
動物園でみつけよう!イヌとオオカミの共通点~元動物園飼育員による「動物園の楽しみ方」~ 第6回
たくさんの動物LOVEな皆さん、こんにちは!
Fanimalライターの☆ぴよん☆です。
毎日、うだるような暑さですね。
きっと皆さんのおうちにいるワンちゃんたちも涼しい場所を求めてうろうろ。
「ここだ!」という場所を見つけては、うたたねしているのではないでしょうか。
こんな風に。
こんな風にも・・・??
おっと、こちらのショットは
動物園で風通しの良いスポットを見つけ、お昼寝中のオオカミでした。
こうして比べると、ハスキー犬とオオカミはそっくりですね。
そう、イヌはオオカミを原種とした「家畜」です。
約1万年~1万5000年ほど前から、人間はオオカミの中で人懐っこい個体を家の中で飼い慣らし始め、何世代にも渡って繁殖を重ねていきました。
いわゆる「家畜化」で、今では700~800種もの犬種が存在します。
今日はそんなイヌの祖先である、オオカミをピックアップ!
動物園で、皆さんも見つけることができる、オオカミとイヌの共通点をご紹介します。
くるくる回って足場をふみふみ。これって一体?
愛犬を観察していると、寝る前にカーペットやクッションの上をくるくる回りながら、足元を踏み固めているようなしぐさ、しませんか?
実はこれとまったく同じ行動を、動物園のオオカミでも観察できます。
しかも、同じく「眠る前に」です。
オオカミたちも足場をくるくる回り、その後腰を下ろして目を閉じます。
どうしてでしょう?
それは、オオカミたちが野生下の行動として「眠る際に足場に生えている草を踏み固め、寝床を作る」という意味のなごりが残っているからなのです。
そのため、草がなかったとしても、動物園のオオカミやおうちで飼われているワンちゃんたちは、眠る前に決まった動きとして、足場を踏み固めるような行動をするのです。
ニオイが強いモノの上で、ごろんごろん!
お散歩中、ワンちゃんが地面を嗅いでいると思うと、突然寝転がって嬉しそうに身体を地面にごろんごろんと擦り付けること、ありませんか?
我が家の愛犬(チワプー8歳♀)も、お気に入りの「ミミズの匂い」に出会うと大感激してごろんごろんと身体をよじってこすり付けます。
動物園のオオカミたちも全く同じ。
何かしら気になる匂い(この匂いは、人間が嗅ぐと強く臭うモノ!)に出会うと、嬉々としてその匂いスポットに背中や顔先をこすりつけながら転げ回るのです。
この行動には諸説あると言われています。
新しい匂いを身体にまとい、それで別の場所にマーキングすることでより自分の存在を強くアピールするため、また反対に強い匂いで自分の匂いを消し存在を目立たなくするため、などというものです。
イヌたちにとってマーキングは、大切な仕事の1つ。
オオカミたちもマーキングを駆使しながら、自分を、家族を、そして群れを守り厳しい自然の中を生き抜いているのでしょうね。
いかがでしたか?
最後にもう1つ、お話したいことがあります。
それは、昔は日本にもオオカミが生息していたという事実です。
北海道にはエゾオオカミが、そして本州にはニホンオオカミがいました。
しかし残念なことに、エゾオオカミは1800年代の終わりに、そしてニホンオオカミも1905年を最後にその姿は確認されていません。
日本にいたオオカミたちの絶滅は、人間の偏った判断からきた駆除が大きな原因の1つだと言われています。
人間に害を及ぼすという一方的な考えのもとに駆除を進める先には、オオカミのみならず世界中の多くの野生動物が絶滅へと追い込まれていきました。
生態系にむやみに手を出し、そのバランスを崩すことがどんなにむごいことにつながってしまうのか・・・、日本のオオカミ絶滅はそのことを物語っています。
動物の行動の一つ・ひとつには、すべて意味があります。
動物園で出会う動物たちの、ちょっとした動きやしぐさの意味を紐解き、発見することは、動物を観る喜びや面白さとなり、ひいては動物や自然への正しい理解へとつながるのです。
今日もお読みいただきありがとうございました!
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