体重計の「タニタ」で長らく「人の健康」に取り組んできた元会長であり、現在は「Fanimal」会長として「ペットと人の健康」をテーマに掲げるの谷田大輔が、20年以上動物を診察し、その健康に向き合っている獣医師の阪口貴彦氏に、ペットの医療最新事情からペット業界が抱える問題点まであらゆる角度からじっくり話を伺った。

ペアン動物病院 | 阪口貴彦院長インタビュー | Fanimal(ファニマル)

高齢化が進むペットにも、介護が必要になる時代

-動物も加齢していきますが、どんなところに注意したら良いでしょう?

まずは、ペットが今どのくらいの年齢なのかを認識していただく必要があります。飼い主さんの中ではいつまでも子どものような存在ですが、犬や猫は1歳で成人してしまうので、あっという間に人の成長を追い抜いてしまいます。具体的には6〜7歳で一度変化があり、11〜12歳でもう一度変化します。6〜7歳の時の変化は、人でいうと40歳前後の壮年といわれる時期から老年になるまでを指すので、シニアからシルバーになるというイメージですね。

-自分の年齢を追い越すというのは聞いたことがありませんでしたが、確かにそうですよね。

ごはんを喜んで食べに来なくなったら、老化による関節炎が原因でそこまで行けなかったからだったとか、痛いから散歩のスピードが遅くなったということもあります。小さな変化が異変を教えてくれるので、飼い主さんは病院に行ったら、いつもと違うところを伝えるようにしてください。他にも、犬や猫も毎日表情が変わるので、顔がどんな風に違うのか、まばたきや耳の動き方は違わないかなどもポイントになります。
また、ペットの全身をよく触っていただきたいです。私たちは肥満度合いを測る際に、触診であばら骨や骨の突起を診て判断していますが、触ることで状態がよくわかるんです。

-ペットの場合、壮年と老年でも飼い方を変える必要があるのでしょうか?

主にフードを変えなくてはなりません。成犬の場合はエネルギーを多く摂っても消費できますが、年をとった時に同じエネルギー量が妥当かということを判断しないといけません。エネルギー量を減らした方が調子が良いことがありますし、高齢の場合は痩せ細ってしまうこともありますから、そういう時は体重を維持するために増やすことも必要です。たんぱく質や炭水化物の量を調整するなど、食事内容を検討する必要もあります。ライフステージに合わせて食事の見直しが求められますね。

-いずれはペットの介護も必要になるのかもしれませんね。

そうですね。立てなくなったけれどごはんは食べられるなど、人と同じ介護の問題が出てくるのではないでしょうか。飼い主さんが年をとってペットの面倒を見にくくなると、そこにも問題が起きそうですね。
また、症状が病気によるものなのか老化によるものなのかという点も見極めないといけません。病気の場合はそれに対する治療が考えられますが、老化の場合は飼い主さんがどこまで手をかけてあげられるかという問題になりますから、世話が一層大変になってしまうこともあるでしょう。
ペアン動物病院 | 阪口貴彦院長インタビュー | Fanimal(ファニマル)

ペットとともに年齢を重ねる中で学ぶ「命の大切さ」

ー健康状態を知るために「見る」「触る」ということが大事だと教えていただきましたが、動物に触れることで人にも良い影響がありそうですよね。

そうですね。お子さんの要望でペットを飼い始めても世話をするのは結局お母さんということになりがちなのですが、ペットの調子が悪くなった時は、お子さんが自分で病院に連れてくることが多いんです。おそらく「なんか変だから病院に行ってくる」といって家を出てくるのだと思いますが、ペットを通して他者の面倒をみることが自然と身についていくのだと感じます。

あとは、休日だとご家族で来られる方も多いですね。注射を打つところを「ちゃんと見なさい」というお父さんもいらっしゃって、ペットが治療を受ける姿を見せることで命の勉強にもつながっているんだな、と。当然ながら人もペットも年を重ねていきますから、互いの健康状態やライフステージを考えることで良い関係を築いていっていただきたいですね。

ペットと共に暮らすことで、相手の健康を通して自分の健康を見つめ直す機会が持てるようになる。生命の大切さを学ぶことだってできる。

お互いをより知ることが、長きに渡るパートナーとして一緒に暮らしていくためには必要ですね。

【阪口貴彦】獣医師・ペアン動物病院 院長

1993年帯広畜産大学卒業後、獣医師免許取得
町のかかりつけ病院、大学病院、専門性の高い病院など
異なるタイプの病院で研鑽を積み、2013年ペアン動物病院
開院。自身も犬1頭、猫2頭、ハムスター2匹に’’笑いと気づき’’をもらいながら、
日々診療にあたっている。
連載コラム:「この子の病気は私が見つける!」では自宅で簡単に出来る愛犬・愛猫の健康サポート方法を図入りで細かく解説。愛犬・愛猫の健康管理に関心の高い飼い主から圧倒的な支持を受けている。

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