メラニー・アンドリュースさんが保護施設で希望したのは「ここにいる犬の中で最も年取っていて誰にも欲しがられない犬」でした。

 

 

一番高齢で誰からも欲しがられない犬の里親に

カルフォルニア州に住むメラニーさんは落ち込んだ気持ちでいました。

彼女は1月に夫を失った上に、その後に慰めになってくれていたスタフォードシェアテリアのローラまでその1か月後に失ってしまったからです。

 

ある日、孫が来てメラニーさんに言います。

「誰か一緒にいてくれる人が必要だよ。ここに座ってばかりいてはだめだよ」

 

2週間後、メラニーさんはサクラメントにあるFront Street Animal Shelter

に行き、犬の里親になることを決心するのです。

 

 

「私は、私たちを癒してくれたローラのような犬を助けてあげたいと思いました。そこで、ここで一番年取っていて誰からも振り返ってもらえない子を養子にしたいと言いました」と施設に行った時のことを語るメラニーさん。

 

「病気であってもかまわないし、施設で支援ができなくてもかまいません。私はたくさんのお金はありませんが、小さな犬の面倒を見ることは十分にできます」

 

末期がんの犬に出会う

施設の職員に3匹の犬がいる犬舎に連れていかれたメラニーさん。

そこでジェイクに出会ったのです。

 

ジェイクは12歳で、迷子になったか捨てられてしまったと考えられる犬でした。

ほかの2匹はメラニーさんに会っても何も反応しませんでしたがジェイクは違いました。

とてもはしゃいでクンクンと鳴きました。

そんなジェイクを見てメラニーさんは家に連れて帰ることを決心します。

 

施設のスタッフはジェイクが選ばれたことをとても喜んだのですが、ある問題を伝えなければなりませんでした。

ジェイクは末期の皮膚がんのうえ、耳は不自由で目もあまり見えておらず歯の状態も悪いという健康とは言い難い体だったのです。

 

それを聞いてもメラニーさんの決心は揺るぎませんでした。

「スタッフはジェイクががんであること、そして残された時間はあまりないことを教えてくれました。私たちは限られた時間をできるだけ良いものにしたいと話しました」

 

これはメラニーさんとジェイクが保護施設の前で一緒の撮った写真です。

笑顔がはじけて素敵な写真ですね。

 

 

メラニーさんもジェイクもお互いに望んだ相手と出会うことができたことがよくわかります。

施設の職員もジェイクに本当の家が見つかり、とても喜びました。

 

「ジェイクはいい子でした。しかし健康上の理由や年齢のせいで誰からもほしがられなかったのです」と施設のスポークスマンのボビー・マンさんは話しています。

 

残された1分1秒を大切に

メラニーさんと一緒に家に帰ったジェイクはすぐにリラックス。

ジェイクは迷いもなく家の中に入っていき、椅子の上に上がると横になって眠ったのです。

その様子を見たメラニーさんは、ジェイクは野良犬ではなくつい最近まで人に飼われていて遺棄されたのだと考えたそうです。

 

 

「ジェイクの世界は変わりました。しかし残された時間は1年か、よくて2年でしょう。それでも、ジェイクが亡くなってしまってもここにいて幸せに暮らしたことを私は理解しているので大丈夫です」

 

ジェイクに残された時間は少ない。

メラニーさんは残されたすべての時間、1分1秒を大切にしています。

 

「ジェイクはもう寂しくないでしょう。ジェイクは人を愛することを知っている犬です。ジェイクはわたしのところにやってきて体を擦り付け、なでてほしいと言います。私の鼻に自分の鼻をこすりつけます。もし誰からもかわいがられたことがなければこんなことはしないと思います」とジェイクの様子を語るメラニーさん。

 

 

ジェイクはビーチに旅行したりすることは難しいですが、裏庭で過ごすことがとても気に入っています。

メラニーさんとジェイクは近所を散歩するのですが、お互いにちょうどいいテンポなのだとか。

 

 

幸せなときを長く

メラニーさんの目標はジェイクができるだけ長く幸せに過ごせること。

メラニーさんはジェイクのために様々な工夫をして、楽に過ごせるようにしてあげています。

皮膚がんであるジェイクの肌は露出しているところもあるので、定期的にココナッツの入ったお風呂にいれてあげますし、冷たい水は痛んだ歯にしみてしまうので温かいお湯をあげます。

そしてドッグフードを食べやすくするためにチキンスープでふやかしてあげるのです。

こうしてあげるとジェイクは喜んで食べてくれるとのこと。

 

ジェイクは末期がんで治癒することはありません。

「ジェイクはわたしと一緒にここで楽しい犬生を過ごすことができるでしょう。私は幸せになるチャンスを与えたかったのです」

 

体のあちこちが悪くなってしまっていたジェイク。

本当の飼い主には大切にされず捨てられてしまったのかもしれません。

ジェイクが犬生の最後に本当の愛情を知り、幸せな時間を過ごすことができることに慰められます。

 

またメラニーさんの献身と愛情にも敬服します。

そしてそんなに長くない時間の後にお別れが来ることを理解しつつ、現在の生活をより良くすることに目を向けているメラニーさんは本当に素晴らしい。

 

 

筆者はときどき、ペットが病気になったり、亡くなったりしてつらいというメールなどをいただきます。

自分の飼い方は正しかったか、治療の方法は正確だったのか、さらにはその子を保護したことは正しかったのかとまで思い詰める方がいます。

その時にお伝えするのが、まさにメラニーさんが言っている言葉です。

 

病気になってしまったことを悲しむのは悪いことではありません。

愛しているなら当然の気持ちです。

しかしその気持ちに埋没すると一緒に暮らしているペットは不安を感じてしまいます。

メラニーさんのように「私と一緒にここで幸せに過ごせる」、そう思ってほしいと思います。

 

 

出典:TODAY

出典:the dodo

 

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