
虐待されカバンに入れられて投げ捨てられた猫…それでも人間への信頼を取り戻す
過去に壮絶な虐待に遭いながら、それでも人間への愛情を失わなかった猫の名前はヒロ。
ヒロは瀕死の状態から救い出され、一命をとりとめたのち人間への信頼を回復し、今は幸せに暮らしています。
ゴミ箱に捨てられたカバンの中に瀕死の猫が
2015年5月に発見されたときのヒロはあまりにひどい状態でした。
カナダのアルバータ州でひとりの女性が、生ごみ用のゴミ箱に入れられているリュックサックに気がつきます。
違和感を感じた女性が開けてみると、中にはもう一つバックパックが入っていました。
怖くなった女性がパートナーを呼んでバックパックを開けてもらうと、なんとそこにはぐったりとした猫が!
女性は急いでアルバータ・アニマル・サービスに連絡し、猫は緊急保護されました。
そこで診察したところ、その猫は想像を絶する虐待を受けていることが判明したのです。
想像を絶する虐待
どんな目に遭えばこんな傷になるのか分からないほどの重度の頭部外傷、さらにバックパックに押し込められて窒息していたため神経に異常をきたしたうえに、失明したことが判明しました。
さらに、骨盤も骨折しており栄養失調に陥りすっかりやせ衰えていました。
これらのケガは古いものもあり、虐待が長期にわたって行われていたことを物語っています。
このときの様子をアルバータ・アニマル・サービスの責任者であるエリカ・クーバーさんは次のように語っています。
「この猫がされたことは背筋が凍るほど恐ろしいことであり、私達は彼を救い、回復することができるように願い、祈りました」
施設の職員たちは大ヒットテレビ・ドラマ「HEROESヒーローズ」に登場する日本人、ヒロの名を猫に付けました。
作中、ヒロは「スーパーヒロ」と呼ばれていましたのでそれにあやかって、生命力を発揮できるように願いを込めてつけられた名前かもしれません。
ヒロが回復できるかどうかは紙一重の状況でしたが、手術や、懸命な看護のおかげで一命をとりとめました。
そしてヒロはご飯を食べることができるようになり、視力も回復。
神経が完全には回復せずにふらつくこともありますが、それ以外は元気になることができたのです。
愛してくれる家族との出会い
過酷な状況を生き抜いたヒロの家族になってくれる人が現れました。
ジェニファーさんとジェームズさん夫妻は、ヒロに関するニュースとアルバータ・アニマル・サービスのFacebookの記事に心を動かされて、多額の寄付をしてくれただけでなく里親になることを申し出てくれたのです。
ジェニファーさんはヒロにはきっといい家族が見つかるだろうと思っていましたが、ヒロを世話していたクーバーさんはジェニファーさん夫妻こそをふさわしいと思ったそうです。
夫妻は何度も施設にヒロに会いに来ていて、今後の必要な治療も喜んで受けさせる覚悟ができていました。
クーバーさんがトライアル(相性などを見るお試し期間)のために、ヒロを連れて夫妻の家を訪問したとき、ヒロはとても快適そうに見えたそうです。
2016年7月にヒロは夫妻に正式に家族として迎えられました。
ヒロは現在、「ヒロ スタンレー」と呼ばれているそうです。
ジェニファーさんの父親のスタンレーさんは、22年前に白血病で2年の余命を宣告されました。
しかし、22年たった今も元気に存命中です。
その生命力にあふれた名前をもらったのですね。
悪夢に苦しむ日々も
本当に愛してくれる家族に巡り会えたヒロ。
しかし、ジェニファーさんの家族になって約6カ月の間、ヒロはトラウマに苦しむ様子も見られたそうです。
ヒロはジェニファーさんやジェームズさんの姿が見えなくなると泣き叫びました。
そして寝るときには、優しくなでてもらわないと眠りにつくことができない。
さらに眠っているときには悪夢に苦しみました。
ジェニファーさんが言うには「カバンから出ようとしているようだ」という様子のヒロ。
「私は悪夢を止めるために優しくヒロを起こしてあげるのです」とジェニファーは話しました。
窒息するほど苦しかった過去が幸せになった後もなお、ヒロを苦しめていたのかもしれません。
しかしさらに6カ月たった頃にはヒロの様子には改善が見られ、悪夢も見なくなったとのこと。
ヒロはめったに騒いだりしないし、暴れたりもしないと、ジェニファーさんはその後のヒロの様子を伝えています。
超能力者のヒロ、そして2年の余命宣告をうち破ったお父さんの名前をもらったのですから、ヒロ スタンレーはこれからもきっと元気に生きるはずですね。
猫生を楽しむヒロ
ジェニファーさんのお宅は30エーカー(約12ヘクタール)の敷地があり、猫が楽しめるように柵で囲った半エーカーの庭があるそうです。
1エーカーが約0.4ヘクタールなので、野球場半分くらいの大きさの庭ということですね。
ヒロのお庭はとっても広いのです!
庭を元気に走り回るヒロ。
そこにはゴミ箱に捨てられていたときの面影はありません。
目は生き生きとして猫生を楽しんでいるのが分かりますね。
ヒロを虐待した人物の手がかりはあるそうですが、十分な証拠がなく逮捕は難しいとのことです。
そんな人は本来なら逮捕されるべきですし、地獄に落ちるべきでしょう。
しかし、きっとヒロは過去ではなく今を感じて生きているはず。
ジェニファーさんのお家には他に2匹の猫がいて、ヒロは3匹の猫のリーダーなのだそうです。
ヒロは今、愛してくれる家族と幸せな生活を送っています。
2017年6月17日にはヒロを救ってくれたアルバータ・アニマル・サービスの里親を探す会に参加したそうです。
「ヒロに会いに行こう!」と書いてあります。
ヒロに会うためのお部屋もありますよ!
スーパーヒロのマントを付けています。
かわいいですね。
失われかけた、ヒロの命と猫として生きる楽しみを取り戻すことができたこと、本当に愛してくれる家族に出会えたことを心からうれしく思います。
カナダの動物保護施設は愛護団体という位置付けながら、州や市から虐待された動物を保護する権限を与えられている場合が多くあります。
それなりの力を持っているので、動物虐待が疑われる現場へ踏み込むことも可能です。
そして、個人からの寄付だけでなく、多くの企業からの寄付金で運営されており施設は充実しています。
職員は動物に関する有資格者で構成されており、動物保護に対しての躊躇がありません。
迷子や負傷した動物をすべて受け入れるのです。
「迷子や怪我をした動物の救助のためには、我々に電話をかければいいだけです」とまでホームページに明記されていて感銘を覚えます。
そのため、市民はためらうことなく助けを必要としている動物たちに手を差し伸べることができるのです。
アニマル・サービスという強い味方がいてくれるのですから。
ヒロの本当の幸せはジェニファーさん夫妻によってもたらされましたが、最初に異変に気付いてすぐにアニマル・サービスに知らせてくれた人がいたこと、アニマル・サービスで迅速に保護し、高度な医療をヒロに施してあげられたこと、これらがあったからこそヒロは幸せなれたと思います。
出典:the dodo
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