つながれた鎖が届く範囲がその犬の世界の全てでした。

 

犬を愛する人なら許せない行為でしょう。
しかし、残念ながら日本でもよく見られる光景です。

 

裏庭の片隅に鎖につながれっ放しの3年間

 

 

ピーナッツが住んでいるのはアメリカ ペンシルバニアの田舎でした。
ピーナッツは3歳ですが、生後数か月のときからずっと裏庭の片隅につながれっぱなしで暮らしてきました。

 

ピーナッツの飼い主は広い庭付きの立派な家に住んでいます。
しかし、その家の片隅でさえ、ピーナッツのために与えようとはしませんでした。

 

ピーナッツの世界、それは彼が繋がれた短い鎖が届く範囲のみ。

 

そして、飼い主から愛情を注がれた記憶もありません。

 

3年間、ピーナッツの状況を知る者はいませんでした。
ピーナッツは裏庭の片隅から自由になることはかなったのですから。

 

しかしピーナッツのいる裏庭のフェンスが倒壊したときに、そこにピーナッツがいること、そして鎖につながれっぱなしのひどい状況であることを地域の住民が知ることになりました。

 

行政機関がこの状況について注意はしたようなのですが、注意しただけでそれ以上のことはしようとせず状況は全く改善しませんでした。

 

ピーナッツを救おうと決めた女性

最終的に、ピーナッツを気にかけた人々は地域外にある動物愛護団体HOPE for Erie Animal Wellnessに救助を求めました。
このことが、ルゼライン・スタインバーラーさんがピーナッツのことを知るきっかけとなりました。

 

「私の娘はHopeでボランティアをしていて、この犬についてのたくさんの電話を受けていましたが、遠すぎて行くことができなかったのです。片道1時間もかかり、この犬のために時間をとることが難しかったのです」と当時の事情を話すルゼラインさん。

 

ピーナッツの家はルゼラインさんの家から車ですぐのところにあったため、状況を見に行くことにしました。

 

「行ってみるとピーナッツはぼろぼろの小屋につながれていました。屋根には穴が開き床は腐っていて、ピーナッツはどこにも隠れる場所もなく濡れ放題の状況でした。ピーナッツはそこから動くことができないので、水の中に横たわっていたのです。私は動物が大好きです。本当に悲しかった。私はこの犬を世話し、この犬のために時間を使おうと決め、実行しました」とピーナッツと初めて会った時の状況を語るルゼラインさん。

 

 

確かに写真を見ただけでもかなりひどい状況です。
風雨からピーナッツを守ってくれる役割を果たすものではありません。

 

ルゼラインさんはピーナッツの状況を改善したいという申し出を飼い主にしました。
飼い主の女性の言うところによると、ピーナッツはこの家に来てからずっと鎖でつながれたままだというのです。

 

しかも全く悪いと思っていない。

 

かなり昔のペットへの考え方しか持っておらず、現在の「ペットを適正に飼う」という考え方を持ち合わせていないのです。
飼い主にとってピーナッツをこのようなひどい状況に置いておくことは普通のことだったのです。

 

しかし、おざなりにでも一度は行政から犬の飼い方を改善するように注意されたはず。

 

それなのに「悪意がない」と主張するのは、改善する気が毛頭なかったとしか思えません。

 

自分の名前さえ知らないピーナッツ

「この国の多くの人たちが犬を鎖でつなぐのが当たり前という環境で育ちました。 特に地方ではそうです。そして、それは今でも続いているのです。」と話すルゼラインさん。

 

この状況は日本では現在でも全く変わりません。

 

筆者は東北に住んでいますが、やはり犬をぼろぼろの小屋でつなぎっぱなしの状況は珍しくありません。

 

東北の冬は厳しく、零下10度以下になることもあります。
そんな夜さえも犬を家に入れてあげることはないのです。

 

ピーナッツの飼い主はルゼラインさんが世話をしたいという申し出を受け、愛護団体のHOPEはそのバックアップをすることになりました。

 

「私たちはピーナッツに新しい小屋、新しい食器、新しい綱と首輪を用意しました。新しい綱はピーナッツが芝生まで来て寝ころべるほどの長さが十分にあります。次に彼に会ったとき、芝生の感触を楽しんでいる姿を見ました。ピーナッツは笑っていて、まるで違う犬の用でした。」

 

 

ピーナッツの生活環境は改善しましたが、今度は彼の心を満たしてあげる必要があります。

 

ピーナッツはずっと裏庭の隅に置かれ、誰からもかまわれずにひとりきりで過ごしてきたので、なんと自分の名前さえ覚えていなかったのです。

 

 

ルゼラインさんはなるべくピーナッツのもとに行くことを決め、それは1週間毎日であることもあったそうです。

 

「私はピーナッツと30分は一緒に過ごすようにしました。彼は最初のころ、だれかが彼のそばに行くと大喜びして飛びついてしまっていました。そうすると、誰も彼と一緒にいることができなくなってしまいます。そこでまずオスワリを教えることにしました。彼はとても頭がよくてすぐに覚えることができたのです。服従訓練も始めました。私たちはゲームをすることが好きで、彼は持ってこいが大好きでした」

 

 

そのときでさえピーナッツは薄暗い裏庭の片隅に置かれていましたが、ピーナッツの変化に希望を持てたそうです。

 

長時間の犬の係留を禁止する法律

ピーナッツを救う活動を後押しする法律がペンシルベニアで施行されることになりました。

 

新しい法律では犬を長時間にわたりつなぎっぱなしにしておくことを禁じたのです。

 

このことを知ったピーナッツの飼い主は、ついにピーナッツの所有権を放棄し、HOPEに任せることに同意したのです。

 

 

このような飼い主は、どんなに周りから非難されようとも決して飼育方法を改めようとはしません。
きちんと世話もせず砂粒ほどの愛情さえ持っていないのに絶対に手放そうとしないうえに、その犬が死ねばまたほかの犬を連れてきて同じことを繰り返します。

 

記事には詳細は書かれていませんが、ピーナッツの飼い主は、どんなにルゼラインさんがピーナッツのもとに通ってきても、この法律が施行されなければ所有権を放棄しなかったでしょう。

 

つないでおくこと以上のことをする気がないのに、所有権を主張するという始末のおえない飼い主だった可能性が高いです。

 

しかしピーナッツは自由になり、この法律が施行されたことにより、この飼い主は同じことを繰り返せなくなりました。

 

ついに鎖から自由に

ついに、鎖から自由になったピーナッツ。
自由になったピーナッツはまず生まれて初めてシャンプーをしてもらいました。

 

 

その後、ピーナッツの犬生で経験したことのない最高の時間を味わうことに!

 

フェンスで囲まれた庭で、鎖で行動を制限されることなく自由に過ごすこという経験をしたのです。

 

「私は涙が出ました。本当に感動的でした。ピーナッツはこれまで一度も走ったことがありません。元の飼い主は3年間一度も走らせたことはないと言っていました。そして彼が走る姿など想像したこともなかったでしょう。私が彼を自由にしたとき、本当にうれしそうでした」

 

 

 

ピーナッツの表情が、彼の心をすべて表しています。

 

3年間は犬にとってはとてつもなく長い時間です。
人間でいえば12年にも相当する時間、誰からも顧みられることもなく、短い鎖が届く範囲が彼の世界のすべてでした。

 

その鎖から解放されたピーナッツの笑顔は最高に輝いています。

 

 

そして、ピーナッツの世界を一変させたルゼラインさんの頑張りには敬服します。

 

このような飼い主は、良識を重んじず、他者に対する気づかいや共感力にかける場合が多く(だからこそペットを劣悪に扱っても平気なのでしょうが)、話をするだけでエネルギーが吸い取られるような疲労感に陥ります。

 

きっと、ルゼラインさんもそのような徒労感を何度も味わったでしょう。

 

法律が制定されたという幸運もありましたが、何よりもルゼラインさんがあきらめずに、ピーナッツを救いたいという気持ちを持って頑張り続けた結果です。
動物愛護団体の支援はあったでしょうが、遠方であったことを考えるとルゼラインさんは一人で戦い続けたに違いありません。

 

ピーナッツは今、預かりのボランティアをしてくれる家族のもとで家庭犬としての経験を積んでいます。
家庭犬としての経験を積む・・・すなわち人間に愛され、大事にされる経験をするということです。

 

 

ルゼラインさんは

 

「HOPEはペットたちがよりよい生活を送れるように守っています。ピーナッツは昼も、夜であっても鎖につながれることは二度とないでしょう」と話しています。

 

欧米の動物愛護に関心の高い国や地域では、犬を鎖につないで長時間置くことを禁止しています。
この記事にも書かれているように、アメリカでもかつては鎖で1日中犬をつないでおくことは当たり前でした。

 

日本では地域や環境にもよりますが、現在でもそういう状況が残っています。
しかし、時代は変わり価値や動物との関係も変わります。

 

人間社会で暮らす動物たちが、人間によって苦しい思いをすることがないような社会になってほしいですし、していかなければならないと強く思います。

 

出典:the dodo

出典:Facebook(Russelline Steinbuhler)

 

 

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