
20年間真っ暗な地下室で飼い主を待ち続けた老猫がついに日の当たる世界へ
20年前に置き去りにされた猫
アニタ・ダイアマントプルーさんは2017年にニューヨークのアパートに引っ越してきました。
彼女はごく普通のアパートだと思っていたのですが、アパートの隣人にまず説明されたのは、このアパートには特別な住人がいるということでした。
その特別な住人に地下室へ会いに行ったアニタさん。
地下室の特別な住人、それは人間ではありませんでした。
そこで目にしたのは、やせ細った1匹の小さな灰色の猫だったのです。
住人の話によると、猫は1997年に飼い主に置き去りされてしまったのです。
それ以来、20年間地下室で暮らしてきました。
かわいそうに思った住人たちが猫に食べ物を与え、猫はなんとか生き延びることができたのですが、地下室は真っ暗で一筋の日さえ当たらず、新鮮な空気も入ってこない場所でした。
こんな場所で20年間・・・。
20年というと、猫にとっては80年間にも値する長さです。
猫は暗闇でも見える目を持っていますが、暖かい場所を好み日向ぼっこが大好きな動物。
それが、暗く冷たい地下室で20年間も暮らしてきたのかと思うと、涙が出そうになってしまいます。
猫はなぜ突然家族がいなくなってしまったのかも理解できずに、ただただ同じ場所で迎えが来るのを待ち続けたのでしょう。
地下室でエサをもらう 誰の猫でもない20年間
猫は愛情に飢えていてすぐにアニタさんに近寄ってきて、体や頭をこすりつけてきたそうです。
猫は「グラニー」おばあちゃんという愛称で呼ばれていました。
猫がいる地下室には猫ベッドらしきものがおいてあり、20年も地下室で生きてこられたのはアパートの住民の施しがあったからなのでしょう。
しかし、猫はとても痩せていました。
さらに、一筋の陽の光さえ入らない地下室が猫にとって快適な住まいでないことは確かです。
野良猫や地域猫として餌をもらって暮らしている猫は、最低限の餌を人間からもらうことで外の世界でもなんとか生きていますが、芯からその子のことを心配してくれる人がいないのが実情です。
病気になった時に病院に連れて行ってくれたり、暑さや寒さに気を使ってくれたりする人はいません。
台風がこようが雪が降ろうが誰も守ってくれず、家にも入れてくれるわけではない。
それが、飼い主のいない猫です。
グラニーは外で暮らしていたわけではありませんが、誰かのいちばん大事な猫でないのは確かです。
ペットを気軽に置き去りにする人は残念ながら少なからずいますが、置き去りにされたあとのペットにどんな災厄が降りかかるか少しでも想像してほしいです。
特に猫は置き去りにされやすいペットですが、「なんとかして生きられるでしょ」は甘い考えに過ぎません。
たしかにグラニーは、生きていはいました。
でもその20年の歳月が彼女にとって幸せな年月だったでしょうか。
暗闇から猫を救う決心をする
アニタさんはすぐに食べ物を持ってきてグラニーに与え、そして動物病院に連れていき血液検査や予防接種を受けさせました。
グラニーはとても痩せていて、歯がほとんど残っていませんでした。
しかし、ものを食べたり飲んだりするのに支障はなく、元気。
そして、20年もの長い間地下室に放置されてきたにも関わらず人間が大好きでした。
アニタさんはもう二度とグラニーを地下室に戻す気になれませんでした。
しかしアニタさんはグラニーを迎え入れてあげることができませんでした。
なぜならアニタさんはすでに猫を飼っていて、その子は他の猫を受け入れないタイプだったのです。
そこでアニタさんはグラニーを世話してくれる人を探すことにしました。
幸運にもすぐにアニタさんの友人がグラニーを引き受けてくれることに同意してくれたのです。
こうして、グラニーは20年間で初めて地下室を出て、家といえる場所に行くことになりました。
暗闇から日のあたる場所へ
アニタさんの友人の家につくと、グラニーは慎重にキャリーを出て、あたりを見回しました。
グラニーは暗闇にすっかり慣れてしまっていたので、明るい室内に戸惑っていました。
「最初の日、グラニーはバスルームにこもりました。そこは薄暗く涼しい場所だったからです。私は彼女が太陽に慣れてないからだと思いました」とアニタさんはグラニーが戸惑っていた様子を話しています。
やっと地下室から出られたグラニーですが、地下室の環境が当たり前になってしまい、暖かい場所に馴染むことができなかったのでしょう。
アニタさんはグラニーの住む新しい世界が、安全で居心地がいいと理解できるように努力しました。
「私は赤ちゃんをなでるように優しくグラニーをなで、食べ物を与えて一緒に過ごすようにしたのです」
残念ながらアニタさんは自分の家に帰らなければならなかったので、翌日またグラニーの様子を見に訪れると、だいぶ自分の居場所だと感じることができるようになったように見えたそうです。
「彼女はバスルームから出て座っており、私を出迎えてくれたのです」
グラニーが暗闇で過ごした20年もの月日をかなったことにはできませんし、取り戻すこともできません。
しかし、グラニーの猫生は残り少ないとしてもこれからは光に溢れたものになるでしょう。
ひどい状況にいる猫の姿を見てかわいそうだと思う人は大勢いても、実際に手を差し伸べる人はあまりいません。
筆者も、先日猫が捨てられ、たくさんの子猫が車にひかれてしまう現場に偶然遭遇しました。
餌をやりに来ていた人に事情を聞くことができたのですが、かわいそうだから餌はやるけどそれ以上の協力はできないと言われました。
ほんの少しの協力で助かる命もあるのに。
まさにグラニーの状況と同じです。
グラニーは地下室を追い出されることはありませんでした。
しかし暗く寂しい地下室から彼女を連れ出すことは、20年間誰もしなかったのです。
アニタさんが引っ越してこなければ、グラニーは真っ暗な場所で日の暖かさを知ることなく死を迎えていたでしょう。
偶然がもたらしたグラニーに起こった奇跡に、そしてためらわず行動してくれたアニタさんに感謝の念を感じずにいられません。
出典:the dodo
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