今年は雨ばかりの夏でしたね。夏休みの計画も変更した方も多いのではないでしょうか?

東京では突然涼しくなったような気がします。寝る時エアコン入れようか悩む毎日です。散歩もしやすくなってくる季節なのにやっぱり雨が多いです。晴れた日にはお家の子と楽しい時間が過ごせるといいですね。

ここ2回のコラムは猫ちゃんのお話を差し込みましたので、【うちの子が痩せたり、太ったりするのはどうして?】の最後項目、環境要因についてお話しようと思います。

 

 

栄養状態に影響する要因は大きく分けると以下の3要因になります。

 

  1. 動物側の要因:年齢、身体状況、疾患の有無等
  2. 食餌の要因:栄養バランス等の食べ物自体の問題
  3. 環境要因:食餌の頻度、住んでいる環境、飼育状態(多頭飼育、運動量)等

 

A.食餌の与え方(給餌方法)

1日何回食餌させてますか?

“この子は1日1回しか与えていません。”“

“1日2回です。”

“置きっ放しです、少なくなったら足しています。”

 

普段診察していて多い回答best3です。最初の2回答は犬の飼い主さん、あとの1つは猫の飼い主さんがよく言われる回答です。1日何回食餌させたらいいですかと尋ねられることも多いですが、食餌の回数は健康な犬猫であれば1日1〜2回で問題ありません。1日の必要量は決まっているので、2回の場合は1日量の半分を与えることになります。もちろん、ここで多めに与えると太りやすくなります。

 

ドライフードの置きっ放しはいいの?

食べたい時に食べられるようにしておく給餌方法は、猫ではよく見られる方法ですが注意点もあります。多頭飼いしていると誰がどれだけ食べているかわからない、必要以上に食べて肥満になる、逆に立場の弱い子が必要量食べられず痩せてしまうといったような問題が挙げられます。また飼育環境によってはフードが傷みやすいなどの問題があります。

 

1日量を回数分けて与えることはどうなの?メリットあるの?

食べるということは熱産生が多くなる(エネルギーを使う)ことなので、エネルギー消費の観点からは食べるたびに熱産生が起こりますから、肥満予防のメリットがあります。また1回にたくさん食べられない子、消化や吸収に障害のある子、ストレス状態、暑い時期に食欲落ちてきたときなどもメリットがあります。6ヶ月齢以下の犬猫、ワーキングドック、スポーツドック、妊娠期の動物など栄養要求量が多い場合に回数を増やすことで、増加した1日要求量を満たすようにすることもあります。

デメリットは要求量を計算し1日あたりの給餌量を決めておかないと、やはり食べ過ぎになって肥満に繋がります。

給餌方法は飼い主さんの生活パターンでも変わってきますので、その環境下で適切な状況を探っていく必要があります。

 

 

B.住んでいる環境

狭いスペースに暮らしている動物は、当然エネルギー消費量は少なくなります。また、環境の変化によるストレスも採食行動に変化をもたらします。よく見かけるのは引越後の食欲不振、ペットホテルや入院中に全くご飯食べない、人の気配がなくなったらこっそり食べる、預けている最中や帰宅後に下痢するなどです。

 

 

C.多頭飼育

多頭飼育の場合もエネルギー消費量に変化をもたらします。単独で飼育している場合よりも同居動物と遊んだりするため、エネルギー要求量が単独飼育の1.5倍になっていることもあります。

一方、多頭飼育を初めた時にありがち(しばらく続くこともある)なことですが、先住動物が多食になったり(犬に多い)、食欲不振になったり(猫に多い)することで肥満や体重減少などの変化が見られることがあります。

 

 

D.運動量(うちの子は活動的?非活動的?)

お家のワンちゃんは1日どのぐらい運動しているでしょうか?

ほとんどの飼い主さんはうちの子は活動的と思っていて、ボディコンディションスコア(BCS)4のワンちゃんで“うちの子は散歩が好きで運動しているのに痩せません。”というお話をされる方が多いように感じます。

また診察時にお伺いする散歩時間は小型犬30分1日2回程度、中・大型犬で1時間1日2回程度が一般的です。

以前お話しした1日あたりのエネルギー要求量(DER)は食べる時に使うエネルギー、睡眠の時に消費するエネルギー、1日3時間までの遊びと運動などで消費するエネルギーなどが含まれています。

小型犬の方が大型犬に比べて動き回っていること多いので感覚として理解しやすいと思いますが、大型犬の活動量はデータ的にも小型犬の半分程度の活動とされています。

ですから一匹で飼育していて、散歩はしないとするとずいぶん非活動的になってしまいます。

 

 

では運動で消費するエネルギーはどのぐらいなのでしょうか?

犬が平坦な道を1km走るの(速度は関係ない)に消費するエネルギーは、体重5kgで9kcal、10kgで14kcal、20kgで23kcal、30kgで30kcalとされており、大型犬になるほど効率が良いので消費エネルギーが少なくなります。

1km歩くのに人は15分かかると言われていますので(不動産情報の‘駅まで何分’はもっと速いですが)、30分の散歩で2km、体重5kgで18kcal消費されることになります。

私の病院にいる犬5kgが大好きなボーロは1個1kcalですので極端にいうと散歩後に18個(10gぐらい)食べたら、消費分取り戻したことになります。

ですから家で寝てばかりいておやつを与えている場合、散歩のエネルギー消費量は飼い主さんが思っているより少ないため肥満に繋がっていると考えられます。

逆にワーキングドック、スポーツドックの場合、負荷をかけた状態(例、犬ぞり、坂道)で仕事や運動をして消費エネルギーは多くなるので、1日栄養要求量が増えることになります。

 

 

ここしばらくのコラムは栄養状態について数回に分けてお話ししてきました。

痩せている/太っている問題は、多因子に影響をうけることを理解していただいて、お家の子に合わせた管理を考えていくようにしていただけたらと思います。

 

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