子犬の頃に酷い虐待を受け捨てられた犬。

そのうえ8年間も檻の中での生活を強いられますが、今ではたくさんのおもちゃに囲まれて暮らしています。

子犬の耳を切った飼い主

ジョジョは耳が半分ありません。

ジョジョが子犬だったときに飼い主がハサミで切ってしまったのです。

 

「彼が感じたはずの痛みを私たちは想像もできません」とジョジョを救ったAnimals R Familyの創始者ニコール・ブルックさんは話しています。

 

どんなに痛かったことでしょう。

その傷が癒えるまでどんなに時間がかかり、そしてほんの小さな子犬のジョジョはそれを一人で耐えるしかなかったに違いありません。

しかも、ジョジョはその後、地方の施設(日本で言う保健所のような施設)に遺棄されるのです。

 

人間は時に動物に対して本当に恐ろしいことをします。

自分の耳が切られたらどう感じるのか・・・。

人間に対しては簡単にできない残虐なことを動物にはしてしまうということは、動物を見下していて、その痛みを慮ることができないからなのでしょう。

 

それなのにどうして犬を飼うのか・・・。

こういう人はくり返し同じことをする傾向があります。

何度も犬や猫を死なせても、何度も飼いたがるのです。

 

 

8年間檻の中に閉じ込められる

ジョジョの飼い主は、生後7ヶ月のジョジョを地方の保健所に捨てました。

 

「悲しいことにジョジョは窓のない倉庫に置いてある檻の中で8年間も過ごすことになるのです。そのケージには水も、タオルも毛布もなく、本当に何もない硬い地面だけしかない檻でした」とブルックさんは当時の様子を話しています。

 

アメリカは日本より動物愛護への関心は高いでしょうし、多くの命を救っている愛護団体もたくさんあります。

ジョジョが捨てられた施設はジョジョの命を奪いはしませんでしたが、適切な世話を行うこともなく新しい飼い主を探す努力もしませんでした。

 

動物愛護ボランティアは「命を助け、幸せにしたい」という強い動機を持って活動しますが、行政などは望んでその仕事をしているわけではない場合もあり、さらに成果があろうとなかろうと自分の給与などに直結するわけではないので信念を持って保護活動に向き合っていないことも珍しくありません。

 

8年間も檻の中に放置していたのですから、施設の職員が動物愛護の精神に則って積極的に携わったわけではないのは確かでしょう。

 

日本でもこういう職員は残念ながら散見されますが、動物愛護で給料をもらっているのですからそれに邁進してもらいたいですし、誇りを持って職務にあたってほしいと思います。

 

ジョジョ おもちゃ100個を持つ保護犬

 

8年間水入れさえない檻に放置されていたのですから、愛情だってかけてもらっていなかったでしょう。

しかし、ジョジョは愛情深い心を持ち続けました。

人間に放置され、過酷な状況に置かれることによって暴力的になってしまう犬は珍しくありません。

 

「私達がジョジョを救ったのは9歳のときです。8年間の汚い檻の中での生活にもジョジョの個性や魅力が傷つけられることはなかったのです」と話すブルックさん。

 

耳を切られ8年間もの長い間無視され続けてなお、人への愛情を失わない心を持った犬の姿を見ていると、人間の方が劣った存在かもしれないとさえ思えます。

 

 

愛してくれる家族との出会い

2016年12月にニューヨークで開催された里親を探す会のイベントにブルックさんたちがジョジョを連れて行ったときに、ついにジョジョは運命の出会いを果たします。

 

会場にはこのイベントを主催した会社の設立者であるケビン・カルチャーさんと妻のリーンさん、そして息子のジョーダン君が来ていました。

 

カルチャーさんの会社はコーヒーを販売する会社なのですが、売上の20%を愛護団体に寄付しているのです。

欧米では寄付文化が浸透していますが、個人の他に多くの企業も動物愛護に対して寄付を行います。

おかげで、多くの愛護団体が沢山の命を救うことができているのです。

 

「ジョジョの悲しい話を聞き、私たちはジョジョに里親が現れる可能性がほとんどないことが分かり、ジョジョを救うことにしたのです。

ジョジョの残りの犬生に出来る限り多くの時間と愛情を詰め込んであげたいと思っています。」とケビンさんは話しました。

 

 

保護犬から100個のおもちゃを持つ愛され犬へ

ジョジョ おもちゃ100個を持つ保護犬

 

ジョジョは長年のネグレクト(飼育の怠慢・放棄)により医学的治療が必要でしたが、完全に回復することができました。

ジョジョは10歳でようやく本当の家を見つけることができたのです。

ケビンさん夫妻は文字通り100個のおもちゃをジョジョに与えて甘やかしているそうです。

 

「ケビンはジョジョにとって、父親で親友、そして運転手で執事であり、シェフ。そしてそれ以上なのです」とジョジョを保護したブルックさんは話します。

 

「ジョジョは失われた時間を取り戻しています。ジョジョはおもちゃを持って行き芝生の上で何時間も過ごしています」と家でのジョジョの様子をケビンさんは伝えています。

 

ジョジョ おもちゃ100個を持つ保護犬

 

ジョジョはお友達の犬と仲良くぬいぐるみを分けっこして遊ぶこともできます。

現在のジョジョの様子を見ると、ひどい虐待を受け、長く人間に顧みられずに放置されていたとは信じられないことです。

 

人間の目から見ればそのひどい過去は昔のことではありませんが、ジョジョにとっては今の犬生が幸せであることが最も大切で過去を思い悩んだりはしていないでしょう。

 

だからこそ、ひどい過去を背負っていたとしても動物にとっては今を幸せに生きることがいちばん大切なので、それを満たしてあげることが重要ですね。

 

ジョジョ おもちゃ100個を持つ保護犬

 

ジョジョは今、毎日が最高の犬生です。

「ジョジョは夜寝るときに、おもちゃ箱からひとつおもちゃを取り出して一緒に寝ます。そして自分のものであることに満足しておもちゃの横でいびきをかいて寝るのです」

と話すケビンさん。

 

ジョジョ おもちゃ100個を持つ保護犬

 

ジョジョは愛されていることを感じながら眠りにつくのですね。

 

 

その子にできるすべてのことをする

ケビンさんは里親になることを望んでいる人たちに対して「里親が見つかりにくそうな子はどの子か?」を考えて欲しい、そして「その子に対してできることは全てやってあげて欲しい」と話しています。

 

保護活動をしている人間からすると感動的な言葉です。

多くの人は自分の好みの外見やいかに若い子(子犬・子猫)であるかを重視し、健康かどうか気にします。

 

それは当たり前のことですが、そうではない、怪我や病気により外見が少し違ったり、若くなかったり、多少の障害や持病がある子達であっても、どうか里親になってくれる人がいればと思って里親募集をします。

 

その子達だって好きでそうなったわけではありません、

そんな子たちにだって幸せになる権利はある、そう思うからです。

 

ジョジョ おもちゃ100個を持つ保護犬

 

ときどき、本当にまれにではありますが、ケビンさんのように「里親が見つかりにくそうな子」を家族に迎えてくれる方がいます。

そのときの嬉しさは保護活動をしている者にとってはひとしおです。

 

つらい過去を耐え生き抜いたからこそ、残りの犬生はジョジョのように幸せしかない毎日を送ってほしいと筆者も保護活動をしているひとりとして思います。

 

出典:the dodo

関連カテゴリ:感動

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