高速道路に遺棄された犬

2017年1月、オハイオ州アクロンのトラック運転手ダン・オグレイディーさんは、高速道路を運転しているとき森林帯の付近で犬が遺棄されていることに気が付きました。

たくさんの車が走っていましたが、誰一人犬を救おうとする人はいませんでした。

そこでダンさんは一度高速道路を降りて引き返し、犬を助けることにします。

 

犬は痩せていて、ダンさんに気が付くと吠えました。

しかし、助けようとするとするりと逃げてしまいます。

まるで助けられたくないかのように。

犬は森と高速道路の境目をうろうろし、戻ってきてはダンさんに向かって吠えるという行動を何回も繰り返すのです。

 

ダンさんは犬が自分についてきてほしいに違いないと思い、一緒に森の中に歩いていきました。

ダンさんはほかにも助けてほしい犬がいるのかもしれないと思い、茂みを捜索。

するとそこには思いもかけない要救助者がいたのです。

 

犬が助けてほしかったのはウサギ

犬がダンさんに助けてほしいと頼んだ存在は小さな白いウサギ。

犬は同じく捨てられた彼の友人を後にしたくなくて、自分だけが救助されることを拒んだのです。

 

ウサギはダンさんに抱き上げられてもじっとしていました。

明らかに人に飼われていて森に捨てられたのです。

信じがたいことですが、犬とウサギは一緒に飼われていて、一緒に捨てられたのだと考えられます。

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ダンさんがウサギをすくい上げると犬も一緒についてきました。

そして初めは拒んでいたのに、おとなしくダンさんのトラックに乗り込む犬。

ウサギが助けられたことで安心したのでしょう。

 

友人を残すことを拒み、人間をその場まで案内し、助けてくれたこともちゃんと理解しているのです。

とても頭のいい子ですね。

このような子たちを捨てる飼い主の気が知れません。

人間よりもよほど犬の方が友情や愛情を理解していると思わされてしまいます。

 

トラックで飢えを満たし保護施設へ

2匹がトラックに落ち着くと、ダンさんはどちらも飢えていることに気が付きました。

そこで、一番近い保護施設に送り届ける前に休憩所で犬のためにミートサンドイッチを、ウサギのためにサラダを購入し2匹のおなかを満たしてあげました。

 

ダンさんは犬には「ハイウェイ(高速道路)」と名付け、うさぎは「インターステート(州間高速道路)」と名付けました。

ダンさんは高速道路から最も近いフロリダ州ジャクソンビルの保護施設に2匹を送り届けることにしたのですが、犬のハイウェイは保護してもらえたもののウサギは保護できないと断られてしまいます。

ダンさんはトラック運転手で仕事中です。

ウサギを連れたまま仕事はできませんし、ウサギのためにもよくありません。

 

そのときダンさんはウサギを保護している施設があったことを思い出しました。

サミット郡のHumane Societyに電話をすると、快くウサギのインターステートを引き受けてくれることなったのです。

 

ダンさんはインターステートが車内で快適に過ごせるようにするためにクレートを購入し、北へ向かって長いドライブを開始しました。

 

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ハイウェイの友情で命が助かったインターステート

その後、無事にインターステートは施設に保護されたのですが、栄養失調に陥っていて大人のウサギにもかかわらず1.3kgしかありませんでした。

通常の体重は2kg~4kgですからかなり痩せていたことになります。

 

高速道路わきに捨てるような飼い主ですから、もともときちんと世話をしていなかったのでしょう。

犬もいきなり捨てられると水さえも飲めないことが多いのですが、ウサギはもっと弱い動物なので人間に飼われていたウサギが捨てられた場合、ほぼ生き残ることはできないそうです。

ハイウェイがダンさんをインターステートのもとに導かなければ、死んでしまっていたことでしょう。

 

ハイウェイは自分だけが救われることを拒否しました。

どのくらいの間、2匹で森の中を過ごしたのかわかりませんが、インターステートはウサギですから野生動物などに捕食される危険もあります。

ハイウェイがずっと守ってくれていたのでしょう。

 

人間の優しさと犬の友情によるハッピーエンド

2匹が一緒の場所に保護されなかったのは残念ですが、それぞれ里親さんが見つかりました。

 

ハイウェイはジョージア州の保護施設から里親さんのもとに行きました。

健康状態が悪かったインターステートですが、保護施設のケアで体重も2.3㎏ほどまで増え、2017年2月に里親さんが見つかったそうです。

 

 

助けを求めるハイウェイの横をたくさんの車が無視して通り過ぎました。

ダンさんだけが引き返し、ハイウェイの意思を汲み取り彼の友人のウサギまで保護したことで2匹の幸せにつながりました。

 

筆者も昨年の夏に高速道路に捨てられて瀕死の状態だった子猫を助けた旅行者の方から、保護を依頼されたことがあります。

その子は無事に今年の春に里親さんが見つかりました。

そのときも何台も車が通りすぎたそうです。

 

日本では殺処分のない保健所はほとんどないですし、民間の保護施設もあまりありません。

助ける決心をすることは難しいかもしれませんが、真摯に相談されれば何とかしたいと思う保護活動者はいると思います。

 

犬のハイウェイはウサギの友達を助けたくて頑張りました。

ダンさんは犬を救うためにわざわざ高速道路を引き返し、ハイウェイの気持ちを汲んでインターステートも救いました。

犬と人間の優しさと友情が成し遂げたハッピーエンドだと思います。

 

 

出典:Little Things

出典:Nine News

 

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