
愛犬がご飯を食べてくれない…!困った時にやってみて欲しいこと
私がお受けする犬の飼育相談の中で「ご飯を食べてくれない時があるのですが大丈夫でしょうか?」という不安の声が寄せられることがあります。
生き物にとって食べることは生きること、今回は犬がご飯を食べない理由と対処法等を我が家の食育エピソードを交えてお話します。
犬がご飯を食べない時に確認するべき点
愛犬がご飯を食べない時に、病院に連れて行った方が良いかどうかを判断するために、まずは以下の項目を確認して下さい。
● 元気の有無
● 嘔吐や下痢の有無
● 鼻水とよだれ(量が多い、緑色や黄色は異常です)
● 歯茎と舌の色(白っぽい、青白いは異常です)
● 目やに(緑や赤いのは異常です)
● 目の充血の有無
● 尿の回数と色(多尿、赤い、茶色は異常です)
● 発熱の有無
確認項目の何れかが該当し、不安がある時は速やかに動物病院を受診して下さい。
正常時にご飯を食べない理由と対策
若い健康な犬(7歳位まで)の場合に考えられる理由は主に3つ、それぞれの対策も考えてみましょう。
1)食べ過ぎている
単純にお腹が空いていないから食べないだけで、前日にご飯を食べ過ぎていたり、当日におやつを与え過ぎている時に、犬が自分で食べ物の必要量をコントロールしていることが考えられます。
<食べ過ぎの対策>
基本的に健康な犬は3日間位ご飯を食べなくても問題はないので、あまり心配しなくても大丈夫です。
まずは食欲をを正常に戻すため、かわいそうな気もしますがご飯とおやつを丸一日抜きます。
翌日には当然お腹が減りますから食べるようになります。
この日はいつもの量の半分だけ与えます。
その後はご飯の量を徐々に調整しつつおやつを与え過ぎないよう気を付けていけば、毎日コンスタントに食べるようになるでしょう。
我が家のダックス達は前日に与えたドッグフードの量が多かった時、当日は一口程度しか食べず、また翌日に旺盛に食べる等、犬自身で食事量をコントロールします。
私はその経過を見ながら個々の給餌量を毎日コンスタントに食べる量に調整します。
また、季節によって必要量が変わりますので、夏~秋が100gとしたら秋~冬~春は120~150g位を目安に給餌量を増減します。(このg数はあくまでも目安です)
ご飯は一日1回(夜)、おやつも一日1回(昼)、小さめのビスケットやクッキーは2個、茹でた人参スティック(1cm角×長さ10cm位)は1本を与えています。
2)偏食
いつものドッグフードに飽きたり、ご飯よりおやつが食べたい等の欲求から食べないことがあります。
<偏食の対策>
偏食傾向の場合「ドッグフードは食べないけど手作り食にしたら食べた」という解決事例も多くみられます。
ドッグフードは犬に栄養バランスが良い給餌を手軽にできる手段として作られたものです。
ですから手作り食でも、最低限の必須栄養素をしっかり考慮して、足りない栄養はサプリメントや調味料などで充分に補えますから、思い切って手作り食を試してみるのも良いと思います。
ドッグフードを続ける場合のやり方として、おやつの量を減らしてご飯を与えても食べない時には、10分程でご飯を片付けてしまう方法もあります。
こうして「食べなければ片付けられる」と教えていきます。
その後もおやつは少しだけにして、ご飯とおやつは別であることを教えるために、おやつはご飯の時間より3~5時間前までに与えましょう。
いつものフードに飽きてしまった場合も同様です。
飽きる度にフードを変えていてはそれが永遠に続くことになりますので、トッピング等で匂いを変えて与えてみるのも良いでしょう。
我が家では飽きて食いつきが悪くなった時に、小さじ一杯の無糖ヨーグルトでフードを和えたり、細かく刻んだ野菜を煮て大匙一杯程トッピングして温かい煮汁をかけてあげると喜んで食べます。
飽きが理由の場合は匂いが変われば割と解決します。
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3)生理的な理由
発情期中のメス犬やその匂いを察知して発情したオス犬は、興奮状態にあるために食欲が減退して数日間無食になり、体重が減少する場合があります。
<生理的理由の対策>
1日以上まったくご飯を食べようとしない時は、低血糖を起こさない様に愛犬が大好きなもの(果物、クッキー、パン等)を少しだけでも食べさせるようにしましょう。
我が家では、発情による食欲減退や無食の場合、生肉ボールを作って一日3粒食べさせます。
自分から食べようとしない時は口を開けて喉の奥に押し込み、手で口を閉じて抑えて喉をさすって飲み込ませます。
(薬を飲ませるような感じです)
<生肉ボールの作り方>
ラム肉(または馬肉、牛肉赤身)を包丁で叩いて粗微塵にしたものにハチミツを混ぜ、直径1センチ程のボールに丸めます。
(ボール1個にハチミツ1滴くらいの割合です)
これまでは若くて健康な犬の場合をお話してきましたが、7歳以上のシニア犬についてはまた理由が違ってきます。
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シニア犬がご飯を食べない時に考えられる理由
犬の老化が進むことで生じる3つの理由が考えられます。
1)嗅覚低下による食欲減退
犬は食べ物を舌で味わうのではなく嗅覚で味わいます。
そのため、嗅覚が低下すると食べ物の匂いを感じることが鈍くなり食欲を刺激できなくなります。
<嗅覚低下の食欲減退対策>
ドッグフードにお湯やスープをかけたり、手作り食を温かい状態で食べさせます。
40度前後の温度にすることでご飯が強い匂いを発して食欲をそそる効果が期待できます。
犬は甘い匂いと酸っぱい匂いを好みますので、数滴のハチミツや酢を垂らすのもオススメです。
我が家の11歳のダックスと15歳の柴犬には、45度位のお湯やスープをドッグフードにかけて与えています。
それでも食欲がわかない時はハチミツや酢を数滴垂らす、他には小さじ一杯の納豆を混ぜ込むことでも効果が出ています。
2)基礎代謝の低下
段々と体の自由が利かなくなることで運動量が著しく減ると基礎代謝が下がって食欲が減退します。
<基礎代謝低下の対策>
歩けるのであればゆっくりと散歩させる、歩けない場合は脚の曲げ伸ばし等のストレッチをさせることで、筋肉で酸素を消費させて代謝を上げることができます。
我が家のシニア犬は散歩の途中で抱っこのおねだり、室内でもドッグランでも寝てばかりなので、おやつをあげる時におやつを遠くに放り投げて走らせます。
寝たきりの犬には関節と筋肉が固まらない様にストレッチをさせることで代謝上昇を促しています。
3)偏食が激しくなる
これまでチキン系のフードを好んでいたのにまったく食べなくなり、これまで好まなかったビーフ系を食べるようになるなど、好みが変わったり好き嫌いが極端になることがあります。
<偏食の対策>
好むものを食べさせるのが一番の解決法です。
1k入りのドッグフードを数種類購入しておいて日替わりで与える、フードをミックスして歯ざわりに変化を与えるのも良いです。
我が家では極端な好き嫌いは出ていませんが、柔らかくふやかしたドライフードに日替わりで煮た野菜や鶏肉、納豆等を混ぜ込む事で匂いと食感に変化をつけて与えています。
※若い犬もシニア犬も、葉物野菜に含まれるシュウ酸には尿結石発症の心配がありますので、煮た野菜を与える時はホウレンソウや小松菜等は茹でた後に充分に水でさらしてから使うようにして下さい。キャベツや白菜、人参、大根、カボチャ、イモ類、ブロッコリー等は茹でて冷ますだけで大丈夫です。
シニア世代の愛犬がご飯を食べてくれないとそれだけでも大きな不安を感じるものですよね。
その原因は老化による内蔵機能の低下、既往症や合併症によることも少なくありません。
不安が拭えない時は獣医に相談することが一番の対策です。
飼い主がいつも不安を抱えて心配ばかりしていると、それが愛犬に伝わってマイナス効果を呼んでしまうこともあります。
若い健康な犬もシニア世代の犬も、異常がみられないのであればあまり心配せずに、飼主も愛犬との駆け引きを楽しみながら対策を講じてみて下さいね。
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