アメリカ・サウスカロライナで火事から瀕死の状態で救出された子犬が消防署犬として活躍しています。

 

火事の現場に逃げ遅れた子犬が

アメリカ、サウスカロライナ州に住むビル・リンドラーさんは、近所の家にあるガレージから火が出ているのを発見します。

 

ビルさんは火事だと分かるとすぐに現場に駆け付けました。
ビルさんは地元のハナハン消防署の消防士だったのです。

 

ビルさんはガレージから母犬と何匹かの子犬が走って逃げるのを目撃しますが、外に出ることができない子犬がいることに気がつきます。

 

「子犬が外に出ようとしたときに天井の一部が子犬の上に落ちてくるのが見えました。子犬は震えて悲鳴を上げ、建物に戻ってしまい、隅に隠れてしまったのです。」とビルさんは話しています。

 

 

救出するも瀕死の状態

消防署からの救援が到着したあと、ビルさんが建物に入って子犬を探すと、ソファの下に隠れた子犬がぐったりしているのを発見しました。

 

 

ビルさんは子犬を建物から連れ出しますが、全く動かず、呼吸もしていない深刻な状態でした。
酸素マスクを準備できるまでビルさんは子犬に人工呼吸を施したそうです。
懸命な心肺蘇生により呼吸を取り戻した子犬は、獣医に搬送されました。

 

子犬は体の75%の部分に2度から3度のやけど負っていました。
やけどは重症度が3段階に分かれており、3度が一番重症です。
本当にひどい火傷をほぼ全身に負っていたことになります。

 

 

 

飼い主に迎えに来てもらえなかった子犬

数週間後、ビルさんは悲しい現実を知ります。
子犬は奇跡的に一命をとりとめたにもかかわらず、飼い主が「医療費がかかる」と言って迎えに来なかったのです。

 

このことを知ったビルさんはもう一度子犬を助けることにしました。

 

 

「私は獣医師に子犬を連れて行きたいと言いました。そして医療費がいくらかかるか尋ねたところ、獣医師があなたは子犬を救った一人だから子犬の飼い主になるのにぴったりの人ですと話し、医療費については心配しなくてもいいと言ってくれたのです。」

ビルさんは子犬の飼い主になることを決めたときのことをこう話しています。

 

獣医師の良心的な対応とビルさんの心優しい申し出によって、子犬には愛してくれる家族ができたのです。

 

大切にしてくれる家族に引き取られることになったジェイク

子犬はジェイクと名付けられました。
ジェイクは重症だったために回復には数週間を要したそうです。
写真を見ると痛々しい傷を体中に追っていることが分かります。

 

 

でも、ジェイクは元気に遊び、決して不幸には見えません。
ビルさんはジェイクが一人でそのケガを乗り越えなくてもいいようにより添ってあげたのです。

 

 

病気やけがを負っている動物の回復には飼い主の愛情がとても重要だと言われています。
入院を余儀なくされている間でも、飼い主が面会に行くことで精神的にとても支えられるのです。
会いに行ったときの喜びようと目の輝きがそれを証明しています。

 

 

消防署のマスコット犬に

ジェイクが回復したので、ビルさんは正式にジェイクを家族として迎え、そして消防署にも連れて行くようになりました。

 

 

ジェイクが消防署に来たときの様子を「みんな死にそうなほど大喜びしました。ジェイクは消防署で最もかわいい生き物で、誰もがジェイクに恋したのです」とビルさんは話しました。

 

まるでこうなるのが運命だったようにジェイクは消防署の一員として活躍しているそうです。

 

ジェイクはちゃんと自分用のユニフォームも持っています。
消防署員として活躍するジェイクのために、ビルさんの奥さんが手づくりしてくれたのです!
帽子までちゃんとあって、とっても似合っていますね。

 

消防署にはちゃんとジェイク用のベッドが置いてあります。

 

ジェイクが消防署にいることはジェイク自身の健康にも、地域の人々にもたくさんの良い効果をもたらしました。
ジェイクは地元の小学校の火災予防に関する授業にも参加してします。

 

子供たちに大人気です。
こんなかわいい犬が授業に来てくれたら、きっと子供たちも一生懸命に話を聞くでしょうね。

 

現場から帰ってきた消防士たちにジェイクがあいさつをするだけで、消防士たちの疲れが吹き飛ぶとのこと。
ジェイクはとても重要な役割を果たしていますね。

 

 

市から正式に認められたジェイク

それまでは、単に消防署のペットだったジェイクですが、なんとその功績をたたえられハナハン市から正式に消防署のマスコット犬として認められたのです。

 

 

「Hanahan Fire Department K-9 oath of office」には、

「私、消防犬ジェイクはハナハン市消防署のマスコットであり、私の魅力で子供たちを笑顔にし、火事や緊急時にどう対処すべきかを勉強する手助けをします。私の取り組みはハナハン消防署の使命や価値を高めることに役立つでしょう。子供が関心を持っている仕事に大きすぎる、小さすぎるという区別はありません。」

と書いてあります。

 

行政側もこういうユーモアや気配りを発揮するところがとてもアメリカらしいですね。
ちゃんとジェイクの肉球サインまであるのです!

 

 

将来は火事で傷ついた子を癒せるセラピー犬に

ジェイクが大きな傷を負ったにもかかわらず火事から生還した姿を見ることで、同じように火事で傷ついた子供たちを癒してあげることが今後のビルさんの夢とのことです。

 

現在ジェイクは放火探知犬として、においで可燃促進剤を探知できる訓練に取り組んでいるそうです。

 

「ときどき、ジェイクの傷跡について人に聞かれることがあります。そのとき私はジェイクがどうしてこの傷を負うことになったか話します。そして、この傷はジェイクが消防士であるバッジですと伝えているのです」とビルさんは語っています。

 

 

大きくなってもビルさんに甘えるジェイク。
今も背中に大きな傷はありますが、ジェイクの心は愛情で満たせされているようです。
ビルさんは、私はジェイクを助けるためにあの火事の現場に居合わせたのだと思っていると話しています。

 

命と財産を守るために危険な現場に挑んでいく消防士の仕事は、最も重要で尊敬されるべき仕事のひとつでしょう。
消防士の使命として現場に駆け付け、さらに子犬の命を救ったビルさんの行動には動物好きであれば、さらに深く心を打たれるのではないでしょうか。

 

欧米の消防士たちは、人間だけではなくペットの命も救おうと奔走します。
このような心優しい消防士たちのおかげでジェイクのように九死に一生を得た命もたくさんあるのです。

 

人間用の酸素マスクを工夫して使用する場合もあるとのことですが、動物用のマスクを保持している消防署もあるそうです。
さすが動物愛護の意識が高い国ですね。

 

 

出典:the dodo

 

関連記事

赤ちゃんとの出会いによって信じる心を取り戻した保護犬

16歳で捨てられた老犬、運命の出会い

路上に捨てられた盲目の子犬とその兄弟犬

(Visited 2,709 times, 1 visits today)

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう