
イラストレーター 影山直美さん × ライター 金子志織 対談 その3:それぞれの旅立ち。そして再会。
「その2:日本犬を迎えた理由、しつけの苦労、共に暮らす楽しみ」
◆ 旅立つ前にジュウザくんがあいさつに
金子:老犬になったゴンちゃんなんて、たまらなかったでしょうね。銀柴さん(※)。
※影山さんが柴犬との暮らしの中でつくり出した造語で、年を重ねていぶし銀の味わいを醸し出している柴犬のこと。
影山:ゴンはテツみたいにじーっと見ることはなかったんですけど、耳で聞いたり背中で観察したりしていたんだなって思います。15歳になった頃にはなんでもお見通しなんじゃないかと。
老犬になると目や耳が悪くなって鈍感になると思われるかもしれませんけど、そうじゃないですよね。気配で感じ取るようになるんですよ。ゴンはこっちが尊敬するくらい察してくれました。
金子:ジュウザも銀甲斐になってからの老犬生活を楽しみにしていたんですけど、老犬よりもちょっと若めの13歳で旅立ってしまったのは残念でした。
影山:でもわかり合っていたと思いますよ。私はジュウザくんの訃報を聞く1日か2日前に、ジュウザくんの夢を見たんです。普通にうちのリビングにいて、テツとこまと争うこともなくウロウロしていました。
会ったことがないのになんで出てくるんだろうと思ったら、その後亡くなったことを聞いて、「あいさつに来てくれたんだな」と思いましたよ。
金子:「これからも素敵なイラストをお願いします」ってお願いに行ったんでしょうか(笑)。私の夢には出てこないんですが。
影山:いずれきっと会えると思います。実はゴンがテツの体を借りて戻ってきたと思ったときがありました。ゴンが亡くなって1年くらい経った頃、テツがゴンの寝ていた場所で同じ格好をして休んでいたんです。しかもゴンみたいな顔で。
思わずほっぺたをつけて、「ありがとうね」って言いました。テツだったら逃げるけどそのままだったから、あれはゴンだと思うんです。
金子:素敵なお話ですね。実は昨日不思議なことがあって、巨大な黒いハエが家に入ってきたんですよ。窓を開けて追い出してもすぐにUターンしてまた入ってきちゃう。3回繰り返したところで、ジュウザだったらどうしようと思いました(笑)。ハエに生まれ変わってくるのは想定外だったんですが。まだ家にいるのでどうしようか困っているんですよ。
影山:いつかなでたりハグしたりできるくらいの子になって来ると思いますよ。ハエじゃなくて(笑)。
◆ 犬の愛情表現に飼い主が気づくことも大切
金子:日本犬は苦労もあるけど楽しみもたくさんありますよね。影山さんが考える魅力を伺えますか。
影山:ベタベタしすぎず、私の性格に合っているのが一番ですかね。姿形がかわいいっていうのもあるし。改めて聞かれると難しいんですよね。
金子:日本人の性格に似ていますよね。私は折り合いをつけていくことが楽しいと思いました。ジュウザがイヤだなって思いそうなことを、いかに進んでやってもらうか工夫するわけですね。無理にやらせるんじゃなくて、お互い楽しくできるように。日本犬はそういう工夫のしがいがある犬種だと思うんですよね。
影山:お互いを尊重し合っている感じはすごくありますよね。犬もそんなにワガママを言っているわけじゃなくて。飼い主が言うならしょうがないかっていう態度も、心が通い合っている感じがするんです。ひとりの時間を楽しんだり、そういう自立しているところも魅力だと思います。柴犬に慣れていないと、素っ気なく見えて心配になるかもしれませんね。
金子:愛想を振りまくタイプは少ないですよね。愛情や感情の表現が地味と思われちゃうかもしれないけど、飼い主さんがアピールに気づいて引き出してあげることも大切ですね。
Fanimalでは金子さんの愛犬ジュウザや、身近な日本犬のあるあるエピソードを連載中です。
影山さんのイラストと共に楽しんでいただければ幸いです。
[おわり]
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