北海道・旭川市にある「旭山動物園」は、アクセスがよいとはいえない場所にありながら、最盛期には300万人以上、現在も年間150万人も来園する動物園です。

その人気は日本にとどまらず、アジア各国から観光客が訪れるほど。誰もが「動物園って、こんなに楽しいものだと思わなかった」といってしまう魅力に迫ります。

旭山動物園の歴史

旭山動物園
旭山動物園は1967年7月1日に、日本最北の動物園として開園しました。最初は予想を上回る入園者数を誇ったものの、1980年代後半から入園者が減少、予算も乏しく厳しい運営が続きました。1994年には、ゴリラとワオキツネザルがエキノコックスに感染する事件が起き、廃園の危機を迎えます。

 

これまでの展示方法を見直し、動物が生き生きと動く姿を見せる「生態展示」に踏み切ると、ジワジワと人気が回復。マスコミなどで取り上げられる機会も増え、2006年・2007年には、年間来園者数300万人を超える快挙を達成しました。

旭山動物園の主な動物・見どころ

旭山動物園
旭山動物園には、パンダもコアラもいません。2006年にゾウも死んでしまいました。

 

現在150種類750点(開園当時は82種 496点)が飼育されていますが、キリン、カバ、ライオン、トラ、レッサーパンダなど、どこの動物園でも見られる動物たちです。

 

それでも旭山動物園が人気なのは、「檻の動物」を見せるのではなく、動物が本来持つ能力を見ることができるからです。

 

鳥が自由を手に入れた

旭山動物園
正門から入ると、「ととりの村」に迎えられます。施設全体を網で囲み、ハクチョウ、ガン、カモ類などの水鳥たちが、自由に飛びまわることができるようになっています。

 

これぞ「生態展示」の第一弾。すべてはここから始まりました。

 

ペンギンが空を飛ぶ

旭山動物園 ペンギン
ペンギン館は、旭山動物園を一躍有名にした施設の一つです。

 

水族館では、アクリルのトンネルを作って、魚を立体的に見せる手法を用いられていますが、それをペンギンで行うという発想が評判になりました。スイスイと泳ぐ姿は、まるで空を飛んでいるよう。

 

キリンの目の高さになる

旭山動物園 キリン
これは「アミメキリン」という種類です。縞模様が網のようでしょう?

 

この展示は「キリンは見上げるもの」という固定概念を捨て、キリンの目の高さから観察するという方法が取られています。壁にメモリも付いているので、その高さが分かりますよ。

 

カバが泳ぐ

旭山動物園 カバ
汚れた水に体を隠し、鼻やお尻がかろうじて確認できることが多いカバですが、ここでは澄んだ水を、スイスイ泳ぐ姿を見ることができます。

 

飼育員さんたちも、実際にカバを入れてみるまで「こんなに深い水槽に入れて溺れないのか?」と心配したとか。

 

アクリル製の観察窓はボロボロにされるので、定期的に交換しているそうです。

 

違う動物を同じ施設で飼育

旭山動物園 カピバラ
「くもざる・かぴばら館」は、南米に生息するクモザルとカピバラを同じ場所に展示する「混合展示」を実施しています。生活環境が水辺と空中に分かれていることから、テリトリーを犯さず、それぞれに刺激し合えるという意図があります。

 

なお、2016年8月に餌が原因と思われるトラブルにより、クモザルがカピバラに襲われる事故がありましたが、給餌方法などの改善が図られて混合展示が続けられています。

 

習性を展示に取り入れる【アザラシ編】

旭山動物園 アザラシ
パイプを行き来するアザラシや、水の中を泳ぎ回るホッキョクグマなど、動物の習性を展示に取り入れているのも特徴の一つ。自然界では生き抜くための攻防が繰り広げられています。

 

冬のあざらし館のプールには、氷が張られ流氷が再現されます。

哺乳類であるアザラシは呼吸をするために60分に1回は水面に顔を出しますが、この時に敵に襲われる危険があります。そこで氷が薄いうちに、空気を吸うための穴をたくさん作っておき、どこから顔をだすかわからないようにして身を守っているのです。

 

習性を展示に取り入れる【ホッキョクグマ編】

旭山動物園 ホッキョクグマ
ホッキョクグマ館にある観察用ドームは、氷の上に顔を出すアザラシの習性を利用しています。

 

ホッキョクグマはアザラシが好物なので、「おっ、アザラシみっけ!」と近寄ってくるため、迫力ある姿を見ることができるのです。

 

秘めたるポテンシャルを発揮

旭山動物園 トラ

オランウータンが空中散歩をしたり、ライオンやトラが低く吠える声が聴けたり、動物の能力を見せてくれるのが魅力的ですが、そうした派手な動物だけでなく、こんな地味な動物にもスポットをあてています。

 

旭山動物園 ヤギ
 

是非見てほしいのが、ヤギ。

 

物静かな性格で、「動物とのふれあい広場」の様な場所で、ムシャムシャと草を食べているだけの動物に思われがちですが、「山羊」と書くだけあって、高いところが得意です。

崖だけでなく木の上にのぼるヤギもいるんですよ。

 

生態系を守ることの大切さ【オオカミ・エゾシカ】

旭山動物園 オオカミ
その昔、北海道にはオオカミが棲んでいましたが、1889年に目撃されたのを最後に絶滅してしまいました。

天敵がいなくなったことによりエゾシカが増え、森林が食い荒らされ、自然破壊を招きました。

 

オオカミ館の隣にエゾシカ館を配置することで、かつての北海道の様子を再現するとともに、「生態系を崩してはならない」というメッセージを発信しています。

 

北海道の動物にこだわる【タンチョウ・シマフクロウ】

旭山動物園 タンチョウ

園内には、北海道に生息する動物たちを集めた北海道産動物やタンチョウ館をはじめ、たくさんの“道産子”動物がいます。

 

その中でも「シマフクロウ」は、自然界での生息数は、約160羽と絶滅寸前。展示しているのは旭山動物園と釧路市動物園だけというレアさ。見逃さないでくださいね。

 

子供から大人まで、年中楽しめる動物園

旭山動物園 ペンギンのパレード
旭山動物園は年中見頃です。春は桜が咲き誇り、夏は夜の動物園・星まつりを開催。

秋は紅葉が美しく、冬は雪あかりの動物園や、ペンギンのパレードが行われています。

 

ゴールデンウィークや、お盆などは混み合いますので、ゆっくり見たいのなら、その期間を外すことをオススメします。動物たちの躍動をその目に焼き付けてください。

旭山動物園データ

 

旭川市旭山動物園公式ホームページ

http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/asahiyamazoo/

住所

北海道旭川市東旭川町倉沼

電話番号

0166-36-1104

開園期間

  • 夏期:4月下旬~10月中旬
    午前9時30分~午後5時15分(入園は午後4時00分まで)
  • 10月中旬~11月初旬
    午前9時30分~午後4時30分(入園は午後4時00分まで)

  • 夜の動物園:8月初旬~8月中旬
    午前9時30分~午後9時00分(入園は午後8時00分まで)
  • 冬期:11月初旬~翌4月初旬
    午前10時30分~午後3時30分(入園は午後3時00分まで)
  • ※年度によって営業期間が異なります。また年に数日、休園日があります。

入園料

  • 大人(高校生以上):820円  市民(高校生以上):590円
  • 団体:720円 市民:490円
  • 小人(中学生以下) :無料
  • おもてなし券(1泊2日券): 820円
  • 動物園パスポート:1,020円
  • 科学館共通パスポート: 1,820円
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