
Vol.3 動物たちが子どもにどんな影響を与えるのか?ー犬と人と-共に生きる
僕がスタッフとして運営しているしつけ方教室スタディ・ドッグ・スクールでは子犬だけが参加する「パピークラス」を開催しています。
パピークラスの参加者で一番多いのが小さいお子さんのいるご家族です。
大抵の場合、犬を飼い初めた理由をお聞きするといわゆる「子供の情操教育」のためという答えが返ってきます。
我々は感覚的に動物が子供の発達に良い影響をあたえることは理解していますが、実際のところどんな影響があるのでしょうか?
日頃のお世話を通して初めて得られることもある
ペットを飼うことはご飯の準備や散歩、排泄物の処理など日頃のお世話が必要です。
動物たちはご飯をあげなければ死んでしまいますから、子供は自分が動物の生死に関わっていることを自覚することで、責任感が養われるとともに、他者に必要とされていると実感することになります。
また、例えば自分より大きな犬が「オスワリ」などの指示を聞いてくれれば、それは大きな自信となり「自尊心」を持つきっかけとなります。
動物の世話は当然ながら自分がやりたいときだけという訳にはいきません。時として自分のやりたいことよりも、動物の世話を優先しなければならないこともありますから、「我慢」する能力を養うことができます。
また、動物を飼うことは自分が「できない」ことに気づくことにもつながります。例えば、幼児が大型犬を散歩することが難しいでしょう。つまり自分の能力を自覚する事もできるわけです。
当たり前のことですが動物は言葉を喋りません。ですから、子供は動物が何を考えているか何をしてほしいかなど、その仕草や表情から読み取ろうと努めたり、相手の気持ちになって考えてみるなどします。
前者は非言語コミュニケーション、後者は共感性とよばれ、どちらも他者の気持ちを理解する上で非常に大切な能力です。
事実、ペット飼っている子供は飼っていない子と比べ感情を読みとる能力が高く、共感性のスコアが高いことがわかっています。
また、精神的な能力以外にも動物から得られることがあります。ペットとアレルギーについて調査した研究(*)では妊娠中に2頭以上の動物を飼育している場合、生まれてきた子供は喘息やアトピー性皮膚炎が発症する確率が低いことが明らかになっています 。 (*)J Allergy Clin Immunol. 2011 Oct;128(4):880-885.e4. doi:
10.1016/j.jaci.2011.06.039. Epub 2011 Aug 5.
Effect of prenatal indoor pet exposure on the trajectory of total IgE levels
in early childhood.
家族で協力し合うことが必要
もうお分かりでしょうが、非言語コミュニケーションや共感性などは一日世話をしたからといってすぐに身につくものではありません。
子供達は日々の世話を通して失敗や成功を繰り返し、試行錯誤しながら能力を身に着けていくのです。
また、たとえ子供が動物を飼いたいと言ったことが飼育きっかけだったとしても、小学生ぐらいの子供だけでできることには限界があります。
ですから、たとえ子供が面倒を見ることを条件に飼育し始めたとしても時には親がサポートしたり、頑張って世話をした子供を評価してあげるなど、飼育を子供に丸投げせず、家族全員で協力して行くことが必要です。
うちの子がイチバン!【犬種別】飼ってよかったと思うワケ
現在の愛犬と運命の出会いを果たした飼い主さん。一緒に暮らしてみたからこそわかる魅力をたっぷり教えてもらいました!
大好評連載中!日本犬の愛で方
日本犬と暮らす方々に、その愛で方を聞く人気シリーズ。読めばあなたも日本犬のあふれる魅力に気付くはず!