うちの子が痩せたり、太ったりするのはどうして?編(前編)

 

前回から引き続き、うちの子が痩せたり、太ったりするのはどうして?後編として動物側の要因の後編、E.身体状況、F.内服薬の使用状況について考えてみたいと思います。

 

E.身体の状況

運動量(消費量)>摂取量 or 運動量(消費量)<摂取量

 

痩せている?太っている?という話の中で必ず出てくるイメージです。運動量は散歩の時間という環境要因も関わるので複雑ですが、動物側の要因とすれば、疾患の有無で運動量(消費量)、摂取量に変化が起こるということになります。

 

筋骨格系疾患

椎間板ヘルニア、関節炎等の疾患が代表的ですが、その疾患の重症度によって筋肉量や運動量に変化が生じます。筋肉量とエネルギー要求量は関連がありますから、体重も増減します。

 

内分泌疾患

甲状腺疾患や副腎疾患等のホルモンに関わる疾患でも体重の変化が認められます。

 

甲状腺ホルモンは代謝を活発にしてエネルギーを使わせるホルモンですから、甲状腺ホルモンの過剰症は、食べても、食べても痩せてしまいます(高齢の猫の代表的疾患)。

 

逆に甲状腺ホルモン低下症は、老齢犬に潜んでいる可能性のある疾患で、代謝が不活発になり、なかなか痩せない、うちの子、歳だから寝てばかりいるという症状等もあらわれます。

 

副腎疾患で筋肉量に変化が出る疾患は、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)です。食欲や飲水量の増加や肝腫大(肝臓が腫れて大きくなる)して、お腹がふくれるので、一見肥満に見えますが背中、腕や足の筋肉量は減少します。

 

その他にも合併症が多いのもこの疾患の特徴なので単純に肥満と思わず病院で相談して下さい。

 

消化器疾患

慢性消化器疾患では、嘔吐・下痢によって食物の消化吸収が妨げられ体重が減少します。意外に知られていないことですが、嘔吐・下痢などの症状を出さずに排便量や排便回数が増加するだけの症例もあります。

 

心疾患・腎疾患・皮膚疾患

これらの疾患は通常、痩せていく疾患です。心臓や腎臓が悪いのだから痩せてしまうのは、感覚的に理解しやすいと思います。しかし、皮膚疾患でもかゆみ等の症状がひどい時など痩せていくことがあります。

 

また、これらの病気は処方食(療養食)を動物病院でオススメしますが、体重を維持し痩せていくことを防ぐ目的で処方しますので、健康な動物が常時食べてしまうと、逆に体重増加につながるので注意が必要です。

 

 

F.内服薬の使用状況

病気になるとお薬を飲ませることになりますが、お薬によっては食欲を増進させる効果があるお薬や筋肉量に変化を及ぼすお薬もあります。慢性疾患で継続した治療が必要な場合に体重や体格に変化が認められる時には、かかりつけの先生に相談して下さい。

 

前後編2回にわたり栄養状態に影響する動物側の要因ついてお話してきました。どうしても“痩せる・太る”のお話は食物(内容、カロリー)だけに注目してしまいます。食物の吟味も重要ですが、うちの子の健康状態に合わせた食餌を考えるように心がけて下さい。

 

イラスト:Mayumi Mori

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