お散歩に行く理由は人それぞれ、「運動のため」、「気分転換」、「排泄のため」など様々あるでしょう。

朝晩2回のお散歩が日課で、散歩が大好きなワンちゃんも多いのではないでしょうか?

 

今回は散歩にはどういった効果があり、何に気をつけなければならないのか、犬の特性やしつけの観点から考えてみたいと思います。

 

 

人に迷惑をかけるお散歩はNG

まず、大前提として人社会で暮らしていくためには犬が家族以外の人にも受け入られる(迷惑をかけない)必要があります。

 

特に、動物のことがあまり好きではない人のことも考慮しないといけません。

ここを無視してしまうと、「だから犬の飼い主は!」と言われ、どんどん犬が飼育しにくい世の中になってしまいます。

 

少なくとも犬が嫌いな人でも「飼い主がここまで配慮してくれるのであれば、犬は好きではないけど文句はない」と思ってもらうのが飼い主の責任だと思います。

 

代表的なものが「排泄」で、外でしかトイレができない犬も多いと思いますが、何処でもしていいわけではありません。

いくら犬好きの僕でも自宅の玄関にオシッコをかけられればいい気持ちはしません。

 

少なくとも人に迷惑がかかりにくい場所を選び、後始末をきちんとすることが必要になります。

理想はご自宅や自身の敷地内で済ませておくことでしょう。

 

つまり「散歩=排泄」ではないのです。

 

犬の場合、お散歩中に他の犬のオシッコのにおいを嗅ぎ続ければ、そこにマーキングしたがるのが特性(尿によるマーキング)ですから、そうならないようにするためにはある程度匂い嗅ぎをコントロールする(場所によってはさせない)必要もあります。

 

散歩する犬

 

 

散歩は運動になるのか?

散歩に行く理由の一つとして「運動」をあげる方が最も多いのではないでしょうか?

犬は犬種によってはそりを引いて何十キロも走ったり、一日中家畜を追い回したりなど運動量豊富な種類がいます。

 

橇犬や牧羊犬と小型犬を並列に語ろうとは思いませんが、もし仮に犬が野生下で暮らしていれば獲物を求めて動きまわり、見つければ全力疾走する動物です。

つまり小型犬であっても相当量の運動が必要なのです。

 

では、皆さんのお散歩はどうでしょう?

多くの方が匂いをかいだら立ち止まったり、お散歩友達とお話したりしながら「歩く」ことが多いのではないでしょうか?

つまり、運動が必要な生物である犬にとって「歩く」ことがメインの散歩では運動効果はほとんど期待できないのです。

 

では、走らせればいいのかといえばそうでもなく、自転車で並走する散歩は道路交通法違反に問われる可能性がありますし、犬が何かにびっくりして止まったり、急に方向転換すれば飼い主さんも大変危険です。

 

ましてやたとえ呼び戻しが完璧だったとしても公共の場でのノーリードは絶対に行けません。

つまり、人に迷惑をかけないことを考えると散歩だけで運動を満たすことは難しいのです。

ですから、散歩以外の方法、例えば引っ張りっこやボール遊びなど「遊ぶ」ことなどで運動欲求を満たす必要があります。

 

自由にいつでも遊ばせられる広い場所をお持ちの方ならいいですが、僕は犬のサイズにかかわらず、犬に飼い主と一緒に狭い場所でも運動欲求を満たせるような遊び方を教えることがしつけの一環だと思っています。

 

もし、お飼いのワンちゃんがおもちゃで遊ぶことが苦手でしたら、投げたドッグフードを追いかけ、食べさせることでも運動になると思います。

 

散歩する犬

 

 

気分転換や継続的な社会化、飼い主や他の犬とのコミュニケーションがメイン

運動や排泄が満たせないならば散歩に行かなくてもいいというわけではありません。

 

犬は社会性を持つ動物で、多かれ少なかれ他の犬や飼い主さんの匂いを嗅いだり、遊んだり、コミュニケーションを取ることが大好きなのです。

これらの行動は探索行動や遊戯行動といい、動物が自分自身や仲間の生命・生活を守るために必要な維持行動に分類されます。

 

つまり、動物にはこれらの行動を満たしたいという本能的欲求があるのです。

ですから、他の犬の声を聞いたり匂いを嗅ぐなども必要ですし、散歩に限らず飼い主さん遊ぶなど何かやり取りをしたいのです。

当然、散歩で大好きな飼い主さんの横について歩き、たくさん褒められたいのです。

 

また、たまにしか屋外に出なければ家の外の環境に対し恐怖心を抱くようになってしまいます。

人間でもめったに経験しないことに対しては不安になったり緊張したりしますよね?

つまり、犬がストレスなく生活していくためにはお散歩が必要なのです。

 

ですから、散歩の目的は歩くことではなく、気分転換や犬が人社会で暮らしていくための社会性を身につける社会化が主な理由になってきます。

 

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