人の健康を考える仕事から、ペットの健康を考える仕事へと舵を切ったFanimal 谷田大輔会長が、「犬と人とのコミュニケーション」をテーマに活躍中のドッグトレーナー・三井翔平氏へ、犬と人とが築くべき関係性から、触れ合うことで起こる変化まで様々な角度からペットに対する考えを伺った。
 
犬がもたらす健康効果とは?正しい犬のしつけ方とは?

 寄り添うフレンチブルドッグ | Fanimal(ファニマル)

しつけのコツは「ボス」ではなく「仲間」になること


-犬のしつけは大事だと感じます。しつけも進化してきているのでしょうか?

 
そうですね。昔は体罰など犬にとって嫌なことを与える方法が主流でしたが、それではいい関係がつくれないことが科学的にもわかりました。
 
そのため、褒めてしつける方向にシフトしてきています。カウンセリングの依頼を受けてお宅訪問をすることが多いのですが、飼い主さんの中には、まだ体罰がいけないことだと知らない方もいますね。
 
特に、「自分が犬に舐められているから言うことを聞かない」と思っている方が多いのですが、人間が犬の上に立たなければいけないという科学的根拠は一切ないんです。
 
それをお伝えすると、とても驚かれますね。
 

-すると、どんな関係を築いたら良いのでしょう?

 
「仲間」です。そもそもなぜ服従関係をつくろうとする風潮があるのかというと、犬の祖先である狼の世界では、群れの中にボスがいて絶対服従する仕組みになっているので、飼う場合は人間がそのボスにあたる役割をしないといけないと考えられていたからです。
 
しかし、最近では狼にボスがいるという話自体が怪しくなってきたんですね。
 
体の大きな狼に従うのは、単にその狼が経験面や肉体的な面で優位に立っているため、群れの行動に影響を及ぼすことが多いだけです。
 
野犬なんかを見ていても、場面ごとに優先権を持つ犬が移り変わっていきます。
だから人間が犬に対して力で上にたとうとすることは正しいとはいえません。
 

-すぐに(犬に)噛み付いてしまう犬もいますよね。

 
これは幼い頃の飼い方が重要です。
 
幼い頃に犬同士の触れ合いがないまま成長させてしまうと犬語がわからなくなってしまい、別の犬に出会った時に、相手が考えていることがわからずトラブルを起こしてしまうんです。
 
特に母親や兄弟と早い時期に離してしまうと犬語がわからなくなってしまうので、今後時間をかけてですが、ペットショップなどで生後8週以前の子犬は販売ができなくなるようになります。
 

-犬のしつけをする際は、どんなところが重要ですか? やはり、おしっこや鳴き声でしょうか。

 
そうですね。重要なことはたくさんありますが、例えば動物病院に行った場合に備えて、他人に触られても大丈夫なようにしておかないといけないですね。
 
その他にもよくお話するのは、災害時に集団の中に入っても困らないようにしておかなければいけないということです。
 
東日本大震災の時は、犬が吠えてしまうから避難所にいづらくなった飼い主さんが、車に避難したことでエコノミー症候群になってしまったという話も聞きました。
 
 肩を並べて座る男性と犬 | Fanimal(ファニマル)

飼い主も「しつけ方」を学ばなくてはならない

それから、「訓練士さんのいうことは聞くのに、家に帰ってきたら全然できなかった」という方がいますが、訓練を受ければ犬が勝手に人間社会で上手にふるまうようになるということではないんですね。
 
時として、犬の行動を管理しなけばならないこともあるので、犬はできるようになったとしても飼い主さんが接し方を覚えなければ求めていることは成立しません。
 
飼い主の役割は、犬の本能を社会で受け入れられるように発揮させることなので、人間の方も犬の習性をきちんと理解しないといけないですね。
 

-犬と人の両方にトレーニングが必要だ、と。

 
なので、うちは「しつけ教室」とは言わずに「しつけ方教室」と言っています。お互いに学ばないといけないですよね。犬は人間社会でどうふるまうべきか、飼い主さんは犬がどういう生き物なのかという。
 

人と犬、双方が「しつけ」を学ばなければ確かなコミュニケーションは取れない。
次は犬が人に与える効果について聞いてみる。

 

【三井翔平】ドッグトレーナー、学術博士

麻布大学大学院獣医学研究科博士後期課程にて犬と人のコミュニケーションにおける内分泌について研究を行い博士号を取得。
その後ドッグリゾートワフ専属チーフドッグトレーナーを務め「ザ!鉄腕!DASH!!」をはじめとしたTV番組にも出演。犬のしつけ要素をゲームに組み込んだK9ゲーム®のジャッジも担当していた。
現在はスタディ・ドッグ・スクールのスタッフとして活動を拡大しながら、飼い主指導や後進の育成を行っている。
2016年には世界的なドッグトレーナーの資格である CPDT-KA(Certified Professional Dog Trainer – Knowledge Assessed)を取得。
Fanimalでは連載コラム「犬と人とー共に生きる」で犬と人が社会で真に共生していくために必要な意識とコミュニケーション方法を提案している。

 

 

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