
【猫の食事】ライフステージごとの適量や回数、注意点は?
猫が健康的に暮らしていくためには、栄養バランスの良い食事を与える必要があります。
そのため、飼い主さんのキャットフード(以下フード)に対する十分な知識が重要です。
与え過ぎてしまうと肥満の原因になりますし、年齢に応じたフードを与えないと発育不良や病気の原因を作ってしまいます。
みなさんは猫ちゃんの健康を守れているでしょうか?
長生きをしてもらうためにここで一度、食生活を見直してみましょう!また、これから猫を飼いたいと思っている方は予習をしましょう!
猫の食習慣
猫(イエネコ)の祖先とされているリビアヤマネコは、砂漠地帯に住み、げっ歯類などを主食としていました。

一度の狩りでたくさんの獲物を捕らえることができないため、1日10回以上(大別すると朝と夕)、狩りをするという食生活を送っていました。
現代の猫がだらだら食いをする理由は、祖先の1日に何度も食事をするという習慣を受け継いだからなのでしょう。
また、野良猫には、自分に必要な栄養バランスを満たすように食事をする能力が受け継がれています。
適切な食事の回数・時間帯は?
猫本来の食習慣では数回に分けてえさを食べる、と書きましたが、人と猫が一緒に生活していくためには、猫が飼い主の生活リズムに合わせる必要があります。
祖先から受け継いだ本能に合わせて、飼い猫の場合も基本的には1日2回、朝・夕(夜)に分けて与えるのが1番良い与え方のようです。
【時間帯の例】
- 6時に与えたら18時に与える
- 8時に与えたら20時に与える
このように、12時間ほど間隔をあけるのが理想的です。
しかし12時間以上間隔があいてしまうとお腹が空き過ぎてしまい、早食いをしてしまいます。
早食いは吐き戻しや肥満の原因となるので、朝と夜のえさの間隔がどうしても12時間以上あいてしまう場合は、1日3回(朝・昼・夜)時間帯のバランスを考えて与えると良いでしょう。
ここで、1回で1日量を与える場合と1日4回以上与える場合のデメリットをご説明します。
1回で1日量を与えるのは、飼い主さんにとっては何回も与える煩わしさがないので楽な与え方ですが、猫にとっては早食いの原因です。
また、フードが酸化してしまう心配もあります。〔授乳中は例外、次章参照〕
1日4回以上与えると、成猫は尿石症を引き起こしてしまう恐れがあります。通常、猫の尿は酸性ですが、食後はアルカリ性に傾きます。
何回もご飯をたべると尿が長い間アルカリ性に傾くので、結石が作られやすくなるのです。ちなみに、このタイプの尿結石がもっとも多いとされています。〔妊娠中・子猫・高齢猫は例外、次章参照〕
【ライフステージ別】猫の食事の量や回数、注意点は?
猫は1年で成猫に成長し、7歳から高齢猫の仲間入りとなります。それぞれの成長段階で必要な栄養が異なるため、年齢に応じたフードを与えなければいけません。
だからといってフードを急に切り替えると胃腸に負担が掛かり、便秘や下痢を引き起こしてしまうことがあるため、徐々に切り替えます。
たとえば、初日は今までのフードと切り替えたいフードを9:1の割合で混ぜ、次の日は8:2、その次は7:3…とどんどん切り替えたいフードの割合を多くしていき1週間~10日ほどかけて完全に切り替えましょう。
また、1日に必要なフードの量をきちんと守らなければ病気や肥満に繋がってしまいます。犬と違い、運動量によってフードの量を調整する必要はありませんが、それぞれのライフステージに合わせた調整が必要です。
子猫(0歳~1歳)
生まれてから生後3週齢の子猫は人間の赤ちゃんと同様にお母さんのおっぱい、またはミルクを飲んで成長します。

生後3~4週齢になると乳歯が生え始めるため、離乳食を与え始めましょう。
母猫と同じ「成長期・繁殖期用」または「子猫(キトン)用」のドライフードをぬるめのお湯でふやかしたものなどを離乳食として与えます。この時期の子猫の胃は小さく、一度にたくさんの量を食べることができないため、1日3~4回に分けて与えましょう。
生後6~10週齢までに、徐々に離乳食の水分量を減らし、離乳を完了させます。
猫は生後6週齢頃までに口にしたことのないものは、成猫になってからも食べたがらない傾向があるので、様々な風味や舌ざわりの「成長期・繁殖期用」・「子猫(キトン)用」フードを与えることで嗜好性を広げましょう。
猫は生後およそ、4ヶ月で体重が成猫の50%に達し、10~12ヶ月で成猫と同じ体重となります。この時期に多すぎるエネルギーを摂取してしまうのは、脂肪細胞の数を増加させ、太りやすい体質を作る原因の1つです。
増えた脂肪細胞は減らすことができないため、食事管理が非常に重要となります。
【子猫の年齢ごとの平均体重と1日に必要なカロリー】
年齢 | 平均体重 | 1日に必要なカロリー | 回数 |
---|---|---|---|
3週間 | 約300~400g | 84~105kcal | 3~4回 |
1ヶ月 | 約400~500g | 105~126kcal | |
2ヶ月 | 約950g~1.0㎏ | 201~210kcal | |
3ヶ月 | 約1.0~1.5㎏ | 210~285kcal | |
6ヶ月 | 約2.5~3.0㎏ | 348~400kcal | |
9ヶ月 | 約3.0~3.5㎏ | 320~358kcal | 2~3回 |
成猫(1歳~6歳)
子猫の時期に十分な栄養を与えていても、この時期の栄養管理が不適切だと健康に影響を与え、猫の寿命を縮めてしまいます。
大切なのは、1日に必要なフードの量を適切に与えることです。
成猫は胃の大きさも一定量のフードが入るまでに成長していますので、1日量を2~3回に分けて与えます。フードの種類は「成猫用」を選択しましょう。
【成猫(未去勢・未避妊)の平均体重に必要な1日のカロリー】
年齢 | 平均体重 | 1日に必要なカロリー | 回数 |
---|---|---|---|
1~6歳 | 3.5~4.5㎏ | 251~302kcal | 2~3回 |
高齢猫(7歳~)
高齢になると、見た目と共に内臓機能にも老化が現れ、特にのどの渇きに対する感覚が低下するため、飲水量が減り腎臓機能が低下します。また、基礎代謝や筋肉量も低下し、太りやすくなってしまうため、低カロリー・低脂肪・高たんぱく質な「高齢猫用」フードを与えましょう。
回数については、元気なうちは2~3回で良いですが、体調や加齢の進行により1回に食べられる量が減ってくることもあるので、状況に応じて回数を調整してください。
【高齢猫の平均体重と1日に必要なカロリー】
年齢 | 平均体重 | 1日に必要なカロリー | 回数 |
---|---|---|---|
7歳~ | 3.5~4.5㎏ | 197~238kcal | 2~4回 |
避妊・去勢手術後の猫

猫は生後6ヶ月になると、避妊・去勢手術を受けることができます。手術を行うメリットは、性ホルモンに関連する病気の予防、望まない妊娠を避ける、性ホルモンによる問題行動を軽減する等の効果です。
しかし、食欲抑制作用のある性ホルモンが減少し、また、活動性が低下するので肥満になりやすくなるというデメリットも存在します。
そのため、手術前と同じエネルギー量のフードを与えていると肥満になってしまうので、手術後は、低カロリーかつ必要な栄養をしっかりと補給できる「避妊・去勢用」フードを1日2~3回与えましょう。
【避妊・去勢手術後の平均体重と1日に必要なカロリー】
年齢 | 平均体重 | 1日に必要なカロリー | 回数 |
---|---|---|---|
1~7歳 | 3.5~4.5㎏ | 215~259kcal | 2~3回 |
妊娠中・授乳中の猫
母猫が健康な赤ちゃんを出産し、育てていくためには母猫の栄養管理が重要となります。猫の妊娠期間は約63日で、出産数は1回に2~8匹ほどです。

妊娠初期は食欲が落ちることもありますが、3週目ごろから食欲が極端に増し、出産まで体重が増加し続けます。
妊娠中は成猫が1日に必要なカロリーの1.3~1.5倍ほどのカロリーが必要となるため、妊娠6~7週目まで徐々にフードの量を増やしていきましょう。
フードは高カロリー・高タンパクで栄養価の高い「成長期・繁殖期用」のフードを与えます。妊娠初期~中期は一度にたくさん与えると、早食いの原因となり、妊娠後期には胎児で胃が圧迫され一度にたくさんの量を食べられなくなるので、1日4~5回に分けて与えましょう。
授乳期は、母猫が子猫の成長に合わせてエネルギーを分け与えなければならないため、ライフステージの中でもっともエネルギーが必要となる時期です。
子猫が完全に離乳する(生後6~10週齢)までは、成猫が1日に必要なカロリーの2~4倍ほどのカロリーが必要となります。
妊娠中と同じく「成長期・繁殖期用」のフードを与え、常にエネルギー補給ができるように置き餌(いつでも食べられる状態にえさを置いておくこと)をしますが、太り過ぎないように注意が必要です。
【妊娠・授乳期の平均体重に必要な1日にカロリー】
成猫(未避妊・未去勢)が 1日に必要なカロリーの○倍 |
1日に必要なカロリー | 回数 | ||
---|---|---|---|---|
妊娠期 | 251~302kcal | 1.3~1.5倍 | 326~453kcal | 4~5回 |
授乳期 | 2~4倍 | 502~1208kcal | 置き餌 |
※実際は、母猫の体重、胎児数など状態にあわせたカロリー計算が必要です。
肥満傾向の猫
成長期が終わったあと、もっとも問題になりやすいのが肥満です。ちょっと太っていた方が可愛くも見えますが、肥満は糖尿病や高脂血症など様々な病気の原因となってしまいます。

肥満傾向にある猫は、高繊維・低脂肪でエネルギーをほどよく制限した「減量用」のフードを選択し、1日3~4回に分けて与えましょう。
ダイエットは自己流で行うと栄養不足や、結果に結びつかない場合が多いので、獣医師に相談し、動物病院で取り扱っている減量用の処方食や療法食を与えるのが1番の近道となります。
【肥満猫に1日に必要なカロリー】
肥満体重 | 1日に必要なカロリー | 回数 |
---|---|---|
5kg | 234kcal | 3~4回 |
6kg | 268kcal | |
7kg | 301kcal |
まとめ
大切な猫ちゃんの健康を守るためには、飼い主さんがきちんと栄養管理を行わなければなりません。
ご紹介したとおりのカロリーを与えていても、太ってしまったり痩せてしまったりすることもあります。
生活環境や体質などを考慮してその猫にあったベストな量を見出すことが重要です。
ご自分の猫ちゃんの体型や食生活など疑問に思うことがありましたら、ぜひ、健康診断を兼ねて獣医師に相談することをオススメします。猫ちゃんとの幸せな日々が少しでも長く続くように、私たちがしっかりと気をつけましょう!
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