15年間配達員を務めている女性が配達先のピットブルと仲良くなります。

そのピットブルが悲劇に見舞われたときに、彼女はピットブルを救う決心をしました。

 

 

 

配達先で仲良くなった犬と配達員

ケイト・ニューハウザーさんは15年間UPSという運送会社のトラックドライバーを務めています。

配達先で飼い犬と会う機会の多いUPSのドライバーは犬好きの人が多く、UPS DOGS というフェイスブックのページにはドライバーが遭遇した犬の写真が満載です。

ケイトさんが窮状から救った犬、レオについて最初に紹介されたのもこのページでした。

 

ピットブルのレオは時折訪れる配達員のケイトさんのことが大好きでした。

 

「私がコンドミニアムに来るたびにレオはとても喜んでいました。なぜかはわかりませんが私に会いたいと思っていたようです。レオはいつもやって来て私を舐めるのです」

 

そして、まるで一緒に行きたいと思っているようにケイトさんのトラックに飛び乗ります。

「私が出発しなければならなくなると、レオはがっかりするのです。」と当時のことを話すケイトさん。

 

実はケイトさんは犬好きで、自身でも犬を飼っています。

ときどき動物は世話をしてもらっているわけでなくても、とてもウマの合う人間がいるものです。

レオにとってはケイトさんがそんな存在だったのかもしれませんね。

 

ケイトさんはレオの飼い主であったティナさんとも知り合いになります。

ケイトさんは配達先の人が犬を飼っていると話をすことが多く、たくさんの飼い主と知り合いになったそうです。

本当に犬が好きなのですね。

 

ある日突然起こった悲劇

このようなケイトさんとレオ、レオの飼い主のティナさんとの交流は1年ほど続きました。

しかし2016年10月、幸せだったレオの生活が一変してしまう出来事が起こります。

 

「私は休暇を取ったあとに仕事に戻り、再びコンドミニアムを訪れました。私がコンドミニアムに入っていくとティナの息子のキャノンが荷物を運び出しているのが見えました。私は彼に手を振り、キャノンも振り返してくれて、そのとき私は深く考えませんでした。コンドミニアムの管理会社はレオがピットブルであるということを良く思っていなかったので、ティナは引っ越すことにしたのだろうと思ったのです。」

とその異変が起こった時の様子をケイトさんは語っています。

 

ピットブルは闘犬(闘犬はアメリカでは違法)に使われることも多く、凶暴な犬であるという偏見が根強くあります。

 

「後日、私はティナに電話をしたのですが留守番につながってしまいます。次の日に電話をかけなおしても同じでした。そこで、彼女のフェイスブックをチェックするとそこには彼女が亡くなったことへのお悔やみのコメントが書いてあったのです。私はショックを受けました。」

 

レオと亡くなったティナさん。

レオと亡くなったティナさん

UPS Driver Adopts Orphaned Pit Bull Pal After Dog’s Original Owner Dies

 

ケイトさんはすぐにティナさんの息子のキャノンに連絡を入れ、レオを預かる旨を申し出ました。

キャノンは海兵隊員で、すぐに訓練に戻らなければならないことを知っていたからです。

留守が長いキャノンはレオの面倒を見ることはできません。

 

 

仲良しの犬ができるだけ幸せに過ごせるように

犬好きのケイトさんはすでに2匹の犬を飼っていました。

そのため、はじめはレオをずっと飼うつもりはありませんでした。

 

「レオはどこにも行く場所がありませんでした。保護施設で犬生を過ごさせることも、レオに最善を尽くしてくれない人の家に行くことになるのも嫌でした」と語るケイトさん。

 

ケイトさんがレオを迎えに行くと、いつもの仕事のトラックではなくてもすぐにケイトさんのことを出迎えてくれたそうです。

 

 

「レオは私がUPSのトラックで行ったときのように、私に走り寄り吠え始めました。それからすぐに私の自家用トラックにジャンプして乗ったのです。レオは車に乗るのが好きで、そのときは単に車に乗るだけだと思ったでしょう。レオにはよく分かっていなかったと思います。」

 

先住犬と仲良くなるも飼い主を恋しがるレオ

ケイトさんのうちには先住犬が2匹いたのですがお互いににおいを嗅ぎ、すぐに裏庭で走り始めました。

3匹はすぐに仲良しになれたのです。

 

しかし、レオはティナさんを恋しがって泣きました。

レオは息子のキャノンさんが連れてきた子犬でしたが、面倒を見ていたのはティナさんでした。

レオはあまりに早く母親から離されたため、ティナさんがミルクを飲ませて育てました。

レオにとってティナさんはかけがえのない存在だったのです。

 

 

 

「レオは夜になると泣いていました。その様子に私も悲しくなりました」

と話すケイトさん。

 

レオは今でも時折寂しくて泣いてしまうようですが、次第にケイトさんの家での生活に慣れてきました。

そしてケイトさんはレオが家族の一員になってくれたことをうれしく思ったそうです。

 

「レオは大きな赤ちゃんと同じです。こんなに優しい犬を見たことがありません。レオは大きくて外見は怖い感じがします。でも、目を見ればとても優しい犬であることが分かります」

 

 

 

ケイトさんと本当の家族になったレオ

キャノンさんが軍の訓練を終えるまでの一時預かりのはずでしたが、レオと先住犬のムースはとても仲良くなり、一時預かりではなく本当の家族になることになりました。

テリアミックスのベイリーと遊ぶのもレオは大好きだそうです。

その他に猫のマディソンとモカも今ではレオの家族です。

 

 

「レオはカウンターのものを取って追いかけっこするのが好きです。レオは個性的で、最高の犬です!」とレオの現在の様子をケイトさんは伝えています。

 

ケイトさんはレオを引き取ってからピットブルがいかに悪者にされているかを思い知らされました。

レオがどんなにかわいいかを多くの人に伝えることによって、ピットブルの里親になってくれる人が増えてほしいと願っているそうです。

 

 

 

信頼出来る飼い主であることが犬を幸せにする

ピットブルへの偏見は根強いものがありますが、人間と平和に暮らせるかどうかは多くの場合、犬の品種による性質ではなく、飼い主や周囲の人間の対応によるところが大きいのではないでしょうか。

 

どのような犬種であっても、人間から愛情をかけてもらえず、しつけをされていない、人間社会に順応する機会を持たせてもらえないという状況であれば、うまく人間と付き合えなくなって当たり前です。

 

暴力を受ければ自分に害を及ぼすものと人間をみなし、身を守るために犬の唯一の武器である牙を向けてしまうでしょう。

 

「犬」という特性を理解したうえで、人間社会の中でうまくやっていけるようにするのが飼い主の責任だと思います。

 

人間は「優しくて愛してくれる存在である」ことを犬に分かってもらえばいいのです。

特別なことをする必要はありません。

レオの元飼い主のティナさんのように、レオを救ったケイトさんのように家族として愛し慈しんであげればいいのではないでしょうか。

 

飼い主を失ったペットは悲惨な運命をたどることがあります。

ケイトさんとティナさんは配達先の知り合いという仲で、家族でも親友でもありません。

通常であれば、配達員が飼い主を失った配達先の犬の面倒を見てくれるなどということは起こり得ないでしょう。

しかし愛する飼い主を失い、行き場のないレオに思いを馳せて家族に迎えたケイトさんの行為には心から敬服しますし、犬を愛するひとりとして感謝の気持ちでいっぱいです

 

 

出典:Facebook

出典:the dodo

出典:Life with dogs

 

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