犬を飼えば大半の方が「しつけをしなければ!」と考えるでしょうが、動物の愛護及び管理に関する法律の第一章、第二条に「人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない」とあるように、しつけは法律でも言及されています。

 

つまり、飼い主は犬が人間社会に馴染めるようにしなければならないのです。

 

犬のしつけというと「オスワリ」や「フセ」、「マテ」など人の指示をよくきくことだと思い浮かべる方が多いですが、これらの指示を聞けたとしても人間社会でうまく振る舞えるわけではありません。もちろん上記のような指示をきくことは人と生活する上でとても役に立つ、大変重要な指示ですが、指示以外にも犬が身に着けなければならないしつけの項目はたくさんあります。

 

では、どのような項目を身に着けさせ、しつけを通して飼い主は犬とどう向き合っていけばよいのでしょうか?

 

 

人と犬の関係は人間の母子関係のようなもの

しつけの中には例えば、トリミングや病院の診察など、体を触られることを受け入れたり、お散歩で人や犬、物を必要以上に怖がったり吠えたりしないなどが含まれるでしょう。

 

つまり、飼い主は犬を管理するだけではなく、人間社会で適切に振る舞えるよう、人が犬を教育する必要があるのです。

 

ただし、飼育環境が犬の習性に適していなければ、人社会では共存しにくく問題として認識され人間に受け入れられないこともでてきます。

 

ですから、まず飼い主さんは5フリーダムに基づいた生活環境を犬に提供する事が最低条件になります。
そのうえで「犬が人社会で受け入れられるような形で本能的な欲求を表現する方法を教育する」いわゆる、しつけをしなければならないのです。

 

こうしたことから、飼い主と犬の関係はよく人の母子関係になぞらえて語られます。

 

 

 

母子関係との決定的な違い

もちろん、犬はロボットではありませんので、何か教え込めば全て苦手なことが好きになる、うまくいくということはありません。
これは皆さんにもどんなに努力しても苦手な物事があるのと同じです。

 

さらに、一度身につけたことを忘れないかといえばそうではありませんし、嫌な経験によって好きなものが苦手になることもあります。ですから、その都度、手入れをする必要があるのです。

 

そしてなにより、母子関係とは決定的に違う点が一つあります。
それは犬が人間から「自立しない」ことです。人間の子どもは成長するに従い、社会の中に適応し、親元を離れ自立して生活していく術を身につけていきます。

 

しかしながら、どんなにしつけが行き届いた犬でも、自分でドッグフードを買いに行き、ゴハンのたびに用意することはしないし、散歩に行ったり、オシッコやウンチを自分で片付けるわけではありません。当たり前のことですが、「生涯手がかかる」のです。

 

言葉にすると「何を当たり前なことを」と思われるかもしれませんが、「犬を飼うのにこんなに手がかかると思わなかった」とか「大きくなればもっと楽になるかと思った」と聞くことがあるのもまた事実です。
体調が悪かろうが、怪我をしようが毎日最低限のお世話が必要です。

 

ですから、生涯に渡るやり取りを互いに楽しめる関係を築くことがしつけに一番必要なことかもしれません。

 

 

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