
飼い主さんと愛犬・愛猫の「道しるべ」となる-ペットの地域包括ケアモデルが実現する、一本道であることの安心感
川崎市元住吉で2017年3月に開業した「シリウス犬猫病院」は、病気になった時だけでなく愛犬、愛猫との生活をトータルにサポートするということをコンセプトとしています。
臨床を担当されている石村院長と石村真弓副院長、そして経営を担っている岩佐マネージャーが病院を引っ張っています。
今回、「シリウス犬猫病院」では、ペットの訪問介護サービスを展開する「株式会社CARE PETS(ケアペッツ)」と合同で「ペットの地域包括ケアモデル」を開始しました。
このサービスにかける思いについて石村院長と岩佐マネージャー、そして「ケアペッツ」の石井統括マネージャーにお話を伺ってきました。
【まずお二人が「シリウス犬猫病院」を立ち上げられた経緯を教えてください。】
石村院長:そもそも獣医師を志したのは、やはり動物が好きだったからですが、それ以外にも飼い犬が病気がちだったことなど、いくつかきっかけがあります。
一度、行き倒れている犬を見つけたことがあり、その時に何もしてあげられなかったことが悔しくて、自分が勉強して技術を身につけたら、もう少し何かしてあげられたんじゃないかと思ったんです。その経験が大きいですね。
勉強すればするほど、逆に自分の力不足を感じるということも多かったのですが、同時にできないことが何か、という線引きができるようにもなりました。
自分ができないことは他の人がやってくれるので、自分は自分がやるべきことに集中すればいいんだと分かってきました。
例えば動物病院という中で、獣医師だけではできないことがたくさんあります。看護師さんであったり、経営を任せられる人と組むことで、今は獣医師に専念することができるようになったんです。
岩佐マネージャーとはそのあたりの考えがすごく合っていたので、このような形で一緒に病院を立ち上げることになりました。
【動物病院で院長と経営者が別にいるのはそう多くない形態ですよね?】
岩佐マネージャー:そうですね、確かに少ないと思います。
僕も元々は動物が好きということで獣医学科に進学しました。しかし入ってみて実感したのが、自分以上に動物への思いを強く持った人がたくさんいるということでした。
それを見て、彼らが全力で獣医師の仕事ができるような場を作ることに力を注げば、結果的に動物へ貢献する事になるのではと思ったんです。
獣医師がなんの心配もなく、その思いの火を消すことなく、ただ仕事に集中できる環境を作ることが自分の仕事だと。
獣医学科では経営を学ぶ機会がないのです。ですから獣医学科を卒業しただけでは動物病院の経営をするための知識が得られません。
そこで大学卒業後、経営の勉強をしました。
【現在の病院経営で重きをおいている点はどこでしょうか?】
経営視点でいうと、やはり動物看護師さん他、病院で働くスタッフが、仕事を気持ち良く続けられるようにする環境づくりです。
動物病院というのは、決して大きい規模ではない限られた空間の中で、忙しくて時間がない、汚い、そして危ないという厳しい条件が揃っている職場です。
もともとは「動物が好きで、その役に立ちたい」という強い思いを持って入って来られても、そういう辛い環境の中で残念ながら辞めていってしまうという人も多いというのが現状です。
また女性が結婚・子育てを経て復職する場合でも、同様の状況があてはまります。子育てと両立するにはあまりに厳しい職場なのです。
【ケアペッツさんと提携するきっかけは何だったのですか?】
岩佐マネージャー:当院ではトリミングもやっています。利用していたトリマー求人サイトで、ペットの訪問介護をやっているという情報をたまたま目にしたのです。
僕もやれたらいいなと考えていたことだったので、正直「やられた!」と思いました笑
それですぐに連絡を取りました。
石井統括マネージャー:連絡をもらって、最初は怒られるのかと思いました笑
でも話してすぐに、岩佐さんの想い、理念、将来像がケアペッツの目指しているところと同じであると感じ、協業を提案いたしました」
そこから顧問に就任いただくまでの話は非常にスムーズでした。
思いが一緒なのが一番ですね。まさに運命の出会いでした。
岩佐マネージャー:こんな風にフットワーク軽く動けるのも、母体である病院の方は院長がみていてくれるという安心感があるからです。
動物看護師による、ペットの訪問介護・看護と動物病院との連携はとっても合理的だと思います。動物看護師さんが活躍しているという点で、CARE PETS(ケアペッツ)さんは僕らが連携を実現できる唯一の存在です。
【なぜ在宅医療なのでしょうか?】
石井統括マネージャー:ケアペッツは人間の訪問介護がバックボーンにあります。人間においても今は在宅医療が増えてきています。
病院に行く以外に、家で診てもらうという選択肢が増えることは良いことで、最近の流れでもあります。しかし人間だけでなく、高齢化が進んでいるのはペットも同じですので、これらの流れは自然なものではないかと思います。
例えば、飼い主さんがご高齢の場合、体力の面で、ペットを連れて病院に行き、受付をして待合室で待つ。というのはなかなか大変なことですから、選択肢を広げることができるのはとても良いことだと考えています。
【今回の取り組みによって飼い主さんとペットが受けられるサービスはどう変わりますか?】
石井統括マネージャー:ペットのシッター中や、介護・看護中に動物病院が必要となった時のタイムラグやミスコミュニケーションがなくなります。今までは動物看護師が一度本部に連絡を取り、提携の病院をあたるという流れでした。
岩佐マネージャー:包括ケアであれば、当院の医師を知っている動物看護師が訪問するので、病院に連れて行くべきなのかどうか、治療方針も心得ていますから、その場である程度の判断ができます。病院に連れて帰るとなった場合でも、連携がスムーズです。
石井統括マネージャー:かかりつけの動物病院といっても複数かかっている場合もありますし、症状によって変わる場合もあります。
獣医師さんが常にサービスの延長線上にいてくだされば、都度とるべき選択肢に迷う必要がなくなるのです。
それは飼い主さんにとって、とてつもない安心感です。事実とても喜んでいただけています。
岩佐マネージャー:まず飼い主さんとペットが幸せな生活を築いていけるようにすること。
当院がペットとの生活でトータルな相談相手となって、病気や異常がある時以外でも頼ってもらえるような存在になれるといいな、と思っています。
そしてご自宅に出向くことで「わざわざ病院に行くほどでもないかもしれない…」と飼い主さんが思っているような小さな悩みや迷いも、雑談の中で汲み取っていけるような関係性をつくっていきたいと思っています。
そしてもう一つの思いとして、動物看護師さんたちの活躍の場を広げて行くということがあります。
今回のような取り組みによって動物看護師さんたちの働く環境の選択肢が増えると考えています。
こうして、それぞれがそれぞれの役割に集中し、思いをもって楽しく働けることによって、医療の質そのものを高めていきたいです。
【石村院長と岩佐マネージャーは学生時代からのお知り合いなのですね】
石村院長:中学生からの知り合いです。付き合いは20年近いですよ。
大学時代はルームシェアしていたこともあります。僕の奥さんとも彼女だったころからの顔見知りです笑
だからいいところも悪いところもお互い知り尽くした関係です。
友達が一緒に仕事をするとうまくいかないのではないかと言われることもありますが、僕らはそれぞれ担っている役割のジャンルが全然違うから、とてもうまくやっています。
【今後やっていきたいことはありますか?】
岩佐マネージャー:動物を経由して、最終的には飼い主さんの幸せにつながるようなことがしたいです。
例えば、超高齢社会に対して、地域全体でサポートできるシステムを創り出して、60歳からでも安心してワンちゃんが飼えるようになるとか。
石村院長:臨床獣医師という職にとらわれすぎることなく、色々なことをやっていきたいです。例えば人材の育成です。スタッフのレベルを向上して必要なところに派遣していくとか。そういった形で貢献していきたいと思っています。
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