
二本足の子猫キャシディ | 飼い主の愛で幸せをつかむ
後ろ足がない子猫
カナダのブリティッシュコロンビアにある個人の土地で、傷ついた子猫が発見されました。
ある日、土地の所有者の男性は小さな衰弱した子猫がいることに気がつきます。なんとその子猫には、後ろ足が2本ともありませんでした。
子猫のそばには兄妹猫が一緒におり、男性は動物愛護団体の「タイニーキトン」の代表、シェリーさんに連絡します。
シェリーさんは2匹を保護するとすぐに獣医へ連れて行ったのです。
TNR活動を行う動物愛護団体
カナダにある動物愛護団体「タイニーキトン」は、TNRによる猫の保護を主な活動としている団体です。
TNRとは、飼い主のいない猫を「Trap(捕獲)し、Neuter(不妊手術)を行い、Return(元の場所に戻す)し地域猫として見守る活動のことを言い、近年日本でも多くのボランティアが取り組んでいます。
本来であれば野生動物ではない猫には飼い主がいて当たり前ですが、野良猫として生きることを余儀なくされている猫が多数いるのが現状です。猫は好きで野良猫になったわけではありません。捨てられるなどして、仕方がなく野良猫として生きざるを得ないだけです。
どんなに努力しても全部の野良猫を保護してあげることはほぼ不可能ですから、TNRを行うことで繁殖を防止することによって数が増えるのを抑制し、地域住民とのトラブルになったり、それにより虐待されたりするのをできるだけ防ぎ、その地域で生きる道を与えることでなるべく殺処分や不幸になる猫を減らそうとしています。
タイニーキトンを立ち上げたシェリーさんは元々コンピュータプログラマーですが、TNRの実施と地域猫の支援、そして人々への啓蒙のためにこの活動を始めました。
土地の所有者の男性はボランティアと、猫のために土地の提供をしているのだそうです。
なかなかまねができない志の高さです。
キャシディが生き残ったのは奇跡
子猫はキャシディ、兄弟の猫はトッパーと名付けられました。
キャシディは保護時に生後2カ月ほどと推測されましたが、とても小さくやせていて、後ろ足の切断面の感染症がひどく悪化していました。
野良猫の子として産まれた子猫は約25%としか生き残れないと言われています。
外での生活は非常に厳しいので子猫が成長できる確率は非常に低いのです。
食べ物が十分でなく母猫が子猫に栄養が与えられない、オス猫が子猫を殺す(未去勢のオス猫は子猫を殺すことがあります)、交通事故、病気など様々な理由で、母猫が産んだ数匹の子猫全員が死亡してしまう例も珍しくありません。
筆者は妊娠している母猫を保護したことがあります。
妊娠してしばらく野良猫として暮らしていたため栄養が十分ではなかった母猫は、子猫を産んでからも体調が回復せず、毎日の輸液によってなんとか命をとりとめました。保護できていなかったら母猫も子猫も死んでしまっていたでしょう。
そんな厳しい状況の中、さらに後ろ足がない小さな生まれたばかりの子猫が8週間も生き残れたことは奇跡に近いことです。
なぜ生き残れたかはわかりませんが、トッパーが常にキャシディに寄り添っていたことも大きな理由かもしれません。
母猫は障害がある子猫を見捨てることがありますが、キャシディの母猫はそれをせずにお乳を与え、動けないキャシディのそばにトッパーが常にいたことで体温が維持できたのではないかでしょうか。
子猫に適した室内温度は25℃と言われ、筆者も幼い子猫を保護したときはとにかく温度が下がらないように様々な工夫をします。
子猫が小さいほど、兄弟猫の存在は大きいです。
子猫は通常母猫に抱かれて体温を維持することができますが、何らかの理由で母猫と離れてしまたっときに兄弟がいればお互いを温め合うことができるからです。
1匹のみだった場合よりかなり生存率は上がるでしょう。
キャシディのためにできることはすべてやる
幸運にもシェリーさんに保護されたキャシディでしたが、感染症がひどく獣医師からは安楽死を勧められてしまいます。
しかし、シェリーさんはこの小さな子猫のためにできることはすべてやると決心していました。
病気で死んでしまうにはキャシディの猫生はあまりに短い。
キャシディの足は先天的に無かったわけではなく、出産時にさい帯が後ろ足に絡まってしまい、母猫がそれを取ろうとして誤って噛み切ってしまったのではないかと考えられるそうです。
助かるかどうかわからなかったキャシディですが驚異的な生命力を発揮して、日を追うごとに回復していったのです。
キャシディは自分でご飯を食べられるようになり、自分でちゃんとおしっこをして、兄弟と遊ぶまでに回復しました。
保護してから5日目には歩けるようになったのです。
キャシディに車いすをプレゼント
シェリーさんの献身的な介護と愛情ですっかり元気になったキャシディ。
そして車椅子の使い方も上手です。
キャシディには2つの車いすが寄付されました。
ひとつはハンディキャップ・ペット・カナダという障害がある犬や猫のための車椅子を販売している会社から。
そしてもう一つは、地元ラングレー高校の2人の生徒が3Dプリンターで作ってくれたのです!
技術の進歩が動物のために使われることが素晴らしいですし、高校生が障害のある猫に関心をもってその子ために尽力してくれるなど、本当に心が温まりますね。
できないことはなにもない
キャシディの兄妹のトッパーには先住猫がいる里親さんが決まりました。
キャシディはシェリーさんのうちで、シェリーさんが以前から飼っていた猫(こちらも保護猫)に猫としての態度を教わっているそうです。
現在2歳になったキャシディにはできないことはほとんどありません。
キャットタワーのてっぺんからジャンプ!
掃除機も上手に使えます。
目的地まで掃除機に乗って行きますよ!
その様子はYouTubeでも見ることができます。
キャシディの足の治療は現在も続いているようですが、キャシディは自分にはできないことがあるなどとは考えずに毎日を楽しく暮らしているようです。
出典:tinykittens
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