僕がスタッフとして運営している犬のしつけ方教室スタディ・ドッグ・スクールでは20~30代よりも50~60代の方のほうが多く通われています。その理由は様々ですが、子どもに手がかからなくなった、仕事を引退したなど比較的自由な時間が増えることで「ペットでも飼ってみようか」と飼育を考えるのも一因です。
また最近ではペット飼育により健康に良い効果を与えることが明らかとなっているので積極的に飼育を促す傾向にあります。では、動物を飼うことでどんな影響があり、どんなことに注意しなければならないのでしょうか?

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心も体も健康に

例えば仕事を引退すると毎日が似たようなことの繰り返しとなり、どうしても日常の刺激が少なくなります。当然のことですが「vol3.動物たちが子どもにどんな影響を与えるのか?」でもお伝えしたように、ペットを飼うことはご飯の準備や散歩、排泄物の処理など日頃のお世話が必要です。
特に男性は仕事を引退すると社会での一つの役割を終えたと考えてしまいがちですが、まだまだ他者(ペット)に必要とされている、つまり「社会の一員」であると実感することになります。
また、世話を通して地域コミュニティとの関わりが増えます。ペットフードを買いにショップに行けばどんなものがいいか店員さんと会話になったり、お散歩で犬連れの人に会えば散歩仲間になるかもしれません。ただ家にいるだけでは得られない様々な刺激により、QOL(Quality of Life:生活の質)を向上させてくれるのです。
一人暮らしとなればこの影響は計り知れないものとなるでしょう。散歩に限らず、例えば多少足腰が痛かったとしても「この子のために頑張ろう!」と活力の源にもなることもあります。

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「散歩」といえば犬と30分間歩くことで、高齢者のリラックスにかかわる副交感神経が一人で散歩した場合と比べて明らかに活性し、健康に良い影響を与えることがわかっています(Med J Aust. 2006 Jan 16;184(2):60-3. Effect of dog-walking on autonomic nervous activity in senior citizens.)。
余談ですが、僕の14歳になる愛犬を時々近くにすむ70歳位手前の両親に預けることがあります。若い頃に比べれば体調が万全でない老犬と高齢者が、互いに気を配りながら歩く姿は周囲の人の心をなごませてくれます。その他にも、「vol2.ペットから得られる効果とは」(でご紹介したように高齢者の健康状態に関する調査では、犬を飼っている人は飼っていない人と比べ1年間の通院回数が1.75回少ないことが明らかとなっており、心理的なメリットだけでなく生理学的なメリットも見られます。

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飼う前にじっくり考えてほしいこと

医学の進歩とともに犬猫の平均寿命は伸びており、犬で14.85歳、猫は15.75歳(一般社団法人ペットフード協会調べ)と一昔前と比べ格段に伸びています。寿命が延びればそれだけ、飼育にかかる費用も増加します。経済的なものだけでなく、自身の健康についても考える必要があります。
全国の自治体で高齢者による犬猫の飼育放棄とみられる「飼育者が高齢・病気・入院(入所)・死亡」の割合は増えており、東京都では14年度に高齢者と見られる飼育放棄がなんと68%に達したそうです(朝日新聞調べ)。ですから、何らかの理由で自分が動物の世話をできなくなった時に、家族や友人のサポートを得るといった対応を飼育前から、そして常日頃考えておいてほしいのです(もちろん、これは若い人も考えてくだい)。
そのためには小さい頃から飼い主以外の人に慣らしておく、誰にさわられても大丈夫なようにする、動物病院やホテルなどに預けた場合にストレスを感じないようするといった、いわゆる「しつけ」をしっかりとしておく事が必要です。しつけの中には時期を逃すと身につける事が困難な項目もあります。つまり、10年、15年先を見越した飼育を普段からしてほしいのです。それらがクリアできれば動物たちは我々に計り知れない恩恵を与えてくれ、互いに幸福に暮らしていけるでしょう!

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