
~番外編・犬の可能性を教えてくれたドッグスポーツ~ 十勝に暮らす3兄弟の徒然日記
みな様、こんにちは。
今日は、わたしの素敵十勝ライフではなく、ドッグスポーツにのめり込むきっかけとなったジョンとの歩みについてお話しようと思います。
1,ジョン・モネ・ムックとの出会い
我が家には、今3頭の犬がいるのですが三犬三様の出会いがありました。
まずは、我が家の長男・ジョンです。
今でこそMIX犬と横文字で言いますが、ジョンを拾った時には雑種と呼ばれていました。ジョンは生後2~3ヶ月くらいの時に突然現れました。
その地域は、町から離れていて、たまに犬を捨てに来る人がいる所でもありました。おそらくジョンも誰かが捨てて行ったと思われるのですが、ここは目の前が小学校。
もし、子ども達が襲われでもしたら大変、このままいるようであれば保健所に通報しなければいけないと言うことになりました。
そこで、捕獲できればわたしが引き取ると言うことで、小学校の先生が捕獲作戦を決行しました。作戦を始めてから2週間余り、ついに捕獲されてわたしの元に来ることになりました。これが、ジョンとの出会いです。
ジョンを迎えてから1年後。ジョンを迎える前に我が家には10歳になるトイプードルがいたのですが、11歳を迎えるとすぐに亡くなってしまいました。
ペットロスとまではいきませんでしたが、中型犬のジョンとはまた違った魅力のあるトイプードルを忘れることができず、死後1ヶ月余りの時に移動ペットショップで出会ったモネに一目惚れ。その日に連れ帰りました。
そして我が家の三男坊・ゴールデン・ドゥードルのムック。そういう犬種がいると知ってから、飼いたいと色々調べていた時に、縁に恵まれた犬舎がある茨城県のブリーダーさんから迎え入れることになりました。
ジョンとモネは、どちらかというと衝動的に迎え入れたのに対しムックは、犬種の特性やブリーダーさんを調べ、そのブリーダーさんとのやりとりの中で考えに考えて迎える決心をしました。
2,家庭でのしつけの壁
ジョンを迎える前に飼った経験のある犬は、2.5㎏のトイプードルだけでした。片手で抱き上げることができ、困ることもなかったのでさしたるしつけもせずにいました。
そんな生活の中にやって来たのがジョンです。捨てられた経緯はわかりませんが、ジョンは人に甘えると言うことを知らず、食べ物にも執着を示しませんでした。
その上なぜか男の人を恐れ、男の人がリードを持ったり近づいたりすると、吼えたり踵を噛もうとしたりするなど人へ危害を加えるかも知れないという心配がありました。
ある日、ショックな事が起こりました。庭で放して一緒に遊んでいた時、家の前の道路を自転車に乗った女の子が走っていきました。
するとそれを見たジョンが80センチのフェンスを乗り越え、その女の子めがけて走って行くという事件が起きたのです。
後ろから大きな声で「ジョン、だめ!」と叫びましたが、止まらず女の子の方へ走って行きました。
女の子や自転車をかじったわけではなく、手前で止まってわたしにつかまえられたのですが、もし、怪我をさせていたらと思うと冷や汗が出る出来事でした。
ジョンを迎えた日から、犬のしつけについて書かれた本をたくさん読み、実践していたつもりだったのですが、実際のところはジョンをコントロールできず逃走させてしまったのです。
正しくしつけをしておかないと大変なことになるかもしれないと痛切に感じ、本格的にしつけをしようとトレーナーさんを探したのでした。
3,ディスクドッグ競技との出会い
(※ディスクドッグ競技とは、人が投げたフリスビーを犬が空中でキャッチして得点を競う競技です。人がまっすぐ飛ばしたフリスビーをキャッチする競技とスケートのフリーのように人が演技しながら投げてキャッチさせる競技があります)
初めてお願いしたしつけは、10回でワンクール。
その10回がそろそろ終了するころ次をどうするかという話しになりました。
10回程度では心許ないかもと思っていたのですが、トレーナーさんに「スポーツを通してしつけることもできますよ。ちょうど十勝でディスクドッグの大会が開かれるので1度見に来ては?」と誘われて行って見たのがドッグスポーツとの初めての出合いでした。
初めて見たディスクドッグは衝撃的で、犬とこんなことができるんだ、できたら楽しいだろうな『わたしにもできたらいいな。』と憧れをもつには十分な瞬間でした。
トレーナーさんの「スポーツを通してしつける事も可能ですよ。」と言う言葉と、初めて投げたディスクを教えなくてもわたしの所に持ち帰るジョンを見て単純にできるかもと思い、トレーナーさん主催のクラブに入り、ディスクの練習を始めたのでした。
4、ジョンとの奮闘
人間にもスポーツが得意な人とそうでない人がいるように、犬の世界でもスポーツをするのに向いている犬種とそうでない犬種がいます。
スポーツをやる犬としてボーダーコリーが多いのは、やはり向いているからです。ドッグスポーツの世界では、犬種と血統をとても重要視することをディスクを始めてから知りました。
そんな中で雑種のジョンは、変わり種と言っても過言ではありませんでした。何を持って向き不向きとするかは様々なとらえ方があるでしょうが、個人的には競技に対するモチベーションと運動能力が違うと感じています。
どんな犬種でもできなくはないのでしょうが、向かないとされる犬種とスポーツをしようとすると、何倍もの手間と時間をかけないとできないと思います。
たとえば、ドッグキャッチと言って、犬自身が人の腕の中に飛び込み抱っこされる技があるのですが、ジョンは半年近くかかってやっとできるようになりました。
トイプードルのモネは、2,3回やれば要求されていることがわかり、1週間も続けて練習したら覚えてしまいました。サーカスにトイプードルが多いのも頷けます。
5,一緒にできた喜び
そんなジョンですから、1つ1つの技を覚えるまでにとても時間がかかりました。それでも1つずつ覚え、大会にも参加することができました。
大会ではそのほとんどがボーダーコリーという中で、ジョンは見た目にも目立つ犬でした。大会に参加するとプレイヤーのみなさんがジョンのことを覚えてくれ、次の大会には「進歩したね。」と気付き認めてくれました。
その言葉は、わたしの励みになりました。ドッグスポーツをやる資質に恵まれた犬種であれば難なくできることでも、ジョンは多くの時間をかけながら少しずつ進んでいきました。
わたしが諦めず、働きかけていく中でジョンも少しずつ少しずつできることが増えました。手をかけたらかけた分だけかえってくる、まるで子育てのようでした。
『手をかければかけるだけ応えてくれる』『犬にも可能性がある』という見方ができるということを教えてくれたのがジョンと共に挑戦したドッグスポーツでした。
6、最後に
もし、ジョンがボーダーコリーで、スポーツをやることに最も適した犬種であったならば、できることを当たり前の様に思いできた喜びを感じる事がなかったかも知れません。
特別な犬ではなく、昔なら玄関先にいた普通の犬だったからこそ、よりその可能性を感じたのだと思います。
わたしが手をかければそれだけ応えてくれるし、手を抜けばそれだけの結果しか出ないのです。共に相手を信頼し応えようと努力することで前に進めました。
なぜこれほど打ち込めるのか・・・・、自分でも不思議です。
これはわたしの一方的な思いだけでは成り立たない事です。互いに相手を尊重するから成り立っているのだと思います。「させる」のではなく「一緒に創り上げる」これが犬とスポーツをする醍醐味だと思います。
また、そこには、同じ道を歩んでいる仲間がいます。職場や井戸端では話し辛い犬談義もそこでは心ゆくまで話す事ができます。こうして考えてみるとやっぱりただの犬好きなだけなのかもしれません。
ジョンとモネとは、ディスクとアジリティ(人間の障害物競走と似たもの)に挑戦してきました。高齢になったので大会に参加しなくなったという意味では引退犬です。
まだ若いムックとは、アジリィに挑戦しています。この春からは、ドッグダンスにも挑戦し始めました。そして、つい先日、団体種目・グループムーブ(人で言うところのマスゲームのようなもの。複数の人&犬で音楽に合わせて団体行動をする)にも挑戦しました。
アジリティであれディスクであれ今まではひとりで行う種目だったものが、他犬との調和を考える新しい楽しみに触れることができました。
良いことばかりではなく、上手くいかないことの苛立ちや焦りもありますが、それら全てを楽しめる事が素敵なワンライフになっていると思います。みなさんも機会がありましたら、ぜひ、大会場をのぞいてみてください。素敵な出合いがあると思います。
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