アメリカ テキサスに甚大な被害をもたらしたハリケーン・ハービー。

被災したのは人間だけではありません。

州兵と動物愛護活動者による大規模な動物救助活動が行われました。

 

 

ハリケーンの被災動物を全米で救援

大型のハリケーン「ハービー」は洪水を引き起こし、町は甚大な被害に見舞われました。

25人が死亡し、3万2000人が被災し避難を余儀なくされています。

 

人間だけではなく、多くの動物たちも被災しました。

そのため動物福祉団体やボランティア団体が動物の避難場所を提供しています。

 

 

また取り残された動物を救助するために、動物福祉国際基金、アメリカヒューマニズム協会、アメリカ動物虐待防止協会などが被災地へ救助隊を派遣しています。

 

 

カトリーナによる悲劇を繰り返さない

2005年ニューオーリンズに甚大な被害をもたらしたハリケーン・カトリーナでは、25万匹もの犬や猫が被災したと言われています。

 

その頃は避難所でペットの同行避難を拒否するところも多かったため、多くのペットの飼い主はペットを家に残して避難することを拒みました。

それを受けてアメリカではカトリーナの被害の後に、避難のガイドラインに被災ペットについても含めるように要求が出されました。

 

その結果、カトリーナのときに比べて多くのペットたちが救助してもらえるようになったのです。

 

 

州兵が動物救助活動

ハリケーン・ハービーはカトリーナの4倍にもあたる動物に被害をもたらしたと言われています。

ハリケーン・ハービーの被災の救援にあたっては、ヒューストンで州兵が救助活動で3500人の人々とともに300匹のペットをすでに救っているとジェームズ・ホワイトハム長官が公表しています。

 

 

また、これからも被災動物が増えることを予想して動物シェルターに保護された被災動物たちは、被災地から別の土地への避難も開始しているとのこと。

 

ヒューストン動物園では近隣の医療施設でさえも避難し、敷地内には水があふれていますが、6000匹の動物を守るため30人の職員が今でも残っています。

 

 

テレビやソーシャルメディアで動物救助活動を多数放映

被災動物達はボートやヘリコプターで救助されており、その様子がソーシャルメディアに投稿されています。

 

ある1匹の犬がドッグフードの袋をくわえて歩く様子がSNSで注目され拡散されました。

 

 

この犬の名はオーティスで、サルバドール・セゴビアさんの孫の飼い犬だったのですがハリケーンの激しい暴風雨に驚き家から脱走してしまったのでした。

 

被災した状況で犬を見つけることに絶望的になっていたセゴビアさんですが、何とオーティスはドッグフードをくわえて帰ってきたのです。

悲惨なニュースが続く中で起きたハッピーエンドです。

この話はずいぶんと話題になりました。

 

 

 

動物の救助は不可欠

アメリカ動物愛護協会会長兼CEOであるウェイン・パーセルさんは動物を救うことも災害対応に不可欠であると話しています。

 

 

 

「ソーシャルメディアやテレビに映しだされる絶望と救助の様子は、わたしたちの生活と動物たちが密接に関わっていることを改めて思い出させてくれます。人々は自分の荷物は置いて来る代わりに、ペットを腕や肩に乗せて一緒に連れてくるのです。」と動物と人間との絆について語っています。

 

「ハリケーン・カトリーナのときとは異なり、人間と動物の絆が理解されるようになり、動物を救う責任があることが広く知られるようになりました」

 

公的機関の救助だけでなく、民間のボランティアなどによっても多くの動物が助け出されています。

 

 

しかし救われ、保護された幸運なペットたちがいる一方で取り残されたり、保護場所が足りなくて居場所のないペットがたくさんいるのも事実です。

多くのペットたちが救われ、飼い主に再会できることを願ってやみません。

 

 

日本との違い

筆者は東日本大震災を経験していますが、そのとき日本ではほとんどの避難所で被災動物の受け入れは拒否されました。

筆者はそのことを聞いたため避難所に行くことはありませんでしたし、日本は今でも法などが整備されていませんから、これからまた被災することがあっても基本的には自宅で過ごすことを考えています。

 

多くの県が同行避難を呼びかけてはいますが、名目上書いているだけにすぎず、実際にペットを連れて行くと拒否されるのが現実です。

 

日本でもごく一部の都市部では、同行避難についてのガイドラインを定めているところがありますが、日本全体を見ると積極的な動きとはいえません。あれだけの震災を経験しながらも、そして、毎年大規模な災害が起こっているのにもかかわらず、いまだ以前と変わらない体制であることは非常に残念です。

 

環境省で同行避難を呼びかけても何の強制力もないため、東日本大震災の後5年後の台風被害で再び避難を余儀なくされる地域がありましたが、やはり同じように避難所はペットの同行避難を拒否したのです。

忘れえない震災からたった5年と言うべきか、もう5年と言うべきか分かりませんが、動物への対応は何も変わっていないことにとても悲しみを感じます。

 

それに対して、アメリカは全州ではないにしても、カトリーナの教訓を生かした動物の救助に関する法整備が進んでいます。

そして実際にハリケーン・ハービーが襲った際にそれを実行し、州兵による救助活動が行われ多くの動物と飼い主が救われました。

 

 

もちろん人命が優先されていますし、動物に対する救助に対して批判的な意見は筆者が見る限りではありません。

テレビなどでも多くの動物の救助が放送されるのは、それだけ人々の関心が高いからであるとも言えるでしょう。

しかし、日本ではペットたちの救助や避難のことなどはほとんど報道されません。

アメリカほど規模のない日本の小さな愛護団体やボランティアが、知られざるところで細々と救助、保護しているのが実情です。

 

日本にも一般財団法人ペット災害対策推進協会(旧  緊急災害時動物救援本部)という規模の大きい団体がありますが、アメリカのように災害時に実際に救援活動を行うわけでもなく、主な業務は寄付金集めであり、しかもその運営がずさんであることが指摘されています。

筆者も当時実際にこの本部に電話をかけてみましたが、「被災地には行きません」と言われました。

被災地に足を運ぶこともなく机上の金勘定だけが仕事で、さらにそれもずさんとなれば日本の動物関係で最大級の寄付金を集める団体としては残念と言わざるをえません。

 

アメリカは西ヨーロッパやカナダに比べると動物愛護への関心は高くても、殺処分は相当の数ですし法規制も緩く、地域間格差が大きいので立ち遅れている印象はあります。

しかし、それでも日本よりははるかに積極的に行動していると言えるでしょう。

 

 

日本は世界の中でも地震が多発し災害の多い国です。

災害時におけるペットの避難に関して、一刻も早い積極的な整備が望まれます。

そして、そのためには私たち一人ひとりが声をあげていくことも大事なのではないでしょうか。

 

 

出典

Express.co.uk

the dodo

FOX News

abc NEWS

abc NEWS

Twin Cities

AsiaOne

Express.co.uk

Willamette Week

(Visited 1,374 times, 1 visits today)

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

関連記事

注意していてもリードが壊れる・はずれる〜甲斐犬ジュウザのびっくり事件簿

「幸せになるチャンスをあげたい」末期がんの犬の里親になった女性

いざという時のために今備えておこうー犬の災害対策グッズ5選

あわてないように知っておこうー犬の怪我の応急手当

「タラレバ」にならない老犬介護/犬の老いじたく①ー犬と好奇心を連れてゆく