3年前のある日、ノースカロライナの獣医に安楽死させてくれと子猫が持ち込まれました。

子猫はたった生後4週間ほどで親兄弟から引き離され、愛情を求めて鳴いていました。

 

 

 

障害を理由に安楽死させられそうに

子猫が安楽死をさせられることになった理由、それは子猫に障害があったから。

橈骨(肘から手首までの骨)が先天的に短くなってしまっていて、前足の形状が正常ではありません。

そのため、前足に体重を乗せることが難しいのです。

 

 

安楽死という選択を元飼い主にされてしまった子猫の命は風前の灯火でした。

しかし、そこに救いの手が現れます。

病院を訪れた女性シェリルさんが病院でこの子猫を偶然見かけて、サンフランシスコの動物愛護団体 saving Grace rescue に連絡し、子猫を保護してほしいと依頼したことで子猫の命は救われました。

 

アメリカは地域間格差がかなりあるので、すべの施設で障害がある子の受け入れが可能であるわけではありませんが、受け入れてくれる愛護団体が存在することは素晴らしいことだと思います。

 

障害がある動物は外の世界で生きていくことは難しいかもしれません。

しかし人の手助けがあれば暮らしていくことはそんなに難しいことではありませんし、猫は人間の社会で暮らす動物で野生動物ではありません。

たとえ動物であっても五体満足でなければ生きていてはいけないなどという社会ではあってほしくないと思います。

 

 

元気に飛び跳ねるカンガ・ルー

子猫は病院から無事に保護施設に引き取られました。

施設に到着すると子猫はすぐに2本の後ろ足で飛び跳ね、ちゃんと猫用のトイレを使用できたそうです。

子猫は前足に障害があること以外に何も問題はなかったのです。

 

子猫はまるでカンガルーのように飛び跳ねることから「カンガ・ルー」と名付けられました。

 

そして幸運なことにカンガ・ルーは長い時間待つことなく、すぐに里親希望者とめぐり合うことができたのです。

 

ジョイスさんと家族とはカンガ・ルーの話を知るとすぐに「里親になりたいと」申し出ました。

 

「私たちはカンガ・ルーのビデオを見て恋に落ちました。カンガ・ルーは小さい子猫だったので不妊手術ができる体重になるまで数週間かかりました」

 

愛護団体によっては不幸な猫を増やさないために、不妊処置が終わってから譲渡する団体もあります。

また通常は、不妊手術は生後6カ月ほど経過してからになりますが、子猫のうちに施す場合もあるようです。

 

 

優しい先住猫がいるずっとのお家へ

2014年6月28日にカンガは里親の家にやってきました。

先住の猫と犬がいたのですが、すぐに仲良くなることができました。

カンガはうれしくてぴょこぴょこ飛び跳ねたりジャンプしたりと大喜びだったそうです。

 

先住猫のスキトルズはカンガのお姉さんのように面倒を見てくれました。

ずっと愛情を求めていたカンガ。

永遠のおうちができて、かわいがってくれるお姉さん猫もいて、これでもう寂しくありません。

 

カンガはすくすくと成長し美しい虎猫になりました。

そして1歳になったカンガはある才能があることが分かったのです。

カンガはとても面倒見が良く子猫たちにやさしく接することができる猫だったのです。

 

 

ヘクターとの出会い

2015年5月にジョイスさんは新しい子猫を迎え入れます。

名前はヘクター。

しっぽがありません。

しっぽにウジ虫がわいた状態で保護され、切断するしかなかったのです。

 

 

そんなヘクターをすぐに受け入れ、かわいがったカンガ・ルー。

とても愛情のこもった表情ですね。

 

 

2匹はとても仲が良く、ヘクターはよくカンガの真似をしたそうです。

カンガは前足で体を支えることができないので食事は台を使ってするのですが、ヘクターも同じようにしてご飯を食べます。

 

 

ヘクターとの出会い以来、カンガは保護された子猫たちのママになることに。

「カンガ・ルーは完全にママモードでした。彼女は子猫たちが食事をしている間、音を聞いたり周囲に注意したりしているのです」

 

 

子猫と一緒に、すでに大きくなったヘクターも一緒にご飯を食べているようですが、カンガにとってはいつまでも守ってあげなければいけない子猫なのかもしれませんね。

 

 

同じ障害を持つ子猫の保母さんに

そしてこの8月にカンガ・ルーは新たな子猫のお世話を始めました。

カンガと同じく腕に障害を持った子猫アレハラニです。

 

 

アレハラニは母猫と兄弟と一緒に保護されました。

障害のあるアレハラニは大きくなるまでカンガの家に預けられたのです。

 

アレハラニにとっては最適なおうちでしょう。

カンガはお手本になり、アレハラニはたくさんのことをカンガから学んでいます。

 

 

障害を持ち殺処分寸前だったカンガですが、おうちの中で生きるのに何も不自由はありませんし、子猫たちの面倒を見るという大きな役割も果たしています。

 

カンガは自分を障害がある体だとは思っていないでしょうし、不幸せだとも思っていないでしょう。

実際に幸せに暮らしています。

筆者も何度か障害のある子と一緒に暮らした経験がありますが、毎日を精一杯幸せに生きる姿を見ると清々しく心が洗われる気持ちになります。

 

カンガ・ルーの障害は安楽死させるほどのものとは筆者には到底思えません。

救われて、元気に暮らす様子にはとても癒されます。

 

 

出典

Kangaroo Kitty Meets Rescue Ginger Who Lost a Tail, and Takes to Him Like Family – Love Meow

Facebook  Kanga Roo

 

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