
犬のしっぽの動きと気持ち
犬は目や顔に感情がよく現れる動物ですが、もう一つ、表情豊かな体の部位が「しっぽ」ですね。
しっぽをブンブン振っていたら犬が喜んでいるということは多くの人が知っているところですが、しっぽはそれ以外の感情も現してくれます。
犬のしっぽの役割としっぽから分かる犬の気持ちについてご紹介します。
犬のしっぽの役割
長いしっぽから短いしっぽまで様々な形状がありますが、感情を表す以外にも様々な役割を持っています。
当然ながらしっぽには骨と筋肉、神経があって自在に動かすことができます。
しっぽはバランスを取る補助をしている
犬が勢い良く走っていて方向転換をする時などに、しっぽは遠心力に対してバランスを取るように、向かう方向へ力を入れています。
また、泳ぐときなどもバランスをとったり、ときにはオールとしての役割を果たしたりと、しっぽは犬の動きを補助する重要な器官なのです。
コミュニケーションツールとしてのしっぽ
犬は目や顔の表情、耳などに感情が現れやすいですが同様にしっぽも犬の感情を反映した動きをします。人間も犬のしっぽを見て犬の感情を推し量りますが、犬同士でも同じことをしています。
相手の犬に「好意」、「敵意」、「緊張」などを知らせているのです。そのことによっていらない争いを回避できる場合もありますね。
犬のしっぽでわかる感情
しっぽをブンブンと振っていると喜んでいるという以外については、あまり知らない方も多いのではないでしょうか。
散歩などで知らない方に会ったときにしっぽを振る犬は多いですが、必ずしも喜んでいるわけではありません。
しかしそれを知らない人は喜んでいると思い不用意に触ろうとする場合もあります。
万が一、犬が相手の人を噛んでしまったら大ごとになってしまいますし、そんなことになったら犬にとっても大変なトラウマです。
犬の表情とともにしっぽの動きをよく見て、犬の気持ちを察して相手の方に「少し緊張しているようなので」などと説明すれば、このようなトラブルを未然に防ぐことができますね。
犬はあくまでも犬であること、万が一の事故が起こる可能性がゼロではないことを心に留め、しっぽや表情から気持ちを察してあげることが愛犬の身を守ってあげることにもつながります。
知っておきたい代表的なしっぽの動きをご紹介します。
ブンブンと素早く勢い良くしっぽを振るのはうれしいとき
飼い主さんが帰宅したときなどに見られるしっぽの振り方。
これは間違いなく喜びや歓迎を現しています。
そんなときは犬の目もキラキラして生き生きした表情をしているはずです。
しっぽの位置は低くゆっくり振るときは少し不安
これも散歩に行ったときなどによく見られます。
顔の表情は真剣でしっぽの位置は腰より低く、ゆっくりとしっぽを振っているときは少し警戒していたり不安だったりするときです。
見慣れないものを見たり音を聞いたりしたときによく見られます。
知らない人に会ったときにしっぽを振っていても位置が低ければ、警戒している証拠ですのでむやみに触らせたりしないようにしましょう。
社会化ができている犬は犬に余計なストレスを与えないようにするのも飼い主の努めです。
犬にも人間と同じようにパーソナルスペースがあります。犬をよく知らない人はしっぽを振っているだけで喜んでいると勘違いし、一気に距離を縮めてしまう人もいます。
しっぽが後ろ足の間に入ってしまっているときは強い恐怖
しっぽを後ろ足の間に巻き込むようにしているのは強い恐怖を感じているときです。
そして、「これ以上何もしないで」「助けて」という降参状態であることも示しています。
病院などに行ったときは、しっぽがお腹の下に丸まってしまっても診察は受けなければなりませんが、通常の生活の場面ではそのようなときは無理強いせずに少しずつ不安を和らげてあげ、犬が嫌がらない方法を取ってあげたいですね。
しっぽを水平に伸ばしているときは好奇心と警戒
しっぽを地面とほぼ水平に伸ばしているときは、「あれはなんだろう」という好奇心や「あなたはどこの誰なの?」という警戒の気持ちを現しています。
散歩などで初対面の犬に出会ったときによくこのようなしっぽになります。
しっぽが高く掲げられているときは警戒と誇示
しっぽを斜め上や、少し背中側に倒れるほど高く掲げているときは、強い警戒心と「自分は強いんだぞ」という誇示です。
同時に背中の毛が逆立ち、口が耳側に少し引いたようないわゆる引きつった表情になることも多いです。
我が家の犬は家の外に異変を感じたときに、このしっぽになります。
初対面の犬に対してこのしっぽを見せて自分の優位性を誇示するときもあります。
このしっぽの状態で他の犬とにらみ合わせるのは喧嘩を誘発するので、引き離したり他のもので気を引いたりしてその状態を解除するようにしてください。
まとめ
犬のしっぽの動きには多種多様の意味が込められていることが分かります。
コミュニケーションツールとしてしっぽはとても重要なものなので飼い主としても代表的なしっぽのうごきを理解しておくと、犬の感情がより理解できます。
そして一番大切なのは、犬がどのようなきっかけと感情を持ってあらわした行動なのかという点を考えて対応してあげることです。
前後の行動や、しっぽ以外の表情や行動、そして文脈までをよく見てあげるようにしてくださいね。
また、ときどき犬の種類によっては断尾してしまうことがあるのですが、通常の生活で断尾は全く必要がありません。
当然ながら苦痛を強いる行為で、ヨーロッパでは禁止されている国も多いです。
しかも、断尾することでコミュニケーションが取りづらくなるとも言われています。
ペットショップで売られる時にはすでに断尾されていますから、断尾が必要とされる犬種を望む際は良心的なブリーダから購入し、その際に「断尾はしないで」と伝えると無用な苦痛を与えずに済みますね。
しっぽは犬の大切な器官の一つ。
個人的には、できれば残してあげてほしいと思います。
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