病気の老犬が保護される

2016年10月、ニューヨーク ブルックリンの通りをさまよっていた13歳のチャウ・シェパード・ミックスのカイラはブルックリン動物ケアセンターに保護されました。

 

犬は事情を話せないのでなぜそんなところにいたのかは分かりませんが、おそらく捨てられたのに間違いなはいでしょう。

 

カイラは13歳の高齢犬。
しかも、深刻な病気にかかっていました。

 
 

ブルックリン動物ケアセンターは殺処分ありの保健所です。
動物愛護団体アニマルヘブンはすぐにケアセンターからカイラを引き出しました。
殺処分ありの保健所では病気の動物はすぐに殺処分されるからです。

 

アニマルヘブンの獣医師は検査の結果、カイラは口腔がんと腎臓病を患っていることが分かりました。
獣医師の見立てでは、その時点でカイラの余命は3~6カ月。

 

とても短い期間のように思いますが、カイラにとっては1年~2年間に相当する時間です。

 

そこで、アニマルヘブンでは短くても残りの時間を楽しく過ごすための、里親を探すためペットのホスピス制度を行っているFoster Dogs Inc.に協力を求めました。

 

ホスピス・ボランティアが里親に

ジリアン・コリグニアロさんはFoster Dogs Inc.に里親登録しており、カイラのケアができないかと連絡を受けました。

 

ジリアンさんは、愛犬のクロエ・アンを15歳で亡くしたばかりでしたが、シェルターでカイラを見たときに彼女を助けたいと思ったそうです。

 

「私はアニマルヘブンのすぐ近くに偶然いました。そこで私と夫はシェルターに行ってカイラに会いました。そして、”私たちの犬です”と言ったのです」とカイラに初めて会ったときのことを話すジリアンさん。

 

 

2016年11月にカイラはジリアンさんの家族になることができました。
カイラにはお父さんとお母さん、5人の人間の姉妹、6匹の犬の兄妹、1匹の猫の兄妹ができたのです。

 

それに元保護犬のお友達もできました。

 

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ジリアンさんは初めてカイラが家に来たときの様子をこう語っています。

 

「カイラはずっと外にひとりぼっちでつながれていたのではないかと思います。カイラは室内で過ごす快適さを知らなかったようです。ベッドを見たこともないようでした。彼女は自分だけの居場所が好きですし、雨に濡れるのも平気です。」

 

 

バケットリスト(やりたいことリスト)を作る

カイラが環境に慣れ、治療を始めることができたらバケットリストを作ることにしたジリアンさん。
まず第一に遊園地に行って観覧車に乗ることにしました。

 

 

コニーアイランドにあるワンダー・ウィール・パークは1日動物デイを開催しているのです。
素晴らしい遊園地ですね!

 

日本も動物と行ける場所は増えてきたかもしれませんが、海外に比べるとまだまだ少ないです。

 

 

カイラは観覧車に乗ったときに、少しも怖がることもなく下に見える景色を楽しんだそうです。
観覧車の後はおやつを食べて、海岸へ。

 

 

カイラはビーチで遊ぶのが大好き。
兄弟たちと走りまわります。

 

 

バケットリストに載っている消防署への訪問も果たしました。
Tシャツを着てヘルメットをかぶって記念撮影。

 

 

それから、カイラはクルージングにも出かける予定です。
このニューヨークを周遊するクルージングは先住犬で天国に旅立ったクロエ・アンも一緒に連れて行ったものでした。

 

うちの子記念日1周年を祝い、保護動物のためのチャリティパーティを開催する予定もあります。
獣医の最初の予想を裏切ってカイラは楽しく暮らしています。

 

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カイラは老犬ですが、外で遊ぶことが大好きなのだそうです。
庭で遊んだり、家の周りを散歩したり。

 

20分から30分ほど遊んで家の中に入りたくなると吠えて教えるカイラ。
とてもおりこうさんですね。

 

楽しい生活が寿命を延ばす

余命数カ月と診断されたカイラですが、カイラがまだまだ犬生を楽しんでいることが分かります。

 

シェルターにいては、きちんと面倒は見てもらっても、こんな楽しみを味わうことはできなかったでしょう。

 

実際のところ、カイラの口腔がんは良くなったわけではありません。
しかし、食欲もあり適切なケアとこの動物のためのホスピス・プログラムにより愛情ある里親さんのもとに行くことができたおかげで、良い状態を保っているそうです。

 

 

人間も笑うことで免疫力が増えるという研究結果もありますが、それは動物にも当てはまるのではないでしょうか。

 

毎日、自分が愛されていると実感しながら楽しく暮らすことでカイラのがんの進行を遅らせ、健康状態を保っているのではないでしょうか。

 

「カイラは食いしん坊です。がんは食べることを難しくするかもしれませんが、彼女はあきらめないでしょう。」とジリアンさんは話しています。

 

 

カイラは13歳になるこれまでの犬生で本当の意味の家族を持ったことがないかもしれません。
しかし、カイラにとって今が最高の犬生であることは間違いないでしょう。

 

カイラのインスタグラムには多くのフォロワーがいて、おもちゃなども送ってくれるそうです。

 

 

ジリアンさんは「インスタグラムのフォロワーのおかげで最高の犬生をカイラに送らせることができています」と語っています。

 

また、アニマルヘブンがカイラの医療を手助けしてくれています。

 

「クロエ・アンを看取ったあと、私は何をしたらいいのか分かりませんでした。カイラが来てくれたことでずいぶん心が癒されました。私は老犬の犬生の最後のときに最適な世話を与えられていると思っています」

 

保護犬のホスピス・プログラム

ジリアンさんとカイラはFoster Dog の犬のホスピス・プログラムによって出会いました。

 

アメリカは動物愛護に日本より関心が高いですが殺処分はかなりの数に上り、年間150万匹もの動物が殺処分されているという現実もあります。

 

特に飼い主に遺棄された老犬や病気の犬は、動物愛護団体でもなかなか保護をしてあげることが難しいです。

 

これらの動物が最後のときを穏やかに過ごせるようにするために、ペットとの養子縁組を進めているのがFoster dogsなのです。
そして、ホスピス・ボランティアとして登録する人が近年増えてきているとのこと。

 

カイラの里親になったジリアンさんもその一人です。

 

 

この活動を支援している獣医師のメリッサ・オットスタントさんは、普通の里親になるよりも世話することも気持ちの面でもより厳しい面はありますが、ボランティアはシェルターではなしえないことが保護動物たちにできると話しています。

 

「里親になることは犬を社会の一員とし、幸せを感じさせることができます。高齢の動物や終末期の動物はシェルターではそんなに長く生きることはありません。家族の愛情が生きる力を生むのです。」

 

実際に、ジリアンさんのもとでクロエは当初の余命をはるかに超える時間を楽しく生きることができています。

 

 

筆者も捨てられ車にひかれてしまい自分で排泄できない猫の世話をしていますが、人間の手を借りれば生きられる子も多いです。

 

健康状態に問題がある子は、特別な世話と医療が必要ですが、ジリアンさんをバックアップしているアニマルヘブンやFoster Dogsのような存在の協力があれば、ボランティアとして犬生・猫性の最後を愛情にあふれたものにしてあげることができるかもしれません。

 

今の日本ではなかなかその土壌が整っていませんが、動物愛護に対する関心が高くなってきているのは確かだと思います。
カイラのような犬や猫たちが幸せな時を過ごしてこの世を去ることができるようになることを筆者も希望しますし、その力になれればと思います。

 

@kayla_the_fospice_dog

the dodo

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