震災や雪崩などの災害において、犬が埋もれた人を探す場面をよく目にするようになりました。
その犬たちは「災害救助犬」と呼ばれ、すぐれた嗅覚を駆使して人命を救助しています。しかし私たちは、災害救助犬についてどこまで知っているでしょうか?

 

知られざる災害救助犬の謎について探求してみました。
※なお、本文の内容は札幌市近郊の状況であり、地域によって状況が異なることを、あらかじめご了承ください。

災害救助犬とは

災害救助犬はレスキュー犬、レスキュードッグとも呼ばれ、優れた嗅覚で行方不明者を捜索するように訓練された犬です。災害救助は極めて慎重な判断を必要とするため、雪山や山林、瓦礫など本番を想定した厳しい訓練が行われます。

 

災害救助犬の訓練 
 

災害救助犬の歴史

災害救助犬は、スイスでセントバーナード犬を山岳救助に使ったのが始まりであると言われています。
特に凍死寸前の人を背中に乗せて安全な場所まで運び、40人以上もの命を救ったセントバーナード犬「バリー号」の逸話は、死後200年を過ぎた今でも語り継がれています。

 

日本においては法制度がなく、各組織団体独自で育成が行われていましたが、1995年に発生した阪神・淡路大震災の行方不明者の捜索で注目されます。その後も数々の災害現場で災害救助犬の活躍が見られるようになり、広く存在が知られるようになりました。

 

もっと災害救助犬のことを知りたい!

ドッグスクール・ゆうじん
 

災害救助犬の名称は知っていても、どこにいて、誰が管轄しているのか、またどういう経路で出動要請がかかるのか知らないことばかり。その謎を究明すべく、災害救助犬に情熱を注ぐ「ドッグスクール・ゆうじん(北海道・恵庭市)」を訪ねました。恵庭市の郊外にあり、十分な広さを誇るドッグスクールです。

 

お話を伺ったのは、スクール経営者の柳生昌男さんです。数々の要職を務めるだけあり、全身から「犬が好き」というオーラが立ち込めています。

 

災害救助犬の役割

災害救助犬 訓練
 

災害救助犬の活躍の場は、山林・雪上・被災地の3つになります。

 

山菜やタケノコを取りに山に入ったものの帰り道が分からなくなった人、雪崩や軒下の落雪により雪の中に埋もれてしまった人、倒壊した家屋や瓦礫の中に閉じ込められた人など、場面に応じて臭いを嗅ぎ分け、人命を救います。

 

災害救助犬はどこにいるの?

災害救助犬 訓練
 

多くの人は「災害救助犬は警察犬が担っている」と考えているかもしれませんが、警察犬が救助に行くという例はほとんどなく、実質的な救助は民間が担っています。

 

その多くはドッグスクールに所属している犬や、普段ペットとして飼われている家庭の犬です。訓練にかかる費用は飼い主負担ですが、「自分の犬が人助けになれば」と訓練を依頼する人もいます。

 

出動要請はどこからくるの?

災害救助犬 訓練
 

多くの人は「警察から要請されるもの」と思っているかもしれませんが、札幌近郊では警察からの要請はほとんどありません(地域によります)。

 

行方不明者の家族や所属する組織団体からの依頼、または事件を知った災害救助犬の飼い主が現地に赴いて、自ら捜索を買って出ることがほとんど。

 

2011年の東日本大震災の時に災害救助犬が活躍する姿をよく見かけましたが、それらも自主的な行動だったと言います。

 

災害救助犬の認定は誰がするの?

警察犬の場合、民間の嘱託犬の試験は警察が実施しますが、災害救助犬は法的根拠がないため各災害救助犬の組織団体が、それぞれに認定試験を行っています。

 

日本に災害救助犬の組織団体は多数あり、認定試験の内容も統一されていません。そのため「現場に出られるレベルではない」という災害救助犬も存在するとか。

 

「災害救助に行くには自己責任が必要」と柳生さんは言います。
捜索の邪魔になったり、逆に助けられたりすようなことは、あってはならないことだと力を込めました。

 

災害救助にかかる費用は?

災害救助犬 訓練
 

災害救助は重労働、さぞ多額の請求を受けるのだろうと思いきや、「お金は取りませんよ。たいていボランティアです」という返答が!

 

組織団体は募金から成り立っていて、出動するとそこから経費が出るため、救助者に請求することはないと言います。
また大手企業とスポンサー契約をして、ジャンパーに企業のロゴなどを入れることもあるのだとか。約7割は募金に頼っているので、資金繰りはかなり苦しいようです。

 

救助犬の要請、および寄付の方法は、各団体によって異なります。各団体のHPにてご確認いただくか、お問合せください。

 

代表的な組織団体

    • 一般社団法人ジャパンケネルクラブ

http://www.jkc.or.jp/

    • NPO法人 日本救助犬協会

http://www.kinet.or.jp/kyujoken/

    • 認定NPO法人 日本レスキュー協会

https://www.japan-rescue.com/

    • NPO法人災害救助犬ネットワーク

http://www.drd-network.or.jp/aboutdog/

    • 日本捜索救助犬協会

https://www.japan-srda.net/
上記の他にも全国に多数の組織団体があります。

 

災害救助犬はボランティアで捜索しています

「日本は犬を運用していく仕組みづくりが弱い。警察や消防、行政などが行方不明者の家族に対し、災害救助犬の要請を促す仕組みがあればいいのですが」と柳生さんは言います。災害救助犬を依頼したくても、どこに頼んでいいのかわからない、どれくらい費用負担が必要かわからない。せっかく訓練をしても役立てる場が少ないことが残念でならないようです。

 

最後に「これをしっかり宣伝しておいてください」と言われました。

 

雪山の遭難や災害救助だけでなく、落雪や街中の行方不明についてもボランティアで派遣を行っています。助けられる命があります。災害救助犬をご活用ください。

 

ドッグスクール・ゆうじん

http://agility.jp/~school/

※写真はドッグスクール・ゆうじんより提供いただきました。

 

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