
猫の便秘の原因と解消法まとめ。気を付ける症状、疑う病気は?
飼い猫のうんちが出ていないように感じると、まず疑うのが便秘ですよね。
飼い主さんの中には便秘の具体的な症状が分からなかったり、対処法に悩んだりしてしまう方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、猫が便秘のときに見られる症状や飼い主さんが自宅でしてあげられる解消法などを詳しくまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
猫の便秘の症状と受診の目安
ここでは、具体的な症状と受診する目安を解説していきます。

便がでない日数
飼い猫が便秘かどうかを見極めるには、まず、何日排便をしていないのかをチェックしてみましょう。
猫の排便は通常1日1回以上行われますが、便秘の場合は何日も排便が見られません。
日数の定義はありませんが、2~3日を目安としましょう。
便の硬さ
便秘のときは便が硬くなり、いつもと形も違ってきます。
健康的な猫の便はミルクチョコレート色で、触ったときに少しへこむ程度です。
しかし、便秘になると色が黒くなり、うさぎの便のようにコロコロした便や細い便しか出なくなります。
トイレへ行っても出ない
トイレに何度も行くようになるのも便秘の症状のひとつです。
トイレ内では、力んで便をするようなポーズを見せますが、何も出ません。
中には排便時に痛みを示し、トイレを嫌がる子もいます。
重症化のサイン
便秘が重症になると、嘔吐をしたり、活発さがなくなったりもします。
飼い猫のお腹が張っているときや排便しようとしなくなったときに上記のような症状が見られるのは、重い便秘に苦しんでいるサインだといえるでしょう。
「しぶり腹」との違い
便秘とよく間違えられやすいものに「しぶり腹」という症状があります。
しぶり腹は、直腸が炎症によって過敏になり、便の量が少なくても肛門周辺の筋肉が痙攣するため、便意を感じやすくなるというものです。
そのため、排便をしようとはするのに、便が出なかったり、排便しても量がとても少なく、中には粘液のみを出したりすることもあるのです。
このように、しぶり腹のときもトイレの中で排便ポーズをとる回数が増え、そのわりに便がでないので、飼い主さんに便秘だと誤解をされてしまいます。
しぶり腹と便秘を見極めるには、便の形や量などに注目することが大切ですが、判断が難しいのも事実です。
また、しぶり腹が見られるときは泌尿器系や生殖器になんらかの病気が発症していている可能性もあるので、獣医師に一度相談してみるようにしましょう。
病院へ行く目安とは?
飼い猫に便秘の症状がみられると、すぐに病院に連れて行った方がよいのでは思う飼い主さんも多いかと思います。
けれど、いつもと変わらず活発で食欲がある場合や便秘でおなかが鳴っている場合は、1日~2日程度自宅で様子見をしてもよいでしょう。
対して、嘔吐が見られたり、活発さがなくなってぐったりとしていたりする場合は危険サインです。
この場合は、食欲もなくなっていることが多いため、飼い主さんも飼い猫の変化に気づきやすいでしょう。
猫の便秘は放置しすぎると、命の危険もあります。
上記の症状に加え、排便ポーズをとっても便が出ない日が何日か続く場合は、早めに動物病院へ連れて行くようにしましょう。
また、「しぶり腹」かどうか判断が難しい場合も獣医師の診察が必要です。
猫の便秘の原因として考えられる病気は?
猫の便秘は、重大な病気が原因となっていることもあります。

巨大結腸症
その中でも代表的なのが「巨大結腸症」という病気です。
巨大結腸症は、結腸が収縮する力が弱まり、溜まった便が結腸を押し広げてしまうことで引き起こされます。
巨大結腸症による便秘の場合は症状も重くなり、便秘の状態が数年間続いてしまうこともあるので、定期的な通院や食事療法が必要です。
自律神経の損傷
また、腸の働きをコントロールしている自律神経に傷がつくことも便秘を引き起こす原因になります。
自律神経は事故などで骨盤を骨折すると傷ついてしまうことが多く、損傷によって腸の動きが弱まり、結腸に便が溜まって、便秘を引き起こしてしまうのです。
その他の病気
他にも、大腸や結腸に腫瘍やポリープができていたり、「会陰(えいん)ヘルニア」を引き起こしていたりすると、排便がしづらくなるため、便秘を引き起こしてしまうこともあるでしょう。
これは病気ではないですが、肛門や腸にのみ原因があるとは限らず、後足の骨折によって感じる痛みも便秘の原因になるとされています。
病気以外で考えられる原因は?

水分不足
猫はもともと、積極的には水を飲まない動物です。
そのため、水分不足によって便が硬くなってしまい、便秘の原因になることもあります。
特に、気温が高い夏は猫も水分不足になりやすいので、注意が必要です。
食物繊維不足
人間と同じで、猫も食物繊維が不足すると、便秘になります。
キャットフードは猫の体に必要な栄養素がたくさん詰め込まれていますが、安価なものの中には食物繊維が十分に含まれていないものもあるので注意が必要です。
薬の副作用
便秘は、病気の治療として使用している藥の副作用によっても引き起こされることがあります。
たとえば、抗ヒスタミン剤や利尿剤、鎮痛剤などは便秘を誘発しやすいとされている薬です。
ですから、どんな藥を与えたあとに便秘になったのかを飼い主さんが把握しておくことが大切でしょう。
遺伝
マンクスなど、生まれつき短い尻尾をもつ猫種は高確率で尾骨や仙骨に先天的な奇形が生じています。
こうした奇形を抱えていると、骨盤あたりの神経系に異常が生じ、便秘の症状がみられるようになるのです。
異物の誤飲
異物を飲みこんでしまうことも便秘になる原因のひとつです。
おもちゃや大きすぎる骨 などの消化できないもの、あるいは消化しきれないものを飲みこんでしまうと、便として排出することができなくなります。
また、長毛種の場合はグルーミング時に自分の被毛を飲みこみすぎて、「毛球症」という病気にかかり、便秘を引き起こしてしまうこともあるのです。
環境の変化によるストレス
猫は環境の変化に弱いため、引越しや新しく他の猫を迎えたときなどに強いストレスを感じてしまいます。
また、トイレを新しくしたり、場所を変えたりすることもストレスの原因になるので気を付けましょう。
シニアになったことによる筋肉の衰え
シニアになると、猫は1日中寝て過ごすようになりますよね。
そうなると、運動不足状態になり、全身の筋肉が衰えていき、排便がしづらくなります。
さらに、シニアになると喉の渇きに対する感覚も鈍くなってくるため、水分不足にも陥りやすくなるのです。
特に10歳以上のシニア猫は便秘を引き起こしやすいとされているので、注意が必要とされています。
自宅でできる便秘解消法は?
猫の便秘を解消する方法の中には、自宅でできるものもいくつかあります。
しかし、中には自己判断で行ってはいけないもの解消法もあるので注意しましょう。
たとえば、浣腸は生理食塩水を注入しながら便を柔らかくし、指や手で押し出させなければならないため、必ず獣医師の指示をあおぐ必要があります。
自宅で便秘を解消するときはこのような専門知識を必要とする方法以外を検討しましょう。
それではこれから、飼い主さんができる解消法を具体的に説明していきますので、ぜひチェックしてみてください。

1.普段の食事を見直そう
慢性的に便秘な子の場合は、便秘用のキャットフードを与えるのもおすすめです。
突発的な便秘の場合はキャットフードを変更するよりも、普段のエサに蒸したサツマイモやカボチャをトッピングして、食物繊維を取らせるほうがよいでしょう。
時間がないときは、水で濡らした後にラップをし、レンジで加熱すれば簡単に蒸すことができます。
しかし肉食動物である猫は、もともと食物繊維を積極的にはとりません。与えすぎは禁物なので、少量を小さく切ってフードにまぜるようにしていきましょう。
また、食物繊維を長期的に摂取させ続けるのは、あまり好ましくないといえるでしょう。
2.水分を積極的に摂らせよう
水分不足から便秘を引き起こしてしまう場合は、少しでも水を飲みやすいように飼い主さんが工夫をしていきましょう。
たとえば、夏場であれば、水の中に氷を浮かべて猫の興味を惹くのもおすすめです。
それでもなかなか水を飲んでくれない場合は、猫の大好物であるササミの茹で汁を飲ませてみましょう。
においが出やすいように人肌程度に温めるのがポイントです。
また、普段からドライフードばかりを食べている子には定期的にウェットフードを与えて、水分を補給させるのもひとつの方法です。
ウェットフードは75~80%が水分なので、食べる楽しみを味わわせながら便秘を解消させることができます。
3.マッサージでストレスを緩和させよう
マッサージでリラックス状態になると、猫も副交感神経が活発になるものです。
一説によれば、マッサージでストレスを緩和することで便秘が解消されることもあるといわれています。
中でも手軽に行えるのが、お腹に「の」の字を書くマッサージ法です。
指の腹で優しくマッサージを行いましょう。
「の」の字のマッサージ法は、腸の中に溜まったガスを抜いて、便通をよくしてくれるといわれています。
ただし、お腹は猫にとって最大の急所であるため、中には嫌がる子もいるでしょう。
嫌がっているにもかかわらずマッサージを続けてしまうと、逆にストレスを溜めさせてしまう恐れがあります。
マッサージを行うときは必ず、猫の気持ちを優先させるようにしましょうね。
飼い主だからこそできる解消法を試してみよう
重い便秘は動物病院で対処してもらうことがもちろん大切ですが、解消法の中には愛猫と一番関わりがある飼い主さんだからこそできるものもあります。
便秘は、猫にとって身体的にも精神的にも辛いものなので、ぜひこれを機にいち早く便秘の症状に気づき、対処法を考えていける飼い主さんになりましょう。
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