
大きくなりすぎたという理由でブリーダーから捨てられた子犬 アートギャラリーで人気のマスコット犬に!
ポメラニアンのバートは生後3か月の子犬のときにブリーダーに飼育放棄されました。
ブリーダーがほんの小さい子犬を飼育放棄した理由はなんと「売れるほど小さくないから」。
大きすぎるという理由で飼育放棄された子犬
どこの国でも「小さければ小さいほどいい」という消費者は多いので、少しでも大きくなってしまえば「売れ残り」と言われてしまいます。
さらに小さい犬種にはより小さい体を求める傾向にあります。
筆者もマグカップに入るほどの小さいチワワを見たことがありますが、やはりもてはやされていました。
とても小さい動物にかわいいという気持ちを抱くことは不自然なことではないでしょう。
しかし少しばかり大きいことが、価値がないとまで判断されることだとは思えませんし、命の価値に変わりはありません。
里親募集サイトに掲載されたバートの写真です。
まだまだ、両掌に乗るほどの小さな子犬です。
この子を「無価値」と捨てられる神経は全く理解できません。
バートはポメラニアンとしては少し大きいのかもしれません。
しかし、人間にも大きな人もいれば小さな人もいるのと同じように、個体差があるのは当たり前のこと。
犬は品評会などもありますから、その際は決められた規定サイズを満たすかどうかは重要ポイントかもしれませんが、家族に迎えるにあたってその規定を少し外れていることが問題になるとは到底思えません。
このブリーダーは犬を単なる商品としか見ていない、とても良心的とは言い難い人物であったに違いありません。
里親募集されていた子犬に一目ぼれ
ブリーダーに飼育放棄されてしまったバートですが愛護団体に保護され、心から愛してくれる里親さんと出会うことができました。
ニューヨークで「ザ・ホール」という名のアートギャラリーを所有しているキャシー・グレイソンさんは里親になろうと思い「ペット・ファインダー」というサイトを見ていたときにバートのことを知ります。
一目見て、バートは自分の犬になると直感したそうです。
そして、すぐにバートを家族に迎えるためにオクラホマ州タルサの小さな町サリソーまで行ったのです。
ニューヨークからオクラホマ州までは2373km、東京から石垣島までより遠い距離です。
キャシーさんの家族になることが決まり、空港で待つバートの写真。
アートギャラリーのマスコットに
現在4歳になったバートですが、毎日アートギャラリーで里親のキャシーさんと一緒に仕事をしているのだとか。
バートは、最初に会った時から物静かで洗練されていて、アートの世界で暮らすことにピッタリの犬だったそうです。
ニューヨークだけでなく、ロサンゼルスやマイアミなどで行われたアートフェアに参加し、カナダにも行ったことがあるとのこと。
バートはそのようなイベントに参加することも楽しんでいますが、キャシーさんのギャラリーで一緒に過ごし、アートを見に来ると同時にバートに会いに来てくれる人たちに会うことが大好きなのだそうです。
「バートはギャラリーのマスコットになっているし、たくさんの人たちがバートに会いに来てくれるのです。そして多くの人が犬を連れてきてくれます。ここに私とバートがいることを知っているし、遊ぶ準備ができていることを知っているからです」とキャシーさんは話しています。
キャシーさんが「キスして」というとキスしてくれるというバート。
なんてかわいいのでしょうか!
バートのインスタグラムはとても人気で、フォロワー数はなんと19万6千人。
チョコレート色のふわふわのポメラニアンのバートは本当にかわいらしいですね。
バートの子犬の時期はあまり幸せでなかったかもしれません。
ちょっと大きいから、そんな理由で「いらない」と捨てるブリーダーなのですから、単なる商品としてしか見ていなかったことが推測できますし、愛情などかけなかったでしょう。
しかし今は、はるか2000kmもの距離を、バートを迎えに来てくれたキャシーさんに出会えて、ギャラリーのマスコットとなりたくさんの人に愛されています。
金儲けのために染められた犬を保護
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ペットショップで売れ残った子動物たち
アメリカでは生体販売をしているペットショップの数は少ないようですが、ヨーロッパのように違法ではありません。
パピーミル(子犬工場)や、バートを捨てたブリーダーのような利益しか追求していないブリーダーも数多く存在しています。
バートのように保護施設に遺棄されるのはまだいい方と言えるかもしれません。
欧米ほど動物保護が充実していない日本では、売れ残りの子たちの末路は本当に厳しいものがあります。
悪質ブリーダーに引き取られて繁殖犬にされてしまったり、業者であることを隠して保健所などに持ち込み殺処分になってしまったり、山などに捨てられてしまうこともあります。
日本でも愛護団体などで売れ残った子たちの里親を探したりする場合もあるのですが、それはほんの一部です。
利益追求のために業者が捨てた動物をボランティアが自腹を切ってまで助けることに理不尽さを感じないわけではないですが、欧米の保護施設がそのような子たちを積極的に保護するのには理由があります。
「人間はそういうこと(動物の遺棄)をする生き物なので、まずは命を救うことを最優先する」ために、ブリーダーが遺棄した犬も全て保護する団体が多いのです。
バートもその考えによって保護され、幸せになることができた犬です。
ペットの遺棄は犯罪であるという啓蒙はもちろん大事です。
しかしそれだけでは動物たちの命を救えない場合が多くあります。
日本でも欧米のように「命を救うことこそを最優先にする」という考えも必要なのではと思います。
それこそが殺処分をなくすことにつながるのではないでしょうか。
出典:the dodo
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