
【犬と人と-共に生きる】Vol.2 ペットから得られる効果とは
犬や猫などのペットを飼う理由は人それぞれですが、「楽しいから」、「癒やされたいから」、「情操教育のため」など動物を飼うことで得られる特別な「何か」を期待していることも事実ではないでしょうか。
これは一般的にアニマルセラピーとして知られる動物介在療法(Animal-assisted Therapy)や教育現場に動物を導入する動物介在教育(Animal-assisted Education)も例外ではなく、我々人間が動物たちから恩恵を受けているからに他なりません。
では実際にどんな恩恵が期待できるのでしょうか?
ペット飼育を紐解く三つの要素
その1:通院回数が減少!「生理学的効果」
第一に体の機能に直接影響する生理学的な効果があげられます。
例えば、人と犬が会話や接触を伴ったふれあい後にどのような変化が起こるか調査した研究では、血圧が下がり、幸福感や満足感と関係するオキシトシンやエンドルフィンというホルモンが増えたと報告されています。
長期的な影響を調査した研究ではペットを飼っている人は飼っていない人と比べ、心臓疾患のリスクファクターである血圧や中性脂肪、血漿コレステロール(メタボリックシンドロームの診断基準。すべて肥満や動脈硬化に関係する。)の値が低いことがわかっています。
さらに、高齢者の健康状態と動物飼育に関する調査では、犬を飼っている人は飼っていない人と比べ1年間の通院回数が1.75回少ないことがわかっています。これは日本に換算するとなんと475万回にあたります。またドイツ、オーストラリア、中国で行われた同様の調査ではペット飼育者はそうでない人と比べ医療機関に通う回数が15~20%も少なく、この経済効果を日本に換算すると1兆円もの医療費削減に相当するのです!
その2:QOLが向上「心理的効果」
第二に癒しや安らぎに代表されるような心理的な影響があります。
これは多くの方が動物を飼う前に期待することでもあり、実際に一緒に生活することで皆さんがそういった感情を実感されていることは想像に難くありません。
猫の飼い主を対象とした調査研究では飼っている女性とそうでない女性を比較したところ、猫との交流は孤独感や不安などのネガティブな気持ちを和らげてくれることが明らかとなりました。
また、「ペットがそばにいてくれるから頑張ろう」と何か行動する動機づけになったり、その存在自体が心の支えになることもあります。つまり、生活に楽しみやうるおいをもたらしQOL(Quality of Life:生活の質)を向上させてくれるのです。
その3:ご近所付き合いが円滑に?「社会的効果」
第三の効果である社会的効果はある飼い主さんとワンちゃんの一日を例にとって見てみましょう。
朝、散歩に出かけた時に掃除をしているご近所さんに挨拶をします。近所の公園ではお散歩仲間と会話が弾む日もあるでしょう。家に帰れば、お散歩中にあったワンちゃんとのやり取りを家族に報告したり、犬の可愛らしい仕草や新しくできるようになった指示、ときにはイタズラが会話のきっかけになることもあります。
犬に限らず自身のペットのことを学校や会社で友人たちに話す方も多いのではないでしょうか?もちろん、マナーを守った飼育を心がけなければ周囲との軋轢の原因となることもありますが、動物たちは人と人をつなぐ社会的な「潤滑油」としても役立ってくれるのです。
ペットを飼うだけではダメ
これらの効果は動物が嫌いな人が無理やり飼育しても期待できません。
また、前回ご紹介した犬と人が触れ合った後の愛情ホルモンを測定した研究では約3割のペアしかオキシトシンという幸福感に関係するホルモンが増えていませんでした。
つまり日頃の世話を通して良好な関係を築くことがペットとの生活をより豊かにするためには必要なのです。では「どうやって良好な関係を結ぶか?」については今後ゆっくりと連載の中でふれていきたいと思います。
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