
赤ちゃんとの出会いによって信じる心を取り戻した保護犬
何をするにも一緒のなかよし赤ちゃんと犬。
愛らしい子供たちとペットの写真で満載の、カナダのエリザベス・スペンスさんのインスタグラムのフォロワー数は84千人。
ずっと見ていたくなるような、ほほえましい愛情に満ちた写真の数々が掲載されたインスタグラムが世界中で大人気です。
パピーミルから救出された子犬のノラ
犬のノラが愛してやまない赤ちゃんの名前はアーチー君。
小さなアーチー君に出会ったことでノラの世界は一変します。
ノラはアーチー君と出会う前は保護犬でした。
ノラは彼女の身の回りの世界のすべてを恐れていました。
それまで彼女が知っていた世界はせまく汚いケージの中だけ。
ノラはパピーミルから保護された生後10か月の保護犬でした。
劣悪な環境で愛玩動物を大量繁殖させるパピーミル
パピーミル(子犬工場)とは悪徳繁殖業者のことを言い、利益を得るために劣悪な環境で犬などの動物を大量に繁殖させます。
一部のブリーダーもこのパピーミルと言われる劣悪業者と同じ行為をしており、悪質ブリーダーと呼ばれることもあります。
悪徳繁殖業者は犬や猫を心がある痛みや苦しみを感じる動物としてではなく、ただ単に商品になる子犬や子猫を産む機械としてしか扱わないため、繁殖犬・猫は大変な苦しみを味わいます。
散歩などさせませんから生まれてから一度も狭いケージの外に出たことはなく、ケージに糞尿がたまりっぱなしで汚れ放題、食べ物も満足に与えられないこともあります。
もちろん、ひとかけらの愛情もかけられることもなく、病気になったら殺処分、もしくは死ぬまで放置されます。
生まれた子犬も運よく生き残ることができた子は売られて飼い主のもとに行けますが、悪徳繁殖業者の劣悪な環境の下で死んでしまったり、搬送途中で死んでしまうこともあり、日本でもその数は数万頭にのぼるとされています。
これは保健所での殺処分数には含まれていません。
汚物にまみれ衰弱していたノラ
パピーミルから救出されたとき、ノラは排泄物で汚れ衰弱しており、さらにまだ生後10カ月だというのにすでに妊娠させられていました。
犬は生後6カ月ほどで肉体的には成熟し妊娠可能になりますが、心はまだまだ子供です。
パピーミルでは子犬を大量に生ませて売りさばくことが目的ですから母犬は子犬さえ産めばよく、生後何か月だろうが、体調が悪かろうが妊娠させられ、用が無くなったら殺されます。
日本にもパピーミルは多く存在し、親犬は声を出せないように声帯を切られている場合も多くあります。
日本でも、山や川などに多くの犬が捨てられる事件が報じられたことがありましたが、悪質ブリーダーがいらなくなった親犬達を無残に捨てていたことが分かっています。
ノラは子犬のときに売れ残ったかもしくは最初から繁殖犬としてパピーミルに残され、子犬を生産するモノとして扱われていたのでした。
周りのすべてが怖かったノラ
ノラは生まれてから10か月間、愛情のかけらもない劣悪な環境に耐えてきました。
肉体的にだけでなく精神的にもダメージは大きく、保護されてからも全ての人間、すべてのものをとても怖がりました。
しかし、スペンス家の人々がノラを家族として受け入れてくれたときから、ノラの世界は恐ろしいものだけではなくなったのです。
エリザベス・スペンスさんはノラを家族として迎えた日のことは永遠に忘れられないと語っています。
「アーチーは、とてもおおらかで幸せに満ちた、温厚で優しい赤ちゃんです。動物たちはみんなそんなアーチーに影響されるのです。
特にノラはそうです。ノラはひどい虐待の過去からすべてのものを恐れていました。
しかしアーチーだけは別で、ノラはアーチーを深く愛しているのです」とアーチー君の母親のエリザベスさんは話しています。
スペンス家に来ても、すべてが怖かったノラ。
そんな傷ついた心を持ったノラでしたがスペンス家の赤ちゃん、アーチー君に出会ったことでノラは恐怖を忘れることができたのです。
人間の精神状態は犬に大きな影響を及ぼすことがあります。
犬に落ち着いていて欲しかったら、飼い主が落ち着いていることが第一だと言われます。
それとともに、動物と人間との相性もあるのでしょう。
筆者は保護活動をしており、里親さんと動物の関係を見させていただくことがあるのですが、毎日世話をしているわけでなくてもその人のことを犬や猫がものすごく慕うことがあります。
アーチー君とノラは運命ともいえるほど心が通じ合えたのかもしれませんね。
アーチー君といると幸せ
アーチー君のおかげでノラは周りの環境、人間や動物に対して恐怖心を抱かずに過ごすことができるようになりました。
ノラとアーチー君はなにをするのも一緒。
小さなアーチー君と一緒にいることでノラは幸せを感じるらしく、どこにでもアーチー君と一緒に行き、なんでも一緒にするそうです。
毎日一緒にお昼寝。
遊ぶときも一緒。
みんなで写真を見ます。
一緒にお散歩。
一緒に仮装もしました。
本を読むときも一緒です。
「アーチーがお風呂に入っているとノラはバスマットに横になり待っているのです。私がアーチーをあやしていると一緒にひざに乗りたがるし、アーチーがいたずらで床に皿をばらまいたりするとノラはアーチーを応援するのですよ」と話すエリザベスさん。
スペンス家にはノラのほかにもう1匹の犬、そして2匹の猫がいます。
みんな元保護犬、保護猫でした。
アーチー君には他に2人の兄弟がいて、みんな楽しく仲良く暮らしているそうです。
ノラの世界を変えたアーチ―君
まわりのものすべてが怖かったノラですが、アーチー君と出会ったことで今は世界がそんなに怖いものではなくなったようです。
ノラは今、毎日楽しいことがたくさんあって、穏やかに暮らしています。
エリザベスさんのインスタグラムには保護された当時から8年経過したノラのことが書かれています。
「ノラを保護施設から家族に迎えて8年たちました。施設にはノラの子犬もいてその子たちを選ぶこともできましたが私達はノラを選びました。
ノラは生後たった約1年で、鎖でケガを負わされ、衰弱し、周りのすべてに恐怖をいだくという苦しみに耐えなければならなかったのに、彼女は純金の心を持っていました。私達は間違っていませんでした。
ノラは優しく愛情深い犬で、私達は彼女を家族にできたことをとても感謝しています。」
日本でも悪質ブリーダーやパピーミルで虐待、遺棄された繁殖犬を救う活動をしているボランティアがおり、その保護犬達を家族に迎えている里親さんたちがいます。
パピーミルの現状や救出された子たちが愛してくれる家族を待っていることを知っていただきたいです。
それが保護犬たちの幸せ、そしてパピーミルの根絶につながっていくと思います。
出典:https://www.instagram.com/wellettas/
出典:the dodo
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