「ドッグトレーナーをしています」とお話すると、「うちの子、しつけがなっていなくて」とか「これからとても重要な職業ですね」と言った返答を受けます。
みなさん「犬のしつけ」が必要な事だとある程度認識していただいていますが、ではなぜしつけが必要なのか、ほんの一側面ですが今回は日本の現状から考えてみたいと思います。

しつけ1-3 | Fanimal(ファニマル)

ペットに関する日本の現状

少し前のデータになりますが、平成22年に内閣府が動物愛護に関する世論調査を実施したことがあります。その中の質問の一つである「ペット飼育の好き嫌い」の項目を見ると、実に25%(「嫌いなほう」21.8%+「大嫌い」3.3%)、つまり4人に1人がペット飼育に関し好意的ではないことがわかります。
また、「ペット飼育の有無」の項目では65.7%の人が飼っていないと回答しています。ですから、ペットたちが人間社会で暮らしていく以上、飼い主は大前提として動物を飼っていない人や嫌いな人に配慮する必要があるのです。

次に動物に関する苦情について見てみると、全国で年間約30万件にのぼり、1万件を超える都道府県も珍しくありません。そのうちの一つである東京都では平成24年度に10294件の苦情が寄せられ(http://www.metro.tokyo.jp/INET/BOSHU/2013/11/DATA/22nbt101.pdf)、うち4割が犬に関する苦情とのことですから、約4000件は犬に関するものと考えられます。

主な苦情である、ふん尿・悪臭に関することは2925件、鳴き声に関するものは868件でこの内4割が犬のものと考えると上記問題の約1500件が飼い主のマナーやしつけに関する苦情と考えられます。行政に苦情を入れるということはよっぽどのことですので、これは氷山の一角と考えてまず間違いないでしょう。このように全てが好意的には受け入れられているとは言い難いのが現状です。

そもそもしつけとは?

排泄や鳴き声に関する問題は、マーキングやいわゆる無駄吠え(動物の行動には必ず理由があるので筆者は意味のない「無駄な吠え」はないと思っていますが…)など「しつけ」をしなければ本能のまま、好き勝手にしてしまうのが犬という動物です。
だからといって人間社会で暮らしていく以上、何でもかんでも本能だからと許すことはできません。4人に1人の動物嫌いの人に配慮する以前に、いくら犬好きの方でも自分の家の玄関にオシッコをされればいい気はしないでしょう。

しつけとは社会生活に適応するために、規律や礼儀作法など、慣習に合った立ち振る舞いを身につけさせることをいいます。
特に、すでに家畜として人間に生活の大半を依存している犬は、飼い主が責任を持って教育し、社会で受け入れられる立ち振舞いを教えなければならないのです(それが犬という動物を家畜化した人類の責務であり、人類との共生を選んだ犬の宿命でもあります)。

また、慣習は地域や時代が変われば変化します。つまり日本の犬は現代の日本社会にマッチした行動を取らなければならないのです。
だからといって、何でもかんでも本能を押さえつけ、制御すればいいというわけではありません。例えば、犬は本能的に犬や人と遊ぶ「遊戯行動」や周囲の状況を探索する「探索行動」をする生き物です。ですから、ろくに散歩や運動もしない欲求不満状態にも関わらず、一切の吠えを許さないというのはただの虐待です。
つまり、バランスをとった「しつけ」のためには犬の本能や習性を理解しなければならないのです。

次回は犬の本能や習性から「しつけ」について考えてみたいと思います。

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