猫の心臓病はあまり馴染みのない病気と思われますが、猫も人と同じように心臓病に罹ります。

 

猫の心臓病は初期に見つけることがとても難しいため、ある日突然、急変し亡くなってしまうこともある恐ろしい病気なのです。
命を救うためには早期治療が鍵となりますので「心臓病」について学び、猫ちゃんの体調の変化にいち早く気付いてあげましょう!

 

1.猫の心臓病とは?

心臓は、全身に血液を送り出すとても重要な役割を担っています。そのため、心臓病に罹ってしまうと全身の機能に障害を与えるため、急激に重症化し命を落としてしまう可能性もあります。

 

心臓病には、先天性心疾患と後天性心疾患があります。

 

先天性心疾患は、生まれながらにして心臓が奇形を持っていることにより発症する心臓病です。

 

後天性心疾患は、生まれてから発症する心臓病で年齢を重ねるにつれ、発症率は高くなります。

 

特に猫に発症しやすい心臓病として、「心筋症」が挙げられます。心筋が正常に機能しなくなることにより、全身に十分な血液を送り出せなくなってしまうため、命の危険性が高まります。

 

猫の心臓病について知ろう1 | Fanimal(ファニマル)

 

2.猫の心臓病の症状について

代表的な心臓病の症状については以下の通りです。

 

先天性心疾患

生まれながらに心臓が奇形を持っているため発症する心疾患です。

 

症状がほとんどなく生涯を終えることができる猫もいますし、生まれてすぐに重篤な状態に陥り命を落としてしまうこともあります。

 

症状がみられる場合は、奇形の種類や程度により様々ですが、主に疲れやすい・咳・チアノーゼ・むくみ・腹水などが挙げられます。

 

後天性心疾患

生まれてから何らかの原因により発症する心疾患です。特に猫は「心筋症」の発症が多く、肥大型・拡張型・拘束型の3タイプがあります。

 

心筋症は、どのタイプも初期症状がほとんどなく、症状がみられる時には進行している状態といえます。元気・食欲がなくなる、少しの運動で息があがる、一日中ぐったりしているなどの症状がみられた場合にはすぐに動物病院に連れていく必要があります。

 

重症化した場合、「心不全」を起こし肺水腫や胸水が貯留することにより、咳・呼吸困難などの症状がみられます。

 

また、全身の血流が悪くなるため、血管内に「血栓」(血のかたまり)ができやすい状態になり、できた血栓が末端の細い血管に詰まることで麻痺を起こし、歩けなくなったり、酷い痛みを伴ったりします。場合によっては、死に至ることもあります。

 

猫の心臓病について知ろう5 | Fanimal(ファニマル)

 

<肥大型心筋症>

心臓の筋肉がどんどん厚くなっていく心筋症です。3タイプの中でもっとも多く発症し、心筋症全体の60~70%を占めています。
6ヶ月~16歳と幅広い年齢の猫に発症します。

 

主な原因は、遺伝子の変異が関係しているといわれていますが、明確ではありません。

 

好発猫種:雑種、アメリカンショートヘアー、スコティッシュフォールド、メインクーン、ペルシャ、ラグドール など

 

<拡張型心筋症>

心臓の筋肉がどんどん薄くなっていく心筋症です。6歳以上の猫に発症しやすいです。

 

原因としてタウリン欠乏症が関係しているといわれていますが、現在のキャットフードは猫に必要な量のタウリンが含まれているため、拡張型心筋症は減少傾向にあります。

 

好発猫種:シャム、アビシニアン など

 

<拘束型心筋症>

心臓が十分に広がることができなくなってしまう心筋症です。3タイプの中で1番発症する可能性が低いです。

 

原因は明らかではありませんが、10歳以上の老猫に多いとされています。

 

好発猫種:雑種、ペルシャ、シャム など

 

猫の心臓病について知ろう2 | Fanimal(ファニマル)

 

3.猫の心臓病の治療法について

心臓病は基本的に完治しませんので悪化しないように維持をしていく治療を行います。
症状の程度により治療法も異なりますが、主に投薬により、心臓の働きを助け、血栓ができないように治療します。

 

心筋の収縮力を強める「強心剤」や血管を拡張させる「血管拡張剤」、心臓の負担を減らす「利尿剤」などの薬剤を数種類かけ合わせたものが処方されます。

 

また、食事の内容が心臓に負担をかけてしまうこともあるので、病院で処方されるフードに切り替えることも重要です。

 

緊急の場合は、酸素吸入や胸水(腹水)を抜く処置が行われ、血栓が詰まっている場合には薬剤により溶かす方法や手術により除去する方法が行われます。

 

しかし、手術はもともと弱っている心臓には負担が大きいのであまり行われない方法です。

 

猫の心臓病について知ろう3 | Fanimal(ファニマル)

 

4.あとどれくらい生きられるのか…余命について

心臓病に罹ると余命が気になりますが、個体差や様々な状況が関係しますので、あとどれくらい生きられるのかは分かりません。

 

寿命まで生きることができる猫もいますし、数日前まで、元気にしていた猫が突然亡くなってしまうこともあります。
大切なことは、今一緒に生活できている貴重な時間を楽しく過ごし、治療をしっかりと行うことです。

 

5.猫の心臓病の予防法について

心臓病の明確な予防法はありませんので、普段から猫の様子をよく観察することがとても大切です。心臓病は急激に進行し命を落としてしまうこともあるので、少しでもおかしいと思うことがあれば、迷わず動物病院に連れて行ってください。

 

食事はバランスのとれた「総合栄養食」を与え、太らせないことが重要です。また、なるべくストレスを与えない環境を作ってあげましょう。さらに、定期的に検診を受けることも早期発見に繋がります

 

心臓病は早期発見・早期治療が肝心!

心臓病は罹ってしまうと、一生付き合っていかなければなりませんし、いつ急変するか分からないため、猫ちゃんにも飼い主さんにも負担が大きい病気です。

 

しかし、なるべく早期に発見し、治療を行うことで、猫ちゃんの苦しみを和らげることができます。大切な猫ちゃんのためにも飼い主として毎日の観察と予防をしっかりと行ってあげましょう。

 

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