
【この子の病気は私がみつける!】Vol.9 “触って見よう!”後編
“触って見よう!”後編
前回は身体の表面のチェックについてお話ししました。今回はさらに一歩進んで、皮膚下(皮下組織)に存在するリンパ節と皮下脂肪の厚みにスポットを当ててお話しします。慣れてくれば簡単にチェック出来ますが、最初は分かりにくいのでゆっくり丁寧に触ってみましょう。
3. リンパ節の大きさチェック
リンパ節は細菌やウイルス感染が全身に広がらないように食い止めるダムのような働きがあります。ですから、感染症や慢性皮膚疾患や口腔内疾患(歯周病含む)、腫瘍などで身体が何かと戦ったり、刺激を受けたりすると腫れて大きくなります。
正常時は軟らかく卵円形ですが腫れると固くなり大きさも何倍にもなります。からだの内部にも体表にも多数存在しますが、特に触りやすいのは体表にあるリンパ節です。代表的な場所は、下顎、浅頚、腋窩、鼠径、膝窩の5カ所のリンパ節です。
リンパ節はリンパ液のダムですから、通常は流れの上流に問題があります。(口腔内疾患ならば下顎リンパ節、後肢の慢性皮膚病なら膝窩リンパ節が腫れます。)しかし、腫瘍疾患ではすべてのリンパ節が腫れている場合もありますので、すべて腫れている場合には、動物病院で相談して下さい。
4. BCS(ボディコンディションスコア)による栄養状態の確認
栄養状態の判定をするときに使用する指標がBCSです。肥満を認識するときによく使用されますが、痩せ過ぎの時にも使用されます。5段階や10段階で評価することがあります。BCSについては次回以降のコラムで詳しくお話しますので、今回は触って判断する部位についてお話しします。
BCSは眼で見た変化と触り心地で主観的に判断します。触る部分は背骨から骨盤の(棘突起、腸骨翼)突起と肋骨です。この2カ所が一番触りやすく、判断しやすいため用いられます。ポイントは皮膚から骨までの間の皮下脂肪の厚さです(イラスト参照)。
この厚みを主観的に判断して視覚情報(お腹でている、くびれがないなど)と合わせて痩せ過ぎ1/5、標準3/5、過肥5/5として記録します。痩せ過ぎならばどうして痩せているのか、肥満なら摂取量はどうか等を検討していく手がかりとなりますし、減量が成功していけば標準で維持していくことを目標にすることになります。
今回のコラムでは“触ってみる”をテーマに前後編でお話しました。イラストに描かれた触る部位を参考にワンちゃんネコちゃんを触ってあげて下さい。意外とスキンシップにもなって関係が変わるかも知れません。
イラスト:Mayumi Mori
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