

●プードル

●柴犬

●ビーグル

●アメリカン・コッカー・スパニエル

●ミニチュア・シュナウザー

●ボストン・テリア

 

犬の白内障を知ろう1 | Fanimal(ファニマル)

 

これらの犬種は、年齢に関係なく発症するリスクがあるため、覚えておくといざという時に役立ちます。

 

私たちの場合、白内障というと高齢の人がなる病気という認識があります。そのため、犬が白内障になると「老化」と捉えがちですが、実は、犬の場合は必ずしも白内障=老化ではありません。

 

もちろん、老化も白内障が起こる要因ではありますが、犬が白内障の手術をする平均年齢は5歳位と言われているのです。つまり、その点に関しては、私たち人間とは異なるということです。

 

白内障の症状を知ろう!

白内障は、進行度により症状が異なりますが、すべてにおいて共通しているのは、目が白濁することです。

 

ちなみに、白濁することにより、景色は薄くぼやけた状態で見えるようになります。私たち人間に例えるならば、霧がかかった視界といったところでしょう。

初期白内障

目を見た時に、濁りが現れた段階のことをいいます。この段階では、まだ視力の変化もなく、運よく眼科検査で発見されることはあっても、飼い主さん自身が見つけるのはまだ難しい状況です。

 

未成熟白内障

濁りが瞳孔にかかり始める時期で、人間の場合は目がかすむなどの自覚症状が出始める段階のことをいいます。通常であれば、この段階で治療を開始し、視力の低下具合によって外科治療を行います。

 

未成熟白内障の場合、水晶体の一部が白濁した状態になるため、飼い主さんが見ても目の異常に気付くことができます。できれば、この段階で治療を開始した方が、愛犬のためには良いでしょう。

 

成熟白内障

水晶体全体が、完全に白濁してしまった状態のことをいいます。飼い主さんから見て、目の白濁している割合が増えたら、それは成熟白内障の可能性があります。

 

この段階まで来ると、治療が困難になったり、手術も難しいものになってしまう可能性もあるため、獣医師とよく相談をして治療計画を立てた方が良いでしょう。

 

犬の白内障を知ろう2| Fanimal(ファニマル)

 

また、目が白濁する他にも、視覚障害を示す行動を起こすことがあります。

 

これは、障害物にぶつかる・歩行時につまずく・壁伝いに歩くなどの症状のことで、日中よりも夜の方が症状が出やすいと言われています。(犬は、昼間の方が平衡感覚を保てるため、感覚で動くことが出来る)

 

ただし、これらの症状に気づいた時は、愛犬の白内障の症状はかなり進行している状態といえるため、出来るだけ早く動物病院を受診するようにしましょう。

 

ここで気を付けたいのが、白内障=目が白濁するとは限らないということです。多くの場合、目の白濁は白内障のことが多いのですが、白内障の他にも核硬化症というものがあります。

 

核硬化症は、水晶体の中心部が老化とともに白く見えるようになってくるのですが、白内障と違い視力を失うことがありません。そのため、通常は治療の必要がない場合が多いです。

 

つまり、眼科検査を行う際は、スリットランプという検査で水晶体のどの部分が白濁しているかをしっかりと検査する必要があります。

 

白内障は手術で治せる!

白内障の治療法には、内科治療と外科治療の2種類があります。比較的初期段階の白内障であれば、視力がまだ失われていない状態なので、点眼薬で進行を抑える治療を行います。

 

ただ、点眼薬は進行を抑えるだけなので、失った視力を回復させることはできません。したがって、白内障がある程度進行した場合は、水晶体を摘出し犬用の眼内レンズを挿入するという外科的手術を行います。

 

白内障の手術は、全身麻酔をして行います。特殊な機械の超音波で、白濁した水晶体を粉砕し取り除いた後、犬用の人工眼内レンズを挿入し視力を調整していきます。

 

こうすることで、犬の視力が回復し、以前のような生活を取り戻すことができるのです。また、手術時間も約30分ほどで比較的短い時間で終了します。

 

ちなみに、白内障手術の成功率は、約96%と言われており、やはり初期の段階で手術を行う方が良いとされています。もちろん、この点に関しては白内障に限らず他の病気も同じといえます。

 

手術後は、数日間の入院を経て自宅治療へと移行します。自宅治療を行う際は、術後の目の状態を守るためにエリザベスカラーを首に巻き、しばらくの間は点眼と内服にて治療を行います。

 

また、術後に合併症(緑内障・浮腫・眼内感染など)が起こることもあるため、術後の治療の徹底や、状態を変化など記録して何か異変を感じたらすぐに相談するようにしましょう。

 

犬の白内障を知ろう3 | Fanimal(ファニマル)

 

なかなか聞けない…治療費の目安について

ペット保険が普及してきたこともあり、以前に比べると治療費はだいぶ軽減されてきていますが、それでもまだ、犬の治療費はかかります。

 

一般的に、白内障と診断するまでの眼科検査でも平均して1万円前後(眼圧・眼底・涙液量・スリットランプ等の検査を含む)する場合が多く、これらに点眼薬の料金や経過観察で何度か通院することにより金額も増えていきます。

 

もちろん、これは初期段階の治療をした場合のため、外科手術をして白内障の治療を行うとなると、治療費も大きく変わってきます。

 

外科手術を行う場合、動物病院によって金額は異なりますが、だいたい1眼20~25万円前後が目安とされています。

 

手術費用には、血液検査(全身麻酔をするので、血液検査は必要)・手術料・全身麻酔料・入院中の検査・治療・入院量などが含まれており、動物の術前後の状態にもよって異なります。

 

金額の面は、どうしても気になる部分ではありますが、やはり症状が軽い段階で(尚且つ健康な状態)手術を行うほうが、費用面に関しても多少は安くなる場合が多いです。

 

これは、健康状態が良く治りが早い方が入院や治療も少なく(短く)済むからで、逆に、費用面を気にしてなかなか受診をしない結果、症状が悪化してしまうケースも少なくありません。

 

そうなると、治療や入院に時間がかかることが多くなり、かえって治療費が高くなってしまうケースが多いです。出来るだけ安く済ませようと思うなら、やはり初期の段階で治療をした方が、飼い主さんのお財布事情や愛犬の負担を考えた上でも良いでしょう。

 

愛犬が白内障になってしまったら

愛犬の目の白濁に気づいたら、出来るだけ早い段階で動物病院を受診することが大切です。また、日頃から愛犬のボディチェックを行い、素早く異常を発見できる体勢を作っておきましょう。

 

ボディチェックは、愛犬とのコミュニケーションの一環として行えば、お互いの信頼関係も増すため、一石二鳥かもしれません。

 

犬は自分で話すことができないため、視力が落ちたとしてもそれを伝える術を持っていません。そのため、愛犬の健康管理は飼い主さんに掛かっていると言っても過言ではないでしょう。

 

きっと、日々のちょっとした異変に気付くことが、愛犬の白内障を救う鍵になることでしょう。

 

犬の白内障を知ろう4 | Fanimal(ファニマル)

 

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